個人的絶頂映画

アドベンチャー

悪い子バビー (1993年) 114分【ネタバレ・考察】なんで本作がそこまで有名じゃないのかが解せない。宗教へ疑問を抱かせ存在意義を問う強烈な名作。『哀れなるものたち』の男&現実版。思考実験のような映画。

ネタバレ無し感想本当にすごい作品を見てしまった気がします。感動したのか何なのかわかりませんが、本作を見終えたとき呆然としていました。嵐のようなテンポ感で進んでいき、気がついたら映画が終わっていました。作中、ずっと悲しくて切なかったのですが、後味の悪くない素敵な作品です。『哀れなるものたち』の男・現実世界版という感じでしょうか。今の時代には作れない作品です。そしてバビー役の俳優の演技力がすごいです。かなり体も張ってます。そしてものすごく目が綺麗です。あと映像、音楽も面白い。そしてテーマは人体の構造のように複雑に絡み合っていて言語化ができません。まさにアートという感じです。映画である必要性のある作品という印象を受けました。基本情報Bad Boy Bubby悪い子バビー1993年 114分キャッチコピー『奇妙で、無情で、過酷でも、愛に溢れた人生。』製作国 : オーストラリア/イタリア日本公開 : 2023年10月20日イタリア(ヴェネツィア映画祭):1993年9月1日オーストラリア:1994年7月28日製作費 : 80万豪ドル興行収入 : 808789豪ドルレイティング : R18+ジャンル...
B級ホラー

ザ・ハント (2020年) 89分【ネタバレ・考察】右翼も死ね!左翼も死ね!富裕層も貧困層も死ね!っていうみんな死ね映画

ネタバレ無し感想予告編も見ずに見た方がいいです。富裕層も貧困層も右翼も左翼も徹底的にバカにする愉快犯的な映画でした。 右も左も上も下も、四方八方全部が敵よ!正義も神もクソ喰らえ!俺は生きたいだけだ!っていうロックな感じ。世の中のいろいろなどうでもいい思想にうんざりしている人はめっちゃ楽しいと思います。この映画は全ての思想をバカにしています。この映画に主張があるとすれば、人間はバカっていうことですかね。邦画でリメイクするなら絶対に藤原竜也が序盤のあの男に配役されて欲しい。ムシャクシャした時におすすめです。基本情報The Huntザ・ハント2020年 89分キャッチコピー『全米が封印した、2020年最大の問題作。』製作国 : アメリカ日本公開 : 2020年10月30日アメリカ:2020年3月13日製作費 : $14,000,000興行収入 : アメリカ・カナダ:$5,812,500日本:2800万円世界:$10,843,260レイティング : R-15ジャンル:アクション / スリラーあらすじ森の中で目覚めた12人の男女。そばにあった巨大な木箱には、1匹の豚と数々の武器が収められていた。...
アドベンチャー

食人族 (1980年) 95分【ネタバレ・考察】食人族によるエクスプロイテーション映画かと思っていたらカウンターパンチを喰らうファウンドフッテージの元祖。観客を含む全員が食人族エンド。

ネタバレ無し感想製作陣、観客、関係者の全員に唾を吐き捨てるような作品でした。 ジョーカー:フォリアドゥに通づる、観客に対して冷水をぶっかけるメタ的な構造になっています。好きです。一部、本物のスナッフフィルムが差し込まれています。そして本物の動物を殺すシーンもあります。その他のグロ表現もクオリティが非常に高いです。グロ映画にあまり耐性がない方や、グロ映画初心者の方は、テリファー 終わらない惨劇あたりから見始めるのをオススメいたします。残虐シーンがドキュメンタリータッチで撮影されているのもあり、リアリティがすごいです。泥だらけで汚い。現地の人に撮影協力をしてもらったそうですが、それも相まってリアリティに拍車がかかっています。グロ過ぎて何がなんだかわかんねーよ!映像的なインパクトもそうですが、案外ちゃんとテーマ性がありました。しかし、グロ描写のインパクトが強過ぎてあんまり内容が入ってきません!そして、もう一度観ようという気には到底なれません。本作はあらゆるレビューサイトで非常に評価が低いのが特徴です。グロだけで作られた作品ではなく、案外映画としても内容がしっかりしていましたが、グロ映像のイン...
ファンタジー・ホラー

