ネタバレ無し感想
製作陣、観客、関係者の全員に唾を吐き捨てるような作品でした。
ジョーカー:フォリアドゥに通づる、観客に対して冷水をぶっかけるメタ的な構造になっています。
好きです。
一部、本物のスナッフフィルムが差し込まれています。
そして本物の動物を殺すシーンもあります。
その他のグロ表現もクオリティが非常に高いです。
グロ映画にあまり耐性がない方や、グロ映画初心者の方は、テリファー 終わらない惨劇あたりから見始めるのをオススメいたします。
残虐シーンがドキュメンタリータッチで撮影されているのもあり、リアリティがすごいです。
泥だらけで汚い。
現地の人に撮影協力をしてもらったそうですが、それも相まってリアリティに拍車がかかっています。
グロ過ぎて何がなんだかわかんねーよ!
映像的なインパクトもそうですが、案外ちゃんとテーマ性がありました。
しかし、グロ描写のインパクトが強過ぎてあんまり内容が入ってきません!
そして、もう一度観ようという気には到底なれません。
本作はあらゆるレビューサイトで非常に評価が低いのが特徴です。
グロだけで作られた作品ではなく、案外映画としても内容がしっかりしていましたが、グロ映像のインパクトが強過ぎて内容飛びませんか。
利益のために命を利用する製作陣というメタ的な構造
映画内でのテレビ関係者は”行方不明になった撮影クルーが最後に残したフィルム”というセンセーショナルな触れ込みで商業的ヒットを狙いました。
全く同じことをこの映画の製作陣は行なっています。
何この構造。ウケる。
しかし自己批判も感じません。
”人はそういうものに興味がある。そしてそれは儲かる。
この世はそういう仕組みでなっているじゃないか。それにのかっただけだ。”
というそれ以上でもそれ以下でもないように感じます。
本作の志は”面白くて売れる映画を作る”ほかになく、資本主義社会の道徳的な間違いを認識しながらも是正するつもりがないという、ただ商業的に売れるであろうものを冷静に作ったという作品の印象です。
綺麗事でも、自分自身を正当化するつもりだってさらさらないという佇まいは爽快です。
本当に動物を殺している
動物を捌く映像を見慣れていると動物のシーンはそんなにグロさを感じないかもしれません。
ディスカバリーチャンネルのベア・グリルスやエド・スタッフォードの番組を好んで見ていたので、そこまで嫌悪感はありませんでした。
個人的な感覚だと食べたのであれば世界中で日常的に行われていることなので、特に何も感じずに見ていました。
むしろ、”サバイバルはもっと過酷で残酷なはずだろ”と思ってしまいます。
映画内の物語的にもあくまでも食べるために殺しています。
撮影でも、現地では食用とされている動物たちだったようで、実際に食べたそうです。
そのため、映画という”遊び”のために殺しているとは言えそうですが、無駄にしているとはいえません。
しかし、映像では動物を殺す手際が悪く見えたのでもっと楽な殺し方をしてやれよと思いました。
基本情報
Cannibal Holocaust
食人族
1980年 95分

