映像の遊び心

B級ホラー

MaXXXine マキシーン (2024年) 103分【ネタバレ・考察】ミア・ゴス×タイ・ウェストの今までにない異色の【反復横跳び設計】な3部作。気楽に楽しめるし、ホラー映画ガチ勢も満足できるであろう守備範囲が広いB級映画界のA級作品。

ネタバレ無し感想タランティーノのように”やりたいことやってやってんだよ!つべこべいうな!”というような印象のパワフルな作品でした。 いろんな映画の引用や小ネタが詰まっている感じはしましたが、私にはあんまり分かりませんでした。他の映画ネタはわかる人にはわかる作りになっているのだと思います。わからなくても脳死で観てて楽しい映画でした。ちょっと話がとっ散らかってる感じがしましたが、最後まで勢いで突っ走ってくれます。退屈することなく観ることができると思います。個人的には結構ツボなシーンが多くて痺れました。ミア・ゴスの魅力が炸裂していると思います。反復横跳び3部作本作を観たら、Xを観たくなります。Xを観たらパールを観たくなります。パールを観たら、またXとマキシーンを観たくなります。それぞれが微妙に繋がっているため、反復横跳びで再視聴したくなるような作品でした。全て異色の反復横跳び3部作3部作とはいえ、全てトーンが違います。シリーズが進むにつれて、退屈になっていくのがシリーズ映画の相場ですが、このシリーズは同じ監督が作ったとは思えないほど、どれも毛色が違うため、右往左往したくなります。反復横跳びし...
コメディ

ラブ・イン・ザ・ビッグシティ (2024年) 118分【ネタバレ・考察】心に刺さるシーンはあるものの、ポップで心温まる、暗くならないエンタメ・マイノリティ映画。全体的に笑って、部分的に泣いた。

ネタバレ無し感想予告編の時点から期待しまくっていた作品だったのですが、個人的には最高でした。ところどころ、"そんな奴いるかよ"っていうドラマティックな展開やよく見るような展開はありましたが、なんかこの映画の世界観ならそんなご都合展開も許せてしまいます。配信に降りてきたら確実にBGM映画候補です。とりあえず何か流しておこうという時に再生してしまうと思います。心が少し軽くなるというか、明るい気持ちになる作品でした。全体的に笑えます。何ヶ所かは泣けます。久々に映画で泣きました。テンポはかなり見やすいのですが、個性的で、気がついたら没入してました。泣いたり笑ったり忙しかった。マイノリティ映画にピンとこない人にはオススメしません。感情移入もできないと思います。基本情報대도시의 사랑법/Love in the Big Cityラブ・イン・ザ・ビッグシティ2024年 118分キャッチコピー『人生はありのままの君でいい。”普通に馴染めない”ふたりが見つけた、最強の関係。』製作国 : 韓国日本公開 : 2025年6月13日カナダ:2024年9月13日韓国:2024年10月1日興行収入 : 630万ドルジ...
コメディ

噛む家族 (2024年) 49分【ネタバレ・考察】エンタメ×社会派を両立させてる日本のB級コメディ・ゾンビ映画。 ゾンビ家族がもしいたら?という日本ならではのシミュレーション。今の時代を反映した映画。

ネタバレ無し感想この映画、最高でした。低予算であることは間違い無いと思うのですが、この手のインディーズ映画でここまで面白い邦画に出会えてテンション上がりました。全体的に笑えるし、考えさせられるような描写もあるし、切なさや悲しさも表現されており、素晴らしかったです。安心して!どうでも良くなるから!ゾンビのメイクなんて、ポスターの通りです。全然ゾンビ感ないじゃん!申し訳ないけどとてもメイクに金かかってるとは思えない。特殊メイクは使用していないようでした。にも関わらずそんなことが全く気にならなくなるほど引き込まれました!これは名脚本が成せる技なのではないでしょうか。たぶん、監督は魔法使い役者の撮り方もめちゃくちゃ上手い。申し訳ないことを言いますが、他の監督が撮っていたら役者の演技の下手さが際立って観てられなかったと思います。しかし、本作では自然な演技と、力を入れているであろうポイントのメリハリがしっかりと付けられており、役者たちがよく撮れていました。役者本来の良さを引き出すのが本当に上手いんだろうなと。素材本来の味を活かしている料理人。完全にナメてた素晴らしい脚本と監督の手腕により、最後まで...
SF