ブルー・マインド (2017年) 97分【ネタバレ・考察】少女が大人になるまでの過程をホラーにした映画。

ネタバレ無し感想カミング・オブ・エイジ・ホラーっていうんですね。この映画を見終わった後に思い出したセリフはヴァージン・スーサイズの『先生に13歳の女の子の気持ちがわかるっているの?』でした。思春期の情緒不安定さもよく表現されていて、自分が思春期だった頃の気持ちを思い出しました。ホラーの種類としては、キャリーやRAWに通ずるタイプです。自分の体が大人へと変化していく自分の体への恐怖が主軸となっています。個人的にはめちゃくちゃ好きなエンディングでした。面白かったです。もう一回観たいかも。基本情報Blue My Mindブルー・マインド2017年 97分キャッチコピー『少女は変態する。』キャッチコピー(英語)『MIA’S BODY IS CHANGING』製作国 : スイスレイティング : R-15ジャンル:ファンタジー・ホラーあらすじ両親の仕事の都合で新しい街に引っ越してきた15歳のミア。親へのいら立ちと、大人の女性に変化していく自身の不安を抱えながら、彼女はクラスの仲間たちと悪い遊びに手を染めていく。そんななか、彼女の体に不気味で不自然な変化が起こり始める。※参照元:U-NEXT日本版 ...
ドラマ

エゴイスト (2022年) 120分【ネタバレ・考察】自分のためかもしれない愛が誰かを救っている。ゲイの恋愛映画かと思ったら繊細で美しい人類愛についての映画だった。

ネタバレ無し感想タイトルとパッケージを見たときは、ゲイが主人公の恋愛映画かと思っていました。 『君の名前で僕を呼んで』のような、切なくも濃密な映画なのかな?と思っていたらもう全く違う作品でした。あと悲しいラストなのかと思って覚悟してましたが、決して後味の悪いラストではなく、ものすごく心が暖かい気持ちになりました。ドキュメンタリーのような映像で、俳優の演技も本当にリアルで没入感があります。ものすごく繊細な脚本だと感じました。そっと心に触れてきて暖かい感じ。映画でこんな気持ちになったのは初めてです。受け取り手によってかなり作品の印象が変わりそうだなと思いましたが、観客を置いていかない程度の絶妙な余白を残す美しい作品です。もう一回観たい。演技力の大勝利鈴木亮平の演技力が半端じゃないです。ドキュメンタリータッチなのも相まって、全員この現実に存在しそうな説得力があります。映像にうつっていない姿まで想像できてしまうほどの実在感。こんな繊細な役を演じ切った鈴木亮平が凄すぎます。この人、狐狼の血で目を潰してた人ですよね?しかも、パンツ被ったりしていた人ですよね?どう考えても同じ人には見えないです。同じ...
コメディ

ビートルジュース (1988年) 92分【ネタバレ・考察】もう死ぬのが怖くなくなる?ダークポップなあの世の話。

ネタバレ無し感想小学校低学年の頃、VHSが擦り切れるくらい観てた大好きな作品です。 なんかの待合室の頭小さ過ぎおじさんと、ラストのウィノナが踊りながら舞うシーンしか覚えていなくて、再視聴しました。大人になってから、あの世界観に入れるか心配だったんですが、めちゃのめり込めました。テンポがいいし無駄がないし映像が面白い。ティム・バートンってコメディ上手いですね。ビジュアルの面白さや魅力、世界観だけじゃなくて、結構笑わせにきます。ホラーっぽい雰囲気なんですが、夜中に見ても怖くない絶妙なライン。あの世のルールがあるんですが”なんで?”と思わせない圧倒的テンポ感。ずっとパワフルで冷静にさせてくれない。ずっと楽しいから気がついたらティムバートンの手の上で転がってます。基本情報Beetlejuiceビートルジュース1988年 92分製作国 : アメリカ日本公開 : 1988年12月10日アメリカ:1988年3月30日製作費 : $15,000,000興行収入 : アメリカ:$74,664,632日本(配給収入):4億円ジャンル:コメディ / コメディ・ホラー / ファンタジー / ダーク・ファンタジ...
ドラマ

普通の人々 (1980年) 124分【ネタバレ・考察】崩壊していく完璧な家族。母性なんて最初から無い。家族地獄映画の名作。

ネタバレ無し感想普通の人々でしたね。 その辺にいる人たちの話でした。理想を他人に押し付ける悲劇。色々なところで散見される現象ですが、本作の場合は母親がソレだったので地獄でした。とにかくずっと苦しい作品ですが、最後は救われるのでまだ後味はいい作品だったと思います。葛城事件の父親と、普通の人々のこの母親は意気投合しそうです。基本情報Ordinary People普通の人々1980年 124分キャッチコピー(英語)『Everything is in its proper place…Except the past.』製作国 : アメリカ日本公開 : 1981年3月7日アメリカ:1980年9月16日 (ニューヨーク)製作費 : 600万ドル興行収入 : 5480万ドルジャンル:ファミリー / ドラマ / 個人的絶頂映画あらすじボートで遠出した兄・バックと弟・コンラッドは、途中でボートが転覆し弟だけが助かる。だが、それ以来バックを溺愛していた母・ベスとの間にわだかまりが生じてしまう。父・カルヴィンは、コンラッドとべスの関係を解きほぐそうと苦悩するが…。※参照元:U-NEXT英語版 予告編スタッフ...
ホラー

