ファミリー

ドラマ

HERE 時を越えて (2025年) 104分【ネタバレ・考察】主人公は土地。映像技術もアングルも編集も挑戦的。1つのアングルでアメリカを描く。各国版も観たくなる革新的なフォーマットの発明。少し感じるクリストファー・ノーラン風味。

ネタバレ無し感想この映画、一つのアングルで氷河期から現代までを駆け足で描いていきます。主軸となるのはとある家族の話ですが、思っているより登場人物多かったです。1つのアングルってだけなら退屈になりそうですが、クリストファー・ノーランみたいな時間軸を前後させる編集になっているので案外退屈しません。しかし、その分、メインとなる家族以外の全貌を把握できません。そしてフォレスト・ガンプの製作陣が再結集と宣伝文句で散々言われていました。確かにアメリカの歴史を描いており、フォレスト・ガンプ感は感じました。メインとなる家族は普遍的なアメリカの家庭です。案外穏やかで、極度にドラマティックな展開はありません。また、アングルも固定なので映像の動きもありません。その分、退屈させないように工夫はしており、ショート動画やTikTokを見ているかのようなテンポ感で物語がパラパラ変わりつつ進んでいきます。個人的にはその点も面白く、内容も地に足がついている印象で好きだったのですが、人によっては単調で退屈かもしれません。アメリカの歴史について関心がないorあまり知らない人からすると、人物ドラマにどれだけ感情移入できるかが...
ドラマ

花まんま (2025年) 118分【ネタバレ・考察】今、デートで行くならこの映画。演技良き、脚本良き、テンポ良き、エンタメ性良き、全てにおいてハイクオリティだけど個人的には全く刺さらなかった邦画。

ネタバレ無し感想多分大多数の人には刺さる本作は家族愛についてのお話でした。個人的なバックグラウンドが理由でこの作品には感情移入できる人物がいませんでした。理由は下記の通りです。家族や兄弟がおらず家庭をあまり経験していない。スピリチュアル・アンチ。血の繋がりに固執していない。個の話にそんなに熱を持てない私の感覚はマイノリティだと思うので、これから鑑賞しようか迷っている方の判断材料にはならないかも知れません。同じような感覚の方にはあまりオススメしないかもしれません。そんな私でも高評価せざるを得ない俳優の演技、脚本、映像、キャラクター造形、独自性、テンポ感、エンタメ性、独自の世界観など、様々な点において、ハイクオリティな作品だったと思います。予告編を観る限りでは"邦画によくある感動ポルノ"と勘違いしてしまってましたが、それぞれの人物描写に不自然感も無く、突拍子もない展開もないのですんなりと物語が入ってきます。使い捨てのキャラクターがいないのも好印象です。それぞれがきちんと重要な役割与えられています。全体的にクオリティが高い作品でした。基本情報PETALS AND MEMORIES花まんま20...
コメディ

終わりの鳥 (2023年) 110分【ネタバレ・考察】ポスターの印象とは違い、ダメな母親の成長物語。A24に苦手意識ある人でも観やすいかも。ファンタジーなのに現実的で、悲しいのに解放的な、死の必然性についてリアルにコミカルに描いた不思議な空気感の作品。

ネタバレ無し感想ポスターデザインがめちゃくちゃ良いですよね。 このカラフルなデザイン。フライヤーを飾りたいほどです。しかし、本作の映像の色彩などの世界観は案外現実的です。予告編を観た段階ではA24らしい映画(飲み込みずらい映画)なのかなと思って気構えて観に行ったのですが、思ってたより観やすい作品でした。A24らしさを期待したらガッカリするかもしれませんが、A24に苦手意識がある人は観やすいかもしれません。個人的には退屈ではないのですが、画面があまり変わり映えしないのでまったりしてました。映画館で観るならポップコーンあった方が良かったかもですね。死についての話ですが、コメディトーンの作品なので観た後そんなに引き摺らないです。イギリスのコメディが好きな人は好きかもしれません。映画館で観たのですが笑い声がちらほらと聞こえていました。母娘が死に直面するという内容ですが、綺麗事にも頼らず、感動ポルノに着地せず、個人的には好きなタイプのラストでした。基本情報Tuesday終わりの鳥2023年 110分キャッチコピー『"お迎え"に参りました』製作国 : アメリカ/イギリス日本公開 : 2025年4月...
コメディ

