弱者女性

クライム

ガール・ウィズ・ニードル (2024年) 115分【ネタバレ・考察】主人公は人類最弱者”赤子”。ショッキングな形で問う社会福祉の重要性。戦争が引き起こす底抜けの地獄。

ネタバレ無し感想常軌を逸したホラー映画はなぜかいつも幸福度ランキング上位国で産まれる謎。 本作はスウェーデン出身で、ポーランドで映画製作を学んだマグヌス・フォン・ホーン監督によるデンマーク映画です。この映画、やば過ぎる。実話ベースじゃなかったら上映禁止になってたんじゃないかというぐらいやばい内容です。胸糞映画を作ってやろうと思っている人なら誰しも1番最初に思いつくと思うのですが、誰もこの一線を越えようとは思わないポイントです。倫理的に今までどの映画も踏み越えられなかった一線を、本作は実話ベースであるという点を盾に踏み越えてます。映像美映像はグロくないどころか、映像は非常に美しいです。音もかなり効果的に使われており、緊張感がずっと続きます。個人的にこの緊張感の演出は直近でみた教皇選挙に近かったです。張り詰めています。ひと呼吸おかせてくれません。ずっと休ませてくれません。教皇選挙とガール・ウィズ・ニードルを連続で観たら、凝ってない肩が凝ると思います。事前情報はいらない実話ベースですが、事前情報を一切見ずに観た方がショッキングで良いと思います。個人的には本作は事前情報なしで観るのがベストかな...
B級ホラー

VIDEOPHOBIA (2019年) 88分【ネタバレ・考察】下手くそインランドエンパイア!外国人が喜びそうな日本の風景がふんだんに映される。無気力なバカ女が性被害に遭って、荒唐無稽なラストへと向かう変な映画。ただイライラして疲労したという点ではホラーだった。

ネタバレ無し感想ホラー映画かと思って観てしまいました。 いつもの癖で、予告編もあらすじにも目を通さずに観るのが好きなので勝手にホラーだと思っていました。違いました。なんだこの映画。ターゲットは海外の人ですかね?日本の日常風景がふんだんに映されていました。配信で世界に観てもらい、名を売って海外進出のステップにしようという算段なのでしょうか。いらないシーンが多いです。なんの関係もない祭りの風景とか、ただ電車に乗っているだけのシーンとかやたら長いです。もし自分が外国人だったらそのシーンも楽しめただろうなと思います。セリフ少なめで淡々としています。アート映画っぽい雰囲気です。でも主人公の女がバカ過ぎてホラーでもないです。ずっと”お前マジかよ”という気持ちで観ていました。テンポが悪くて集中力が削がれます。鑑賞後感は結構ひどくて、疲労感のみでした。エンタメ性はほぼ感じませんでした。この映画、誰にオススメしたらいいんだろう。タイトルの意味フォビアとは恐怖症を意味する単語のため、ビデオフォビアはビデオ恐怖症という意味になります。基本情報VIDEOPHOBIAVIDEOPHOBIA2019年 88分キャ...
コメディ

ANORA アノーラ (2024年) 139分【ネタバレ・考察】バカ2人の若気の至りと、取り巻きによるドタバタ珍道中。コメディ要素がありつつリアリティのある展開で恋愛映画アレルギーでも楽しめた作品。

ネタバレ無し感想本作は映画館で鑑賞する気がありませんでした。 ヌードシーンやセックスシーンが多いと前情報を聞いていたので、不快になりそうという懸念があったためです。しかし不快になるような映像は全くなく、とっても見やすい映画だったという印象です。序盤の多少の描写はありますが、アメリカにおけるセックスワーカーの立ち位置や彼女たちが置かれている状況に関する知識がないため、そこまで感情移入することができず、なぜ本作がアカデミー賞の作品賞にノミネートされたのかは腑に落ちないというのが第一印象です。テンポは良く、サクサク進んでいきます。コメディシーンもあるし、主人公もそこまで嫌なやつではないので非常に観やすい作品です。主人公役のマイキー・マディソンの演技はもちろん素晴らしかったのですが、周りの役者の演技も非常にリアルで良かったです。しかし、映像の美しさや音響の迫力などはなかったため、配信でも良かったかなと思いました。自分には合わない映画かと思ったら予想に反して割と面白かった。多分イライラするんだろうなと覚悟して観に行ったけど全然イライラしなかったどころか爆笑した。ショーン・ベイカーの過去作観ないと...
コメディ・ホラー

シック・オブ・マイセルフ (2022年) 97分【ネタバレ・考察】現実でも散見されるオナニー・コミュニケーション。人間の醜い稚拙な欲望を描いた嫌な映画。時代を象徴する承認欲求ホラー。

ネタバレ無し感想これずっと嫌な感じの映画。笑 中学生みたいな主人公です!徹底的にバカにして描かれています!笑見たことないタイプの映画でめっちゃ面白かったです。笑自己承認欲求や自己肯定感がSNSによって刺激されがちな現代を象徴したホラー映画でした。もし20年後に大衆の精神が成熟したら、バカバカしい作品と鼻で笑われそうです。何者でもないただのカフェ店員であった主人公が人から特別視されることへの快感を知ってしまい、それが暴走するというホラーです。個人的にはコメディ自分の価値を他人の評価に委ねる人の精神性があまりよくわからず。笑個人的には主人公が幼稚過ぎてコメディのように見えていました。笑見栄のためにブランド品を購入する人や、人を肩書きで判断するような人種ですよね。幸せの価値を他人に委ねてしまっている様子。でもこういう人いるよね。注目を集めたくて異常行動をする人。笑へずまりゅうとか迷惑系Youtuberとかまさにそれですよね。社会的利益のためにやっている人もいますが、ただ注目を集めるためにやっている人ってこの映画の主人公のようです。現実でも散見されるオナニー・コミュニケーションここまでひどくな...
スリラー