ホモ・アミークス (2023年) 42分【ネタバレ・考察】生命に対する愛を感じる作品。動物愛護的な視点の映画かと思ったら人間の残酷さや愛おしさがありのままに描かれていた。真面目さとコメディのコントラストが素晴らしかった。邦画で初めて泣くほど笑った映画。

ネタバレ無し感想もう良いんです。細かいことは。 SF・ファンタジーです。この映画はファンタジーです。細かい設定とか、描写が気になってしまう人には向いていない作品かもしれません。あと本作は結構コメディです。笑いのツボが合わなかったらこの映画自体が合わないかもしれません。個人的にはツボにハマりすぎて、初めて邦画で泣くほど笑いました。間の取り方が天才。シュールです。世界観が独特ですが、人物描写が秀逸です。テーマ性も私はかなり好きでした。しかも家に帰って冷静にならないとなんのテーマだったのかわからないくらいにはコメディのインパクトが強いです。そして、俳優の魅力を最大限引き出しており、さらにセリフ少なめで映像で表現してくれるので、説明台詞アレルギーの私にはとってもありがたい作品でした。あらすじと予告編を見てから視聴するのをオススメします。突然見初めても何がなんだかよくわからないと思います。基本情報ホモ・アミークス2023年 42分キャッチコピー『実験用に生み出された生物、ホモ・アミークスのお話。』製作国 : 日本ジャンル:ブラック・コメディ / ファンタジーあらすじ人間と“ちょっと”だけ違う遺伝...
SF

けものがいる (2023年) 145分【ネタバレ・考察】一挙手一投足、目を惹きつけて止まない女優レア・セドゥの魅力が爆裂。SF・ロマンスだけどホラー・スリラー要素もあり大サービス映画。恋愛の一番美味しいところが描かれていた。長尺のはずなのに長さを感じることなくみることができてしまった。

ネタバレ無し感想映像美がすごくよかったです。 レア・セドゥの演技力がめちゃくちゃ発揮されていたと思いますし、めちゃくちゃ魅力的に撮れていたと思いました。この監督ナイス過ぎる。物語は案外ストレートでした。そして何の話なのか分からない展開が続きますがちゃんと最後にまとまってくれた印象で、もう一度観たくなります。上質なアート作品という印象でした。個人的には何回も見るかもしれません。しかし、アート要素が強い映画が苦手な方は苦手そうです。人は選ぶだろうなと思いました。事前情報けものがいる - 公式サイトに載っている情報は頭に入れて観に行ったほうがいいかもしれません。あらすじと時代感は頭に入れて観に行った方がいいと思います。私は事前に確認して行ったのでそこまで混乱せずに観ることができたと思います。基本情報La Bête/The Beastけものがいる2023年 145分キャッチコピー『恐れは、伝播する』製作国 : フランス/カナダ日本公開 : 2025年4月25日イタリア(ヴェネチア国際映画祭):2023年9月3日フランス:2024年2月7日カナダ:2024年4月19日製作費 : 750万ユーロ興...
コメディ

終わりの鳥 (2023年) 110分【ネタバレ・考察】ポスターの印象とは違い、ダメな母親の成長物語。A24に苦手意識ある人でも観やすいかも。ファンタジーなのに現実的で、悲しいのに解放的な、死の必然性についてリアルにコミカルに描いた不思議な空気感の作品。

