個人的絶頂映画

SF

サブスタンス (2024年) 142分【ネタバレ・考察】女によるルッキズム社会への復讐。日本版の予告編からは全く想像がつかない展開から、怒涛のラスト。あれだけのことをやっておいて、また驚くようなオチを付けれたのがすごい。噂が噂を呼んで大ヒットしそうな最強ホラー映画。

ネタバレ無し感想この映画、女なら全員が晒されている年齢や外見によるジャッジに対する怒りを徹底的に表現しておきながら、めちゃくちゃエンタメ性が高い作品でした。予告編からは想像できないくらいグロいので苦手な方はご注意ください。あと、日本版の予告編が非常に優秀なので、海外版の予告編は観ずに観にいった方が楽しいと思います。ネタバレ絶対厳禁の映画です。海外版の予告編はみない方がいいかも日本版の予告編では、とある要素が完全に隠されており、本編の展開にめちゃくちゃ衝撃を受けました!UK版の予告編などでは若干描かれてしまうので、この衝撃は受けられなかったと思います。日本版の予告編優秀!海外版の予告編は観ない方がいいかもしれません。映像も脚本もビビットキャラクターや欲望が結構デフォルメされて描かれていた印象です。無駄のない映像美と同様に脚本も無駄がなかったように思います。案外セリフが少ないです。SF設定に関してはなんだこれ!となりますが、そんなことツッコませないほどにテンポが良く、映像の美的センスが独特なので心地よく観れます。映像がオシャレながらホラーとしてもめちゃくちゃ成立していて、社会的なテーマも盛...
ドラマ

シンシン/SING SING (2023年) 107分【ネタバレ・考察】「グリーンマイル」、「ショーシャンクの空に」を圧倒的に凌駕する刑務所映画の傑作。綺麗事に頼らず、地に足が着いた切実な刑務所映画。その場にいるかのようなリアリティ。痛みも温もりも描かれており、魂を感じる名作。

ネタバレ無し感想宣伝文句で「グリーンマイル」や「ショーシャンクの空に」が使用されていますが、上記2作品より圧倒的に素晴らしかったです。 個人的にはNo.1の刑務所映画です。個人的には上記の2作品はあまりにも現実離れしている印象だったので全く刺さりませんでしたが、本作はブッ刺さりました。本物の元収監者が出演していて、さらに長回しのシーンが多く、カメラのブレもドキュメンタリーかのようで、とにかくリアリティが凄いです。あと噛んでいるシーンもそのまま使われていました。しかも噛んでいるシーンの俳優を調べたら元受刑者ではなくプロの俳優の方だったので、見終わった後に笑いました。是非映画を観て確かめてみてください。多分あれは噛んでます。笑キャスト情報は確認せずに観てほしい本作には元収監者が出演しています。プロの俳優と元収監者が混ざって演技をしています。本物の元収監者がプロの俳優に太刀打ちするって相当難しいはずなのに見事に見分けが付かなくなっていました。その逆も然りです。とにかく本作はドキュメンタリーを観ているのかと見間違うほどのリアリティがありました。誰が受刑者で誰が俳優なのか、予想してみて欲しいです...
コメディ

マルセル 靴を履いた小さな貝 (2021年) 90分【ネタバレ・考察】とにかく可愛いくて笑える素敵な物語で心が浄化される映画。製作期間7年のA24によるストップモーション×実写。掘り出し名作。

ネタバレ無し感想マルセルがとにかく良いキャラしていて可愛いです。貝が生活しているという世界観がきちんと作り込まれていて楽しいです。キャラクター造形もしっかりしていて、物語もすんなり入ってきます。コメディ要素が可愛くて笑えるので老若男女が楽しめると思います。物語のクオリティもものすごく高いのでもう一回観たいです。詩的な表現やマルセルが感じていることを語るシーンはどこか感動的で心に残る印象的でした。めちゃくちゃテンポよくて惹きつけられますし、映像も脚本も素晴らしく、感動と笑いのバランスが凄く良い作品でした。根底には深いテーマが流れており、もう一度鑑賞したいと思いました。事前情報作中、60ミニッツというテレビ番組が出てきますが、これはアメリカのドキュメンタリー番組です。1968年から放送されている長寿番組で、ハリウッドスターや政治、医療など幅広い題材を取り扱っている人気番組です。Youtubeチャンネル:基本情報Marcel the Shell with Shoes Onマルセル 靴を履いた小さな貝2021年 90分キャッチコピー『貝だって人生は、ままならない』製作国 : アメリカ日本公開 ...
スリラー

教皇選挙 (2024年) 120分【ネタバレ・考察】息継ぎができないほどの澱まない緊張感。圧倒される映像美と音響。素晴らしい演技と脚本。文句のつけどころがない胃が痛くなる名作。<観る前の必要情報>