ジョンソン家の奇妙なこと (2011年) 29分【ネタバレ・考察】唯一無二の家族地獄映画。なんか涙出てきた。

ネタバレ無し感想1回見たのですが、とんでもない内容で理解が追いつかず、もう1回見ました。カメラワークも良いしテンポもいいし、俳優の演技もめちゃくちゃよくないですか?卒業制作の短編でこの作品って、アリ・アスターって初期から化け物だったんですね。今までにないタイプの感情故に言語化ができません。唯一無二の家族地獄映画。息子がサイコ。嫌悪感とか悪趣味とかではない。なんか怖いのか嫌なのかわからないのですが泣きそうになりました。なんなんだこの恐怖は。なんでこんなに人物描写が繊細で緻密なんだ。息子の言っていることなんてなに一つ理解できないのに実在する気がしてきてしまう。なんだこの説得力。怖い。いたらどうしよう。基本情報The Strange Thing About the Johnsonsジョンソン家の奇妙なこと2011年 29分製作国 : アメリカアメリカ:2011年1月22日ジャンル:ホラー / 個人的絶頂映画あらすじ誤って息子がオナニー中に部屋に入ってしまった父親。 ノックをしなかったことを謝罪し、息子に語りかける。 息子の手には父親の若かりし頃の写真が握られているのも知らず、オナニーは自然な...
ホラー

ツィゴイネルワイゼン (1980年) 145分【ネタバレ・考察】なんだこれは!?夢をそのまま映像化したような映画

ネタバレ無し感想中盤から内容を追うのやめました。 無駄だ!ロジックでは太刀打ちできない!悪夢を見ているような映画でした。これが日本アカデミー賞の作品賞を受賞してたということでなんだか安心しました。ビジュめっちゃいいです。ここまでエログロナンセンスを実写で表現して成功した作品はないんじゃないかと思います。映像美は半端ない。思考が生まれたばかりでロジックによって言語化される前の映画のようでした。支離滅裂でなんとなくわかりそうでわからせてくれない。”意味わかんねえよ!”ってなる人には向いていなさそうな。基本情報Zigeunerweisenツィゴイネルワイゼン1980年 145分キャッチコピー『生きているひとは死んでいて、死んだ人こそ生きているような』制作国 : 日本日本公開 : 1980年4月1日ジャンル:ホラー / ミステリーあらすじ士官学校の教授・青地豊二郎と、元同僚で無頼の友人・中砂糺は、旅先の宿で弟の葬式帰りだという芸者・小稲と出会う。1年後、結婚したという中砂の家を訪ねた青地は、新妻の園を見て驚く。彼女はかつて旅先で呼んだ芸者・小稲と瓜二つだった。※参照元:U-NEXT日本版 予告...
ホラー

ヘレディタリー/継承 (2018年) 127分【ネタバレ・考察】個人的No.1ホラー映画。内側からじんわり浮き上がってくる何か。

ネタバレ無し感想この映画のサントラ聞いているとメンタルおかしくなりそうになります。 いろんなタイプの恐怖が調和させており、見る人の潜在意識によって恐怖の種類が変わるような映画だと思いました。ヘレディタリーを見ていると何か良くないものが自分にじんわり染みてきているんじゃないかという気持ちにさせます。めちゃくちゃ好きなホラー映画なのですが、2度と見たくないです。でも2度観ることが前提で作られている映画な気がしますし、2回目も楽しめます。1回目観た時はただただ飲み込まれていく一方でしたが、全体の内容を把握してからの方がもっとのめり込んで怖がれます。素晴らしい演技力とにかく演技力が素晴らしいです。この作品がホラーじゃなかったらトニ・コレットはアカデミーでしょう。それぐらい感情の発露がすごかった。感情の起伏が抑えきれずに表に出てきてしまう母親の演技とは相反してピーター役のアレックス・ウルフは抑えたところの演技力が特にすごかった印象です。思考停止のシーンなど。怖いのに見てしまう自分が嫌になる本作のグロはただただリアリティに満ちていて、無駄な鮮血がありません。しかし画面から匂いを感じるような、リアリ...