マルセル 靴を履いた小さな貝 (2021年) 90分【ネタバレ・考察】とにかく可愛いくて笑える素敵な物語で心が浄化される映画。製作期間7年のA24によるストップモーション×実写。掘り出し名作。

ネタバレ無し感想マルセルがとにかく良いキャラしていて可愛いです。貝が生活しているという世界観がきちんと作り込まれていて楽しいです。キャラクター造形もしっかりしていて、物語もすんなり入ってきます。コメディ要素が可愛くて笑えるので老若男女が楽しめると思います。物語のクオリティもものすごく高いのでもう一回観たいです。詩的な表現やマルセルが感じていることを語るシーンはどこか感動的で心に残る印象的でした。めちゃくちゃテンポよくて惹きつけられますし、映像も脚本も素晴らしく、感動と笑いのバランスが凄く良い作品でした。根底には深いテーマが流れており、もう一度鑑賞したいと思いました。事前情報作中、60ミニッツというテレビ番組が出てきますが、これはアメリカのドキュメンタリー番組です。1968年から放送されている長寿番組で、ハリウッドスターや政治、医療など幅広い題材を取り扱っている人気番組です。Youtubeチャンネル:基本情報Marcel the Shell with Shoes Onマルセル 靴を履いた小さな貝2021年 90分キャッチコピー『貝だって人生は、ままならない』製作国 : アメリカ日本公開 ...
スリラー

ファーザー (2020年) 97分【ネタバレ・考察】パッケージからは想像できないくらい怖い。どこにも救いや希望を見つけられない。認知症を疑似体験させられるホラー映画。

ネタバレ無し感想認知症視点で描かれた作品なのですが怖い。 この映画めっちゃ怖い。自分が信じられなくなる恐怖、そして自分が自分じゃなくなっていく恐怖を追体験させられます。映像もどこかホラーチックで不安感を煽ります。そしてめちゃくちゃ悲しい。映画館で観なくて良かったと思えるくらい最後は号泣でした。この映画を観て良かったと思います。基本情報The Fatherファーザー2020年 97分キャッチコピー『老いによる思い出の喪失と、親子の揺れる絆を描く、かつてない映像体験で心を揺さぶる感動作!』製作国 : イギリス/フランス/アメリカ日本公開 : 2021年5月14日イギリス:2021年1月8日製作費 : $6,000,000興行収入 : 世界:$28,398,218日本:1億6500万円ジャンル:スリラー / ドラマ / ファミリーあらすじロンドンで一人暮らしをする81歳のアンソニーは、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。そんななか、アンソニーはアンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。しかし、彼の自宅にはアンと結婚して10年以上になると語る男が現れ…。※参照元:U-NE...
コメディ

僕のワンダフルライフ (2017年) 98分【ネタバレ・考察】犬可愛いし自然は綺麗だし教育的な側面もあってめちゃくちゃいい映画だった!

ネタバレ無し感想犬って演技もできるんだ!?笑 この映画に出てくる犬たちすげー優秀な子たちじゃない!?どうやって演技指導したの!?笑1つの物語を軸に複数の犬の人生をみせてくれます。この構成によってこの社会で犬がどういう風に扱われているかが描かれています。しかし犬のベイリー目線の作品なので、結構おバカ!笑なので重くなり過ぎず、社会的なテーマもあって映像も綺麗ですごくいい作品でした!基本情報A Dog's Purpose僕のワンダフルライフ2017年 98分キャッチコピー『僕の愛は不死身なのだ。』キャッチコピー(英語)『Every dog happens for a reason』製作国 : アメリカ日本公開 : 2017年9月29日アメリカ:2017年1月27日製作費 : $22,000,000興行収入 : 世界:$196,220,124アメリカ:$64,321,890日本:9億1500万円ジャンル:コメディ / 子供向け / ドラマあらすじある夏の暑い日、ゴールデン・レトリバーの子犬・ベイリーは車に閉じ込められ苦しんでいるところを8歳のイーサンと彼の母親に助けられ、感激する。その後、イー...
ドラマ

