悪い夏 (2025年) 114分【ネタバレ・考察】窪田正孝、ワンダフル☆生活保護に関するエンタメ・クライム映画。もっと社会派な要素があるかと期待していたが、エンタメに振り切っていたので見た後に何も残らなかった。演技良き。暑そうな映像。クライマックスには大満足。

悪い夏

ネタバレ無し感想

この映画、最初ポスターを見た時は”これは観ないと!”と思ったのですが、予告編を観て劇場鑑賞をやめた作品でした。

社会のシステムや組織に対して物申す系の映画なのかなと思ったら個人の話っぽかったので刺さらなそうだなと。

私の勘は当たっていました。
全然、刺さりませんでした。

エンタメに振り切った映画

エンタメ・クライム作品として気軽に観れる作品だと思います。
テンポ感も良く、演技も見応えがあって、刺さらなかった内容にしては観やすかったです。

もっと胸糞展開を期待していた

生死迫る貧困を描くならもっと胸糞悪くていいと思ったのですが、そこまで深掘りはされず、案外あっさりしています。

人物の言動もあんまりしっくりきませんでした。

全年齢対象で安心して観れると思います。

漫画っぽい

キャラクターが過度にデフォルメ化されている印象で、漫画っぽいです。
画面や世界観には馴染んでいますが、全くリアリティを感じない展開と人物たちでした。

しかし細部に感じるリアリティ

全体的な話は思いっきりフィクション感が強く、現実味を全く感じませんでしたが、貧困層の描写にはところどころリアリティを感じました。
汚いところを惜しげもなく描いていたところが好感度高いです。

クライマックスには興奮

個人的にはあのクライマックスは大好きでしたね。
爆笑しました。
人によっては”作品のトーンが急に変わった”と感じるかもしれませんが、個人的に最大にエンタメ性を感じたクライマックスでした。

基本情報

Warui Natsu
悪い夏
2025年 114分

悪い夏

キャッチコピー『公務員、闇落ちー』
製作国 : 日本
日本公開 : 2025年3月20日
レイティング : PG-12
ジャンル:サスペンス / スリラー

あらすじ

市役所の生活福祉課に務める佐々木は、ある日 「同僚が生活保護受給者のシングルマザーに肉体関係を迫っているらしい」 という相談を受け、 真相を確かめようと彼女のもとを尋ねる。 その出会いが“地獄”の始まりだとも知らず……

※参照元:公式サイト


日本版 予告編

スタッフ

監督 : 城定秀夫
脚本 : 向井康介
原作 : 染井為人『悪い夏』
製作 : 藤本款/遠藤徹哉/久保田修
製作総指揮 : 藤本款
音楽 : 遠藤浩二
配給 : クロックワークス

キャスト

佐々木:北村匠海
林野愛美:河合優実
宮田有子:伊藤万理華
高野洋司:毎熊克哉
梨華:箭内夢菜
山田吉男:竹原ピストル
古川佳澄:木南晴夏
金本龍也:窪田正孝

おせっかい情報

見る際の注意

特になし。

こんな人におすすめ

エンタメ・クライム映画が好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

  • サンブンノイチ

※完全な偏見です。


 

Amazon Prime Video

悪い夏

悪い夏 原作本

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

散漫してしまったテーマ

生活保護システムが抱える問題というより、個人がハニトラにかけられるということが話の中心にあるので、あんまり感情移入できませんでした。

しかもこの主人公にも感情移入できなかったのでずっと他人事として観ていて乗れませんでした。

美化しない底辺

少し前までは”底辺は純朴で悪い人じゃない”みたいな描写多くなかったですか?
そもそも邦画をそんなに観ないので見当違いかもしれませんが、少なくとも本作では本当に底辺になるべくしてなったんだろうなというキャラクターしか出てこないので良かったです。

本当にバカでクズで、むしろ生活保護で大人しくしておいてくれと思うような人たちでした。

謎の童貞設定

なんか主人公の佐々木が童貞っぽいという話が出ていましたが、物語の展開として、”童貞だから女に騙された”って感じもありませんでした。
チンコが動機であれよ!
薄着のシンママの谷間を覗くくらいのことをしてみろよ!