ネタバレ無し感想これは久々に痺れましたね。 細部まで作り込まれた衣装、建物、美術、音響、音楽、全てが美しかったです。また俳優の演技も本当に素晴らしかった。あまりにも素晴らしい演技だったので主人公に感情移入し過ぎてしまい、鑑賞中に胃が痛くなりました。私は基本的にミステリーは得意ではないのですが、本作は密室で人間模様がメイン、しかもとてつもないリアリティで描かれるため、全く退屈することなく最後まで惹き込まれました。キリスト教の知識が必要だと思われる方が多いかと思いますが、全く知識が無くても楽しめる作品となっております。どちらかというとアメリカの政治や社会問題についての知識がある方が楽しめるかもしれません。体調万全で挑もうホラー映画かと錯覚するほどの凄まじい緊張感がずっと続きます。むしろ、ホラー映画の方が優しい。本作ではリラックスできるタイミングが全くありません。ハラハラし続けるので、結構体力を持っていかれます。寝不足時の鑑賞はオススメしないかもしれません。人によってはオススメしない本作は素晴らしいクオリティの作品ではあるのですが、派手な展開はないため、人によっては寝てしまうかもしれません。...
エロティック・スリラー

ベイビーガール (2024年) 115分【ネタバレ・考察】また女の性の開放をまた描くの?と思ったらポリアモリーやEQ、ジェネレーションギャップなど、どこか新時代的な内容の映画だった。20年後にまた観たい。

ネタバレ無し感想このタイプの主人公の第一人者でしょう! あるいは二度とこのタイプの主人公は現れないでしょう!笑それにしても大御所にして、ここまで恥部を曝け出したニコール・キッドマンには感服です。ホンモノ過ぎる。本作でより一層ファンになりました。個人的には女性のオーガズムシーンNo.1のインパクトがある映画です。鑑賞直後はそこまで高評価ではなかったのですが、鑑賞後にどんどん評価が上がりました。しかも観たことのないタイプの映画過ぎて、観た直後は消化不良を起こしていましたが、時間が経てば経つほど面白いです。さすがA24が配給する作品、新しい価値観をぶつけてきます。フェミニズム的な始まりですが、それよりZ世代との価値観のギャップに戸惑いながらも、その新しい価値観によって解放される作品に見えました。爆笑できるシーンもちょいちょいあったので早くもう1回観たい。とにかくいろんな年齢層、性別の人の感想が聞きたくなりました。人によって視点がだいぶ変わりそうなので、ある種のリトマス試験紙になり得そうな作品です。基本情報Babygirlベイビーガール2024年 115分キャッチコピー『やめないで』キャッチコ...
B級ホラー

呪怨 ビデオオリジナル版(2000年) 76分【ネタバレ・考察】天才としか言いようがない。心霊ホラーが全く怖くない私が、怖過ぎて洗顔する際に支障をきたしたホラー映画。

ネタバレ無し感想先日、貞子vs 伽椰子を見たのですが、想像以上に伽椰子のビジュアルが怖かったので、本作を視聴することにしました。伽椰子も俊雄も物心ついた頃には、お二人ともスターになられており、コメディで消費されているお姿しか見たことがありませんでした。なので油断してしまい、かなりダメージを喰らいました。人怖、心霊、人体破壊など、ありとあらゆる恐怖演出をしてくるので、少しずつHPが削られ、ラストでトドメを刺されます。それぞれの人物描写が緻密に描かれているので、心霊描写にも説得力があり恐怖度が高いです。この映画すごい。かなり怖い。そして魅せるシーンと見せないシーンの緩急が素晴らしいです。また、一部の描写はあえて見せないことでこちらの想像力に委ねることにより、見えるより怖いシーンがちらほらとあります。前半は大人しいのですが、なんか小気味良いテンポで話が進んでいくので、とっても見やすいです。そして少しずつ怖くなって行くので、後半はめっちゃ集中してしまい、気がついたら映画が終わっていました。これはすごい。そして映像の質感、普通なら安っぽいと一蹴してしまいそうですが、本作はその安っぽい質感すら上手...
アドベンチャー

悪い子バビー (1993年) 114分【ネタバレ・考察】なんで本作がそこまで有名じゃないのかが解せない。宗教へ疑問を抱かせ存在意義を問う強烈な名作。『哀れなるものたち』の男&現実版。思考実験のような映画。