黒い太陽 七三一 戦慄!石井七三一細菌部隊の全貌 (1988年) 105分【ネタバレ・考察】撮影方法に問題がありすぎて映画としての評価ができない映画。

ネタバレ無し感想悪趣味映画界では割と有名な作品。本物の猫を虐待し、本物の死体を使って撮影している倫理観の狂った作品であるからです。子供の頃、日本とドイツの医療は戦争時の人体実験により飛躍したって話を聞いたことがありましたが、ここまで凄惨な大量殺人だとは想像していませんでした。一応、映画は映画なので、という程度に留めておいた方がいいかと思います。香港人が中国で作った映画なので、真偽がわかりませんん。鵜呑みにはできないです。しかし、本作は極端に日本人を悪く描こうとしているかというと、そういう意図はあまり感じません。全員が戦争の被害者であるというのが第一印象でした。本作の原作は「悪魔の飽食」という本だそうで、監督はできるだけ忠実に再現しようとしたとのこと。読んだところで国が正式発表するわけもなけりゃ今から正確な調査ができるわけでもなけりゃ、もちろん自分の目で見ることもできないのでもはや真実は闇の中です。しかし、本作で描かれていた酷いことが行われていたと言われても全く違和感はないです。
ナチスにもサイコ医師いましたしね。本作をリメイクするなら、日本のことも中国のことも知らない、ボンゴあたりの1...
ドラマ

普通の人々 (1980年) 124分【ネタバレ・考察】崩壊していく完璧な家族。母性なんて最初から無い。家族地獄映画の名作。

ネタバレ無し感想普通の人々でしたね。 その辺にいる人たちの話でした。理想を他人に押し付ける悲劇。色々なところで散見される現象ですが、本作の場合は母親がソレだったので地獄でした。とにかくずっと苦しい作品ですが、最後は救われるのでまだ後味はいい作品だったと思います。葛城事件の父親と、普通の人々のこの母親は意気投合しそうです。基本情報Ordinary People普通の人々1980年 124分キャッチコピー(英語)『Everything is in its proper place…Except the past.』製作国 : アメリカ日本公開 : 1981年3月7日アメリカ:1980年9月16日 (ニューヨーク)製作費 : 600万ドル興行収入 : 5480万ドルジャンル:ファミリー / ドラマ / 個人的絶頂映画あらすじボートで遠出した兄・バックと弟・コンラッドは、途中でボートが転覆し弟だけが助かる。だが、それ以来バックを溺愛していた母・ベスとの間にわだかまりが生じてしまう。父・カルヴィンは、コンラッドとべスの関係を解きほぐそうと苦悩するが…。※参照元:U-NEXT英語版 予告編スタッフ...
ドラマ

花いちもんめ。 (1985年) 122分【ネタバレ・考察】とにかく俳優の演技が凄い。なぜか今となっては知名度が低い日本映画の名作。

これは凄い映画を見てしまいました。 いろんな意味でホラーです。おじいちゃん役の俳優の演技が凄すぎます。こんなに素晴らしい演技をする俳優さんが日本にいたんだ。とにかく凄い。圧巻の演技力です。なんでこの作品、今となっては全く話題に上がらなくなってしまったんだろう?間違いなく名作・名演です。
ドラマ

クレイマー、クレイマー (1979年) 105分【ネタバレ・考察】モラハラ男がシングルファーザーとして成長していく話。

ネタバレ無し感想モラハラ夫が、見下していた妻が案外優秀だったということと、子育てと育児についてを学ぶ話です。男と女で全く意見分かれそうだし、モラハラされた経験があるかないかでまた全く意見分かれそうな映画です。”モラハラ夫”がどんなものなのか想像がつかない人からすると父親と息子が絆を取り戻すハートフル作品に見えるかもしれません。あるいは、無責任で自分勝手な母親に振り回された父親を描いた作品と捉える人もいそう。タイトルは前々から知っていたんですが、まさかこんな話だとは思ってなかった。なんかインクレディブル・ファミリーを思い出しました。本作は1979年の作品でインクレディブル・ファミリーは2018年の作品。39年経っても、世の中あんま進化してないんだなと思いました。複雑になってしまいそうな話なのに、全く説明的でなく、すんなり観れるのがすごいです。人物描写がしっかりされてて引き込まれました。息子がめちゃくちゃ可愛い。あとメリル・ストリープが超絶美しい。彫刻みたいでした。基本情報Kramer vs. Kramerクレイマー、クレイマー1979年 105分制作国 : アメリカ日本公開 : 1980...