https://mubi.com/fr/jp/films/cannibal-holocaust
製作国 : イタリア
日本公開 : 1983年1月15日
イタリア:1980年2月7日
製作費 : $100,000
興行収入 : 日本:8億5000万円
レイティング : R18+
ジャンル:ホラー / アドベンチャー
あらすじ
アメリカ人ドキュメンタリー撮影隊が“グリーン・インフェルノ”と呼ばれる南米アマゾン奥地を探索中に消息を絶った。現地に向かった救助隊はジャングルで食人族の村にたどりつき、白骨化した遺体を発見。持ち帰った撮影済みフィルムを現像して上映すると…。
※参照元:U-NEXT
日本版 予告編
英語版 予告編
スタッフ
監督 : ルッジェロ・デオダート
脚本 : ジャンフランコ・クレリチ
製作 : ジョヴァンニ・マッシーニ/F・D・チネマトグラフィカ
音楽 : リズ・オルトラーニ
配給 : イタリア/アメリカ:ユナイテッド・アーティスツ
キャスト
モンロー教授:ロバート・カーマン
フェイ:フランチェスカ・チアルディ
アラン:ガブリエル・ヨーク
ジャック:ペリー・ピルカネン
マーク:ルカ・ジョルジオ・バルバレスキー
チャコ:サルヴァトーレ・ベイジル
ミゲル:リカルド・フエンテス
フェリペ:ギレルモ
TVレポーター:エンリコ・パパ
女性プロデューサー:ケイト・ワイマン
ポスター/パッケージ(国内外)
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おせっかい情報
見る際の注意
本物の動物が殺されるシーンがあります。
本物の虐殺映像が映ります。
グロもかなりグロいです。
こんな人におすすめ
とんでもない問題作を観たい
この作品が好きな人が好きそうな映画
- ピンク・フラミンゴ (1972年) 93分
- ウィッカーマン
※完全な偏見です。
⚠️ネタバレ有レビュー⚠️
野蛮な都会のビジネスマン
視聴率のためなら倫理観の逸脱を厭わないテレビ局。マスゴミ。
若者が失踪したとき、彼らの安否よりもそのキャッチーな事実に興奮したのではないですか?
”行方不明になった撮影クルー!”というショッキングなキャッチコピーにより、視聴率が上がるのではと意気揚々としていたのではないでしょうか。
一攫千金のためなら自国民の若者が死のうと、知らない部族が死のうと、面白い映像が撮れればいいという、利己的な倫理観を持っている撮影スタッフ。
人権意識なんて微塵もありません。
資本主義という悪魔に魂を売った奴隷とでも表現しましょうか。
この映画の製作者も食人族
https://www.peacocktv.com/unavailable
本映画の製作者はどのような映像で、どのようなマーケティングで映画を売ればヒットするのか、よくわかっています。
本作は公開当時、ドキュメンタリーとして宣伝されました。
1980年のインターネットが無い当時、一般人がどのように真偽を精査できたでしょうか?
映画を観るほかありませんね。
また、その真実性を増幅させるために、映画内で死亡した4人の若者と
”1年間は表舞台の仕事をしない”
という契約を交わしていました。
観客の性質を明確に把握し、金のために実際の動物を殺したり、実際の虐殺の映像を使用した製作陣。
”金のために生物の死を利用している”という点では映画内のテレビ局と同じことをしています。
この映画の製作陣は、この映画で唯一、悪役ポジションとして描かれているテレビ局と同じことを行なっており、さらには観客でさえもこの醜い仕組みの一端であるということを突きつけてきます。
観客も食人族
本作を再生した方は、本作品に何を期待して再生ボタンを押しましたか?
多くの人はとんでもなく野蛮で、あまりにも非文明的で残酷な食人族の姿が見たくて映画を再生したのではないでしょうか?
食人族によるとんでもないエスクプロイテーション映画を期待した人が多いのではないでしょうか。
その期待を裏切るかのような前半の描写。
食人族は、4人の撮影クルーにあまりにも酷い惨殺や強姦を受けたにもかかわらず、同じく白人の教授がきたとき、攻撃をしたりはしませんでした。
むしろ、味方が1人殺されたために、食人族を無差別に殺す軍兵の方がよっぽど野蛮で非文明的のように見えます。
食人族のことなんて何も知らないのに、印象だけで判断する観客のお前らも野蛮な食人族と一緒だぞと言われているような気になります。
人種差別的な文明人と、個々で判断する部族
部族たちを見つけるや否や銃で虐殺するところから島でのシーンは始まりました。
しかし、部族の彼らはあくまで見た目や人種で敵を見なすのではなく、彼らの態度を観察し、危害があるかどうかを判断して攻撃するかどうかを決めています。
現に自分たちの仲間を虐殺したのと同じ人種である白人がいたとしても教授をむやみやたらに殺そうとすることはなく割と距離感を保ちながら短い間ではあるが共存していました。
そして、フィルムを返却してくれました。
文化が違うだけで対話しようと思えば対話できる部族でした。
食人族の方がまともじゃないか!食人する文化があるだけだ!
裏切り続ける展開
この映画、ずっと先の展開が気になるように構成されてます。
まずタイトルとパッケージのせいで序盤から”いつ殺戮が始まるんだ!?”とハラハラしていましたが、序盤は抑えめです。
しかも行方不明となった撮影クルーが殺されたことを先に教えてくれます。
そしてフィルムの回収に成功。
ということは若者たちがどのように殺されたのかが、このフィルムによってわかるのか、ここからが本番なのか、と後半も興味を惹きつけます。
しかし、ここでも観客の期待を裏切ります。
なぜなら残虐に若者が殺されるのかと思ったら、若者が食人族に残虐行為を行うからです。
酷すぎる。
先方の文化を尊重する行為
教授が島に到着したとき、川辺で部族の女が姦通の罰を受けていました。
教授たちはそれを止めることなく、儀式が終わるまで見守り、邪魔をしませんでした。
”どうせ銃声で追っ払うなら女を救ってやれよ”と最初みたときは思ってしまいましたが、相手の文化へのリスペクトってこういうことなんですね。
郷に従えば、郷に従うということはこういうことなのかと思いました。
食文化とカニバリズム