PIGGY ピギー (2022年) 100分【ネタバレ・考察】とある女の子が過保護な親から自立するまでを描いたスリラー映画。思っていたより振り回されるし、ハラハラする。きっと最後はみんな彼女を好きになる。

ネタバレ無し感想これはすごい!振り回された! マジで先が予想できないスリラー映画でした。エンディングも最高でした!ハラハラさせるのがお上手です。ホラー要素よりもスリラー要素が多い印象でした。怖いのにジャンプスケアは無し。ありがたい!ただの怖い映画ではなく、テーマ性も持っていて面白かったです!基本情報Cerdita/PiggyPIGGY ピギー2022年 100分キャッチコピー『殺すか、見殺しか。』製作国 : スペイン日本公開 : 2023年9月22日アメリカ(サンダンス映画祭):2022年1月24日スペイン:2022年10月14日フランス:2022年11月2日製作費 : €2.5 million興行収入 : $409,224レイティング : PG-12ジャンル:ホラー / スリラーあらすじスペインの田舎町。ティーンエイジャーのサラはクラスメイトからの執拗なイジメに苦しんでいた。両親や弟からも理解されず、家の中でも居場所を見つけられないサラはヘッドホンに頭をうずめて自分の気持ちを閉じこめる日々を送っていた。ある日、あまりの暑さにひとりで地元のプールへと出かけたサラは、怪しげな謎の男と、3...
コメディ

川の底からこんにちは (2010年) 112分【ネタバレ・考察】登場人物全員にイライラする稀有な開き直り映画。唯一無二の個性強強映画。

ネタバレ無し感想なんだこれ!笑日本でしか作れないコメディですね笑登場人物、みんなにイライラするので、鑑賞後感もモヤっとして終わります。このモヤモヤしたまま終わる感じ、なんかめっちゃ日本っぽいって思いました。一応、開き直り映画なので、最後はスッキリするのかと思ったら全然スッキリしない。笑登場人物が全員のように自閉的で他人のこと考えられていない。会話通じないし、言語化能力低いし、観ててめちゃくちゃイライラします。これだけ登場人物、全員に好感を持てない映画も珍しいんじゃないか。他の映画では味わえない感覚になる映画だったので、珍味的な意味で観てよかったです。基本情報Sawako Decides川の底からこんにちは2010年 112分キャッチコピー『人生・・・もうがんばるしかない』制作国 : 日本日本公開 : 2010年5月1日ジャンル:ドラマ / ファミリー / コメディあらすじOLの木村佐和子は上京して5年目で、仕事もさほど熱心ではなく、恋人の健一はバツイチで子持ちの上司という、妥協だらけの人生を送っていた。そんな彼女にある日父が入院したという知らせが入り、田舎に戻って家業のしじみ工場を急き...
アート

空気人形 (2009年) 116分【ネタバレ・考察】辛辣な事実をゆるふわに描く名作。あなたも私も、代替の効く消耗品。

ネタバレ無し感想現代社会の消費し合う人々について描かれているような映画でした。 主人公が性的に搾取されるためだけに作られたダッチワイフなだけあって、ある種のフェミ映画でした。パッケージからは想像できないくらい、胸糞悪かったです。物語の残酷性とは対照的に、爽やかな映像なので、一層残酷さが際立ってます。塩とスイカの関係みたいな。ふわふわの映像とか、ゆるい音楽とか、柔らかな言葉で誤魔化されそうになりますが、取り扱っているテーマはロケランレベルの破壊力でした。こちらは気が付いたら血塗れです。ところどころ込み上げる嫌悪感をなんとか抑えながらこの映画を観終えました。基本情報Air Doll空気人形2009年 116分キャッチコピー『心をもつことは、切ないことでした』制作国 : 日本日本公開 : 2009年9月26日フランス:2009年5月14日レイティング : R15+ジャンル:ファンタジー / ロマンス / アートあらすじ古びたアパートで持ち主である秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、本来持ってはいけない「心」を持ってしまう。秀雄が仕事に出掛けると、洋服を着て靴を履いて、街へと歩き出す。初めて見る外...
コメディ

嫌われ松子の一生 (2006年) 130分【ネタバレ・考察】メンヘラのメカニズムがわかる。めちゃくちゃメンヘラ解像度が高い皮肉なミュージカル映画。

ネタバレ無し感想嫌われて当然なバカ・メンヘラ・アダルトチルドレンな底辺女を徹底的にバカにしたコメディ・ミュージカルでした。絵力が強く、展開も速い。さらに画面の情報量も多く、彩度もビビットなので胃もたれしました。 登場人物も多いし、130分と2時間越えの作品なので 体力がある時に観た方がいいかもしれません。初視聴の時は私のコンディションの問題だったのか、どちらかというとこの映画嫌いでした。基本情報Memories of Matsuko 嫌われ松子の一生 2006年 130分キャッチコピー『松子。人生を100%生きた女。』 ジャンル:邦画 / コメディ / ミュージカル / ロマンス / ドラマ制作国 : 日本 日本公開 : 2006/05/27 興行収入 : 13.1億円 あらすじ  昭和22年に福岡に生まれ、幸せな人生を夢見ていた少女・松子。やがて彼女は中学校の教師になるも、生徒が犯した罪を被り辞職する。そこから始まる転落人生。彼女と面識もなかった甥の青年が、その悲劇的な一生をたどっていく。※参照元:U -NEXT予告編スタッフ監督 : 中島哲也脚本 : 中島哲也原作 : 山田宗樹『嫌...