ネタバレ無し感想本当にすごい作品を見てしまった気がします。感動したのか何なのかわかりませんが、本作を見終えたとき呆然としていました。嵐のようなテンポ感で進んでいき、気がついたら映画が終わっていました。作中、ずっと悲しくて切なかったのですが、後味の悪くない素敵な作品です。『哀れなるものたち』の男・現実世界版という感じでしょうか。今の時代には作れない作品です。そしてバビー役の俳優の演技力がすごいです。かなり体も張ってます。そしてものすごく目が綺麗です。あと映像、音楽も面白い。そしてテーマは人体の構造のように複雑に絡み合っていて言語化ができません。まさにアートという感じです。映画である必要性のある作品という印象を受けました。基本情報Bad Boy Bubby悪い子バビー1993年 114分キャッチコピー『奇妙で、無情で、過酷でも、愛に溢れた人生。』製作国 : オーストラリア/イタリア日本公開 : 2023年10月20日イタリア(ヴェネツィア映画祭):1993年9月1日オーストラリア:1994年7月28日製作費 : 80万豪ドル興行収入 : 808789豪ドルレイティング : R18+ジャンル...
B級ホラー

ザ・ハント (2020年) 89分【ネタバレ・考察】右翼も死ね!左翼も死ね!富裕層も貧困層も死ね!っていうみんな死ね映画

ネタバレ無し感想予告編も見ずに見た方がいいです。富裕層も貧困層も右翼も左翼も徹底的にバカにする愉快犯的な映画でした。 右も左も上も下も、四方八方全部が敵よ!正義も神もクソ喰らえ!俺は生きたいだけだ!っていうロックな感じ。世の中のいろいろなどうでもいい思想にうんざりしている人はめっちゃ楽しいと思います。この映画は全ての思想をバカにしています。この映画に主張があるとすれば、人間はバカっていうことですかね。邦画でリメイクするなら絶対に藤原竜也が序盤のあの男に配役されて欲しい。ムシャクシャした時におすすめです。基本情報The Huntザ・ハント2020年 89分キャッチコピー『全米が封印した、2020年最大の問題作。』製作国 : アメリカ日本公開 : 2020年10月30日アメリカ:2020年3月13日製作費 : $14,000,000興行収入 : アメリカ・カナダ:$5,812,500日本:2800万円世界:$10,843,260レイティング : R-15ジャンル:アクション / スリラーあらすじ森の中で目覚めた12人の男女。そばにあった巨大な木箱には、1匹の豚と数々の武器が収められていた。...
アドベンチャー

食人族 (1980年) 95分【ネタバレ・考察】食人族によるエクスプロイテーション映画かと思っていたらカウンターパンチを喰らうファウンドフッテージの元祖。観客を含む全員が食人族エンド。

ネタバレ無し感想製作陣、観客、関係者の全員に唾を吐き捨てるような作品でした。 ジョーカー:フォリアドゥに通づる、観客に対して冷水をぶっかけるメタ的な構造になっています。好きです。一部、本物のスナッフフィルムが差し込まれています。そして本物の動物を殺すシーンもあります。その他のグロ表現もクオリティが非常に高いです。グロ映画にあまり耐性がない方や、グロ映画初心者の方は、テリファー 終わらない惨劇あたりから見始めるのをオススメいたします。残虐シーンがドキュメンタリータッチで撮影されているのもあり、リアリティがすごいです。泥だらけで汚い。現地の人に撮影協力をしてもらったそうですが、それも相まってリアリティに拍車がかかっています。グロ過ぎて何がなんだかわかんねーよ!映像的なインパクトもそうですが、案外ちゃんとテーマ性がありました。しかし、グロ描写のインパクトが強過ぎてあんまり内容が入ってきません!そして、もう一度観ようという気には到底なれません。本作はあらゆるレビューサイトで非常に評価が低いのが特徴です。グロだけで作られた作品ではなく、案外映画としても内容がしっかりしていましたが、グロ映像のイン...
ファンタジー・ホラー

ブルー・マインド (2017年) 97分【ネタバレ・考察】少女が大人になるまでの過程をホラーにした映画。

ネタバレ無し感想カミング・オブ・エイジ・ホラーっていうんですね。この映画を見終わった後に思い出したセリフはヴァージン・スーサイズの『先生に13歳の女の子の気持ちがわかるっているの?』でした。思春期の情緒不安定さもよく表現されていて、自分が思春期だった頃の気持ちを思い出しました。ホラーの種類としては、キャリーやRAWに通ずるタイプです。自分の体が大人へと変化していく自分の体への恐怖が主軸となっています。個人的にはめちゃくちゃ好きなエンディングでした。面白かったです。もう一回観たいかも。基本情報Blue My Mindブルー・マインド2017年 97分キャッチコピー『少女は変態する。』キャッチコピー(英語)『MIA’S BODY IS CHANGING』製作国 : スイスレイティング : R-15ジャンル:ファンタジー・ホラーあらすじ両親の仕事の都合で新しい街に引っ越してきた15歳のミア。親へのいら立ちと、大人の女性に変化していく自身の不安を抱えながら、彼女はクラスの仲間たちと悪い遊びに手を染めていく。そんななか、彼女の体に不気味で不自然な変化が起こり始める。※参照元:U-NEXT日本版 ...