ネタバレ無し感想ポスターデザインがめちゃくちゃ良いですよね。 このカラフルなデザイン。フライヤーを飾りたいほどです。しかし、本作の映像の色彩などの世界観は案外現実的です。予告編を観た段階ではA24らしい映画(飲み込みずらい映画)なのかなと思って気構えて観に行ったのですが、思ってたより観やすい作品でした。A24らしさを期待したらガッカリするかもしれませんが、A24に苦手意識がある人は観やすいかもしれません。個人的には退屈ではないのですが、画面があまり変わり映えしないのでまったりしてました。映画館で観るならポップコーンあった方が良かったかもですね。死についての話ですが、コメディトーンの作品なので観た後そんなに引き摺らないです。イギリスのコメディが好きな人は好きかもしれません。映画館で観たのですが笑い声がちらほらと聞こえていました。母娘が死に直面するという内容ですが、綺麗事にも頼らず、感動ポルノに着地せず、個人的には好きなタイプのラストでした。基本情報Tuesday終わりの鳥2023年 110分キャッチコピー『"お迎え"に参りました』製作国 : アメリカ/イギリス日本公開 : 2025年4月...
ドラマ

シンシン/SING SING (2023年) 107分【ネタバレ・考察】「グリーンマイル」、「ショーシャンクの空に」を圧倒的に凌駕する刑務所映画の傑作。綺麗事に頼らず、地に足が着いた切実な刑務所映画。その場にいるかのようなリアリティ。痛みも温もりも描かれており、魂を感じる名作。

ネタバレ無し感想宣伝文句で「グリーンマイル」や「ショーシャンクの空に」が使用されていますが、上記2作品より圧倒的に素晴らしかったです。 個人的にはNo.1の刑務所映画です。個人的には上記の2作品はあまりにも現実離れしている印象だったので全く刺さりませんでしたが、本作はブッ刺さりました。本物の元収監者が出演していて、さらに長回しのシーンが多く、カメラのブレもドキュメンタリーかのようで、とにかくリアリティが凄いです。あと噛んでいるシーンもそのまま使われていました。しかも噛んでいるシーンの俳優を調べたら元受刑者ではなくプロの俳優の方だったので、見終わった後に笑いました。是非映画を観て確かめてみてください。多分あれは噛んでます。笑キャスト情報は確認せずに観てほしい本作には元収監者が出演しています。プロの俳優と元収監者が混ざって演技をしています。本物の元収監者がプロの俳優に太刀打ちするって相当難しいはずなのに見事に見分けが付かなくなっていました。その逆も然りです。とにかく本作はドキュメンタリーを観ているのかと見間違うほどのリアリティがありました。誰が受刑者で誰が俳優なのか、予想してみて欲しいです...
オカルト/超自然ホラー映画

仄暗い水の底から (2002年) 101分【ネタバレ・考察】監督の能力が大爆発しているものの、やっぱり全然怖くなかったが美しい映画。

ネタバレ無し感想Jホラーが好きな人は最大限エンジョイできると思います。 私はあまり心霊系ホラーが怖くないので、楽しめないことが多いのですが、本作は楽しめました。恐怖の種類は完全に心霊のみなので、全く怖くはなかったです。3人の少女の体験が重なっていく様や、悪人が出てこない点も緩やかで美しく、切ない後味を残すラストで美しい作品だったなという鑑賞後感でした。でもやっぱり心霊ホラー興味ない身からするとマジで面白くはなかった!笑あのラストになるには人物描写も足りねーよ!笑全く納得いっていません!笑基本情報Dark Water仄暗い水の底から2002年 101分キャッチコピー『ずっとずっと、いっしょだよね、ママ。』製作国 : 日本日本公開 : 2002年1月19日興行収入 : 5.9億円ジャンル:ホラーあらすじ家庭を大切にし、子供を愛す親になろうと強く思い描いていた淑美だったが、今は離婚調停中だ。5歳の郁子の親権を勝ち取るべく自立を目指し、マンションへの入居と就職を決めた。引っ越したマンションはどこか気味悪く、さらに郁子が奇行に走るようになる。※参照元:U-NEXT日本版 予告編スタッフ監督 : ...