https://drafthouse.com/omaha/event/drafthouse-of-horrors-cannibal-holocaust
犬を食う国だってあるでしょう。
牛を神と崇めている国もあるでしょう。
鯨は美味しいでしょう。
本作のカニバリズムは食文化の一つとしてのカニバリズムでした。
サイコパスのお遊び人肉食ではないのであんまり嫌悪感はありませんでした。
犬と比べるとかなり厳ついですが、部外者が口出しする話でもないのかなと思います。
国境は欲しいですが。
ちなみに現実にも食人を行う文化を持つ部族は存在しましたが、国の法律によって規制されています。
交流
全裸になって湖にはいったら女たちに遊ばれていましたね。
体を触られたり、チンチンをツンツンされてて、なんか仲良さそうです。
有効的に接していれば、食人族はむやみやたらに人を殺すわけではないということですね。
価値観はまるでわからない
全裸で棒立ちになり、吹き矢をめっちゃ打たれていました。
でもギリギリ当たらないところに撃ってもらっていましたね。
勇姿を見せたから認められたみたいなこと言ってましたが、なるほど?ん?
発狂する村人?長老らしき人が突如発狂し始めました。
そしてナイフを渡して使い方を教えたら落ち着いていました。
ん?なるほど?
音楽を流したらみんな興味津々で楽しそうでしたね。
そしたら死体を下ろしてきました。夕飯に招待するということらしいです?
これはあのボイスレコーダーとフィルムを交換したみたいです。
それはわかる。フィルムは再生できないもの。
音が鳴る方がいいよね。
ただ本当に食人族の価値観が理解ができません。
私なら交流できる気がしないです。
無事に帰国
無事、フィルムを回収し、教授はアメリカに帰国しましす。
交流しようと思えば交流できるので、食人族は我々が思っているほど野蛮ではないという証明です。丁寧なお膳立てでした。
あれはなに?
妊婦の女性が腕を縛られて、女たちが囲んでなんかしていました。
若者は”外科手術”と言っていましたが、内蔵らしきものを取り出していましたか?
出産かと思ったんですが、何かを取り出してすぐ泥に埋めてましたね?
あれはなんだったんでしょう?
中絶ですか?なんですかあれは?
その後に女が頭を石で叩かれて殺されていました。
なんですかあれは?
串刺しにされていたのはこの女の人ではなさそうです。
髪の長さも胸の大きさも違いました。
迷惑系Youtuberと同じ

http://www.anonimacinefili.it/2023/08/22/cannibal-holocaust-film-cannibali-storia-vera-spiegazione-significato-finale/
死亡した若者たちの素行調査が行われていました。
親や周囲の人間にインタビューをする映像が差し込まれていましたが、どうやら彼らはバカで親からも見捨てられているような若者たちだったようです。
本当に調子に乗っていて浅はかな連中。
無法地帯でやりたい放題やっています。
これ胸糞悪過ぎる。
両親にまともに教育を受けていなかったようです。
一昔前の、迷惑系Youtuberと同じですね。
『人の不幸で金儲けですか?』

https://bloody-disgusting.com/interviews/3615111/meat-cannibal-holocaust-zombie-film-never-definitive-ruggero-deodato-interview/
若者たちはヤラセ・ドキュメンタリーにより、ショッキングな映像を撮ることで仕事を得ていたようです。
部族を部屋に押し込んで生きたまま燃やしました。
そんで部族の女を輪姦。
部族の女を猿と呼んでいましたね。
串刺しの女は誰の仕業なのか