子供好き

子供大好きやん。笑
女よりも全然子供が大好きやん。笑

佐々木は可愛い童貞(疑惑)でした。
子供が好きで、付随してついてくる母親にも感情移入し始めたというような印象でした。

最初はクレヨンを欲しがる子供可愛いー!ってなってたみたいですが、一緒に過ごしていくうちに母親にも情が湧いたという感じいでしょうか。

童貞(疑惑)が子供と共鳴したんでしょうか。笑
この展開、なんか違和感があります。笑

生徒会長みたいな女

やたらと正義感が強い女にも違和感がありました。
身内の悪行を是正しようとするのは理解できますが、もっと他の点でも正義感を爆発させてもらいたかったです。

不正受給を正すというのと、必要な人に生活保護を受けさせるのにもアツイ持論を述べて欲しかったですね。

と思いながら観ていたんですが、こいつもクズかよ。笑
正義感なんかじゃなくて主な動機は私情でしたね。笑

キモい性描写

なんか徹底的にキモくないですか?
やたらと男の性欲キモい系映画でした。

主人公の童貞(疑惑)さが際立って良いですね。

サイコパス金本!

金本めちゃくちゃ良かったです!!!
個人的には一番好きなキャラクターでした。
蛇みたいな奴。

コミュ力は高いですが、その向こう側には何も感じていないんだろうなというのが伝わるいい演技でした。
サイコパス感がいい塩梅で魅力的なキャラクターでした。

意外とこいつが現実を見ている!

『普通に働いているのがバカバカしくなるこの社会のシステムがおかしいんだ』
的なこと言っていましたよね?

意外とこいつが俯瞰的に物事を見れていて、一番IQ高い感じがしました。

佐々木を脅していた時も
『もちろん、需給条件を満たす連中を連れていくからさ』
ってちゃんと相手の立場に立って取り込んでいましたね。

よく言われている社会問題

不正受給が騒ぎ立てられて、本当に必要な人に生活保護が届いていないという描写がありましたが、なんか心に刺さりませんでした。

なんでなんですかね。
作品のトーンがエンタメ色強いので全然現実味がありませんでした。

でも実際に起きていること

このニュースを思い出しました。

生活保護が受けられず母子心中「行政の関係者は考えなおす余地がある」

この人たちのためにあるセーフティーネットじゃねーのかよ!
とこのニュースを見た時は思ったのですが、本作のシングルマザーに関しては感情移入ができませんでした。

母親に弱さを許さない(私)

個人的にこの母親はむしろ許せませんでした。
万引きをする前の段階で生活保護を検討し始めろよ。
他人の税金によって生きることへの抵抗感とか言っている場合じゃねーだろ。
息子がいるんだぞ。

私はこの母親にムカついていました。
万引きして母親が逮捕されたら息子どうなるのかわかんねーのかよ。

ダンサー・イン・ザ・ダークでも母親が全く哀れに見れずにイライラしていました。

弱者に感情移入できない(私)

あの母親は本当の弱者だと思います。
先のことが考えられないくらい精神的に疲弊しており、切羽詰まっているので間違った判断をしてしまったんだと思います。

でも子供を殺そうとしたのは許せなかったですね。
バカかよと。せめてどっかに預けてお前だけ死ね。

あと映画では胸糞度を下げるために死亡と明言していませんでしたが、練炭とか死んでますよね。
そして大抵、体力がない子供が死んで親が生き残るのが現実です。

福祉が届かない問題

この貧困母子に関しては明らかに福祉が必要でしたが届いていませんでしたね。
一応サイドストリーだとは思いますが、抜かりなく描かれていたのは良かったなと思います。

多分、この母親は社会を知らない無知なんでしょうね。
これこそ本当の弱者という感じがしました。

子供食堂とか、食料支援してくれるところとかあるのに。

この母子も完全に闇堕ちしていました。

三つ巴展開

サイコパス金本の反社会組織による貧困ビジネスと、シンママに恋した佐々木と、悪行を許せない生徒会長不倫女の三つ巴になっていきましたね。

それぞれの思惑が交錯していく感じは観ていて心地よかったです。
誰にも感情移入はできませんでしたが。

マナーがなっていない子供の描写が凄くいい

クレヨンを買ってもらったのにお礼すら言っていませんでしたね。

この描写が案外素晴らしかったと思います。

まともに教育をされていないというのがわかる秀逸な描写だったと思います。
底辺を美化しないところがこの映画のいいところでした。
貧困は金だけではなく、文化的にも貧しいわけです。

シンママの人物描写が凄くいい

自分で自分のことがわかっていない、人に流されて無気力になっているようでした。
シンママの過去について、多くは語られていませんでしたが、
『人生で初めて誕生日を祝ってもらえた』
って純粋に感動していたところは泣けました。

この人はまだ立ち直れる!まだ心は腐りきっていない!
と思って好きになりました。

それと同時にまともな環境で育っていない、自分が受けたことを娘にもしてしまっている、ネグレクトを受けて育ったのかなと勝手に推察しながら観ていました。

否定されて育ったっぽい

『軽蔑してますか?』
って聞いてましたね。
怒られると思ったって、あなた明らかに被害者なのに