フェミ映画

B級ホラー

MaXXXine マキシーン (2024年) 103分【ネタバレ・考察】ミア・ゴス×タイ・ウェストの今までにない異色の【反復横跳び設計】な3部作。気楽に楽しめるし、ホラー映画ガチ勢も満足できるであろう守備範囲が広いB級映画界のA級作品。

ネタバレ無し感想タランティーノのように”やりたいことやってやってんだよ!つべこべいうな!”というような印象のパワフルな作品でした。 いろんな映画の引用や小ネタが詰まっている感じはしましたが、私にはあんまり分かりませんでした。他の映画ネタはわかる人にはわかる作りになっているのだと思います。わからなくても脳死で観てて楽しい映画でした。ちょっと話がとっ散らかってる感じがしましたが、最後まで勢いで突っ走ってくれます。退屈することなく観ることができると思います。個人的には結構ツボなシーンが多くて痺れました。ミア・ゴスの魅力が炸裂していると思います。反復横跳び3部作本作を観たら、Xを観たくなります。Xを観たらパールを観たくなります。パールを観たら、またXとマキシーンを観たくなります。それぞれが微妙に繋がっているため、反復横跳びで再視聴したくなるような作品でした。全て異色の反復横跳び3部作3部作とはいえ、全てトーンが違います。シリーズが進むにつれて、退屈になっていくのがシリーズ映画の相場ですが、このシリーズは同じ監督が作ったとは思えないほど、どれも毛色が違うため、右往左往したくなります。反復横跳びし...
ドラマ

リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界 (2023年) 116分【ネタバレ・考察】一流モデルが何故戦場カメラマンになったのか。とにかく逞しい1人の女性について描かれた名作。身をすり減らしながらも決して立ち止まらない。まるでヒーロー映画のようだった。

ネタバレ無し感想映画としてのクオリティが非常に高く、社会的意義も感じる素晴らしい作品でした。 重い内容ですが、リー・ミラーの勇ましさのお陰でそこまで心が沈まずに観ていられました。逞し過ぎて笑えてきてしまうところもありました。命知らず過ぎて好きです。セリフは少なめで表情で語るシーンが多く、惹き込まれます。本作はリー・ミラーの人生のごくごく一部を切り取ってダイジェストにしたかのような印象でした。圧倒的な説得力もっとじっくり描いて欲しいと思いました。かなり物語は駆け足のため、映画では尺が足りないと感じました。しかし、ケイト・ウィンスレットの演技力が凄過ぎて、リー・ミラーの存在に説得力が凄まじいです。どれほど演じる人物への解像度が高いんだ。とにかく演技が素晴らしかったです。そして最適人じゃないでしょうか。ケイト・ウィンスレットの他にこの役は務まらないと思うほど的役でした。この限られた映画の尺で可能な限りリー・ミラーを表現していたと思います。事前情報はあった方がいい映画パワフルなケイト・ウィンスレットの演技に魅了されますが、物語は駆け足に進んでいく印象だったので、ところどころ置いてけぼりになりか...
SF

サブスタンス (2024年) 142分【ネタバレ・考察】女によるルッキズム社会への復讐。日本版の予告編からは全く想像がつかない展開から、怒涛のラスト。あれだけのことをやっておいて、また驚くようなオチを付けれたのがすごい。噂が噂を呼んで大ヒットしそうな最強ホラー映画。

ネタバレ無し感想この映画、女なら全員が晒されている年齢や外見によるジャッジに対する怒りを徹底的に表現しておきながら、めちゃくちゃエンタメ性が高い作品でした。予告編からは想像できないくらいグロいので苦手な方はご注意ください。あと、日本版の予告編が非常に優秀なので、海外版の予告編は観ずに観にいった方が楽しいと思います。ネタバレ絶対厳禁の映画です。海外版の予告編はみない方がいいかも日本版の予告編では、とある要素が完全に隠されており、本編の展開にめちゃくちゃ衝撃を受けました!UK版の予告編などでは若干描かれてしまうので、この衝撃は受けられなかったと思います。日本版の予告編優秀!海外版の予告編は観ない方がいいかもしれません。映像も脚本もビビットキャラクターや欲望が結構デフォルメされて描かれていた印象です。無駄のない映像美と同様に脚本も無駄がなかったように思います。案外セリフが少ないです。SF設定に関してはなんだこれ!となりますが、そんなことツッコませないほどにテンポが良く、映像の美的センスが独特なので心地よく観れます。映像がオシャレながらホラーとしてもめちゃくちゃ成立していて、社会的なテーマも盛...
コメディ・ホラー

アメリカン・サイコ (2000年) 102分【ネタバレ・考察】資本主義のディストピア。エリート男の無様な姿を見ることができるポリコレの先駆け。モラハラの極地にいる主人公が自分に対してもモラハラをする、案外笑えるサイコスリラー。

ネタバレ無し感想イケメンで高学歴で金持ちな完璧なエリート男が殺人衝動を抑えることができないという内容のスリラー映画でした。 テンポ良くて、思っていたよりコメディで、思っていたよりグロは控えめなので観やすかったです。あまりにも主人公が無様で幼稚に描かれていて、男の嫌なところが詰まっているなと思って調べたらこの映画、女性監督の作品でした。この時期の作品って資本主義社会へのアンチテーゼ的な映画が多いですね。ファイト・クラブやアメリカン・ビューティーもそんな映画だったし。当時の空気感ってこんな感じだったんかね。現代でも通用するテーマでした。本作は資本主義社会へのアンチテーゼに加えて、案外ポリコレ的な側面があったように思います。基本情報American Psychoアメリカン・サイコ2000年 102分キャッチコピー『僕は最高に満ちたりている』キャッチコピー(英語)『Killer Looks.』製作国 : アメリカ日本公開 : 2001年5月3日アメリカ:2000年4月14日製作費 : $7,000,000興行収入 : $34,266,564ジャンル:ホラー / コメディ / コメディ・ホラーあ...
エロティック・スリラー