https://www.timeout.com/movies/cannibal-holocaust
このパッケージのシーンですが、輪姦シーンのあと、フィルムの替えが行われ、その後、映された映像では串刺しの女を発見するという流れでした。
『徐々にアップで撮れ』
と言ってカメラが近付きます。

https://rhandawatches.wordpress.com/2010/11/19/cannibal-holocaust-1980/
『笑うな、撮ってる』
アランはいい画が撮れて嬉しいようで、ニヤけていました。
これ若者たちが輪姦した女を串刺しにしてヤラセをしているっていうことですよね?
この部族の女、顔はよく見えなくてわかりませんでしたが、髪の長さは同じくらいです。
序盤に部族の姦通の処刑方法が前半に映っていましたが、それとは違う処刑方法ということは
若者がやったということですよね?
やっと死んでくれた
金髪の若者はちんこを切り落とされていました。
女はレイプされたのちに首を切り落とされていました。
黒髪の男が殺された顔でフィルムの映像は終わります。
若者たちが殺されてスッキリしました。
首を切られてざまあみやがれと思いました。
「食人族は一体誰なんだ?』
我々全員だよ!
関連情報
首狩り族に喰われたロックフェラー
マイケル・ロックフェラー
(1938年5月18日 – 1961年11月19日(失踪))
https://historia.nationalgeographic.com.es/a/michael-rockefeller-y-su-tragica-desaparicion-nueva-guinea_17983
彼は、ニューヨーク州知事で後に米国副大統領となったネルソン・ロックフェラーの息子であり、
アメリカの投資家ジョン・D・ロックフェラー・ジュニアの孫であり、
スタンダード・オイルの共同創設者ジョン・D・ロックフェラー・シニアの曾孫(ひまご)である。
つまり、死ぬほど金持ちということで有名なエリート一族に生まれた男です。
彼も高学歴でハーバード大学で人類学の研究を行っていたそう。
そしてある日、ニューギニアのアスマット族と交流しており、船で移動しようとした際にボートで遭難してしまいました。
マイケルは助けを求めに泳いで島に向かいましたが、そのまま戻ってこなかったそうです。
アスマット族には人肉を食べる風習があるとされており、マイケルは助けを求めに行った島で食べられたのではないかと言われています。
息子の不明を知ったネルソンは直ちに現地入りし、大規模な捜索を行なわせたが発見出来ず、マイケルの行方は永久に不明のままとなった。
引用元
マイケル・ロックフェラー – Wikipedia
Michael Rockefeller – Wikipedia
実在したとされる食人族
オセアニア
Oceania

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%BB%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%A2
イースター島では1600年頃から1700年頃にかけて人口が約70%減少した。
その要因として現地住民の人為的環境破壊(モアイ作成のための森林伐採)が挙げられるが、結果として野生動物の肉の供給源が失われることになり、最終的に少ない食料を巡っての部族抗争が起き、人肉を食すようになったといわれ、当時のゴミの集積地跡からは人骨が発見されている。
上記はジャレド・ダイアモンドが著した『文明崩壊』に記載されている内容であるが、2020年、ダイアモンドの説には誤りがあるとの研究がいくつかある。
当時の遺骨には争った形跡が殆ど無いことから、抗争は無かったとの説が出てきており、この説によればイースター島の住民が激減したのは、西洋人による奴隷狩りが主な原因とされる。
一方で、やはり文明崩壊、そして人肉食は起きたと主張する学者もいる。
1961年に、ニューギニア島の奥地で人類学者のマイケル・ロックフェラーが原住民に殺され食べられたと報じられた。
動物の捌き方
亀の捌き方は正しい捌き方のようです。
首を落として絞めたあとに、腹の方の甲羅を取るという流れです。
映画では血抜きのシーンはありませんでしたが、甲羅を取る前に血抜きをするそうです。
そして亀は首を切られた後もしばらくは動くようで、映画と同じでした。
猿を捌く動画は見つけられませんでした。
食べる動画はあったのですが。
それにしても頭蓋骨からバッサリ切っていたのであれは流石にあり得ないと思います。
首の動脈を切った後に血抜きをするのが普遍的な動物の殺し方だと思うのであれは残酷性を強めるための虐待ですね。
ブラックホールによる食人族映画特集
配給会社
株式会社エクストリームにより、4Kリマスター無修正版がU-NEXTに上がっています。
下記の動画では本作に関する裏話を話してくれています。
参考情報
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