ベイビーガール (2024年) 115分【ネタバレ・考察】また女の性の開放をまた描くの?と思ったらポリアモリーやEQ、ジェネレーションギャップなど、どこか新時代的な内容の映画だった。20年後にまた観たい。

ネタバレ無し感想このタイプの主人公の第一人者でしょう! あるいは二度とこのタイプの主人公は現れないでしょう!笑それにしても大御所にして、ここまで恥部を曝け出したニコール・キッドマンには感服です。ホンモノ過ぎる。本作でより一層ファンになりました。個人的には女性のオーガズムシーンNo.1のインパクトがある映画です。鑑賞直後はそこまで高評価ではなかったのですが、鑑賞後にどんどん評価が上がりました。しかも観たことのないタイプの映画過ぎて、観た直後は消化不良を起こしていましたが、時間が経てば経つほど面白いです。さすがA24が配給する作品、新しい価値観をぶつけてきます。フェミニズム的な始まりですが、それよりZ世代との価値観のギャップに戸惑いながらも、その新しい価値観によって解放される作品に見えました。爆笑できるシーンもちょいちょいあったので早くもう1回観たい。とにかくいろんな年齢層、性別の人の感想が聞きたくなりました。人によって視点がだいぶ変わりそうなので、ある種のリトマス試験紙になり得そうな作品です。基本情報Babygirlベイビーガール2024年 115分キャッチコピー『やめないで』キャッチコ...
伝記

ベネデッタ (2021年) 132分【ネタバレ・考察】とにかく勇ましい女の映画。ナンスプロイテーション・フェミ映画。

ネタバレ無し感想ポスターのデザインも序盤のスタッフロールのフォントの感じもめっちゃ好きだった。そして絵画のような映像がバッと出てきたのでもうテンションがぶち上がりました。映像美がすごい!音楽も良かったです!そしてこの映画、舞台が修道院なので登場人物のほとんどは女なのですが人物描写も良かったです。怖い映画かと思っていたのですが、そんなに怖くはないです。基本情報Benedettaベネデッタ2021年 132分キャッチコピー『わたしは 告白する』制作国 : フランス/オランダ/ベルギー日本公開 : 2023年2月17日フランス:2021年7月9日制作費 : 19830000興行収入 : $4,300,000レイティング : R18+ジャンル:ホラーあらすじ17世紀のイタリア。幼い頃から聖母マリアと対話し、奇蹟を起こす少女とされていたベネデッタは、6歳で出家し修道院に入る。純粋無垢なまま成人したベネデッタは、やがて修道院長に就任し、民衆からは聖女とあがめられて権力を手にするが…。※参照元:U-NEXT日本版 予告編英語版 予告編スタッフ監督 : ポール・バーホーベン脚本 : ポール・バーホーベ...
ドラマ

クレイマー、クレイマー (1979年) 105分【ネタバレ・考察】モラハラ男がシングルファーザーとして成長していく話。

ネタバレ無し感想モラハラ夫が、見下していた妻が案外優秀だったということと、子育てと育児についてを学ぶ話です。男と女で全く意見分かれそうだし、モラハラされた経験があるかないかでまた全く意見分かれそうな映画です。”モラハラ夫”がどんなものなのか想像がつかない人からすると父親と息子が絆を取り戻すハートフル作品に見えるかもしれません。あるいは、無責任で自分勝手な母親に振り回された父親を描いた作品と捉える人もいそう。タイトルは前々から知っていたんですが、まさかこんな話だとは思ってなかった。なんかインクレディブル・ファミリーを思い出しました。本作は1979年の作品でインクレディブル・ファミリーは2018年の作品。39年経っても、世の中あんま進化してないんだなと思いました。複雑になってしまいそうな話なのに、全く説明的でなく、すんなり観れるのがすごいです。人物描写がしっかりされてて引き込まれました。息子がめちゃくちゃ可愛い。あとメリル・ストリープが超絶美しい。彫刻みたいでした。基本情報Kramer vs. Kramerクレイマー、クレイマー1979年 105分制作国 : アメリカ日本公開 : 1980...
アート

空気人形 (2009年) 116分【ネタバレ・考察】辛辣な事実をゆるふわに描く名作。あなたも私も、代替の効く消耗品。

ネタバレ無し感想現代社会の消費し合う人々について描かれているような映画でした。 主人公が性的に搾取されるためだけに作られたダッチワイフなだけあって、ある種のフェミ映画でした。パッケージからは想像できないくらい、胸糞悪かったです。物語の残酷性とは対照的に、爽やかな映像なので、一層残酷さが際立ってます。塩とスイカの関係みたいな。ふわふわの映像とか、ゆるい音楽とか、柔らかな言葉で誤魔化されそうになりますが、取り扱っているテーマはロケランレベルの破壊力でした。こちらは気が付いたら血塗れです。ところどころ込み上げる嫌悪感をなんとか抑えながらこの映画を観終えました。基本情報Air Doll空気人形2009年 116分キャッチコピー『心をもつことは、切ないことでした』制作国 : 日本日本公開 : 2009年9月26日フランス:2009年5月14日レイティング : R15+ジャンル:ファンタジー / ロマンス / アートあらすじ古びたアパートで持ち主である秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、本来持ってはいけない「心」を持ってしまう。秀雄が仕事に出掛けると、洋服を着て靴を履いて、街へと歩き出す。初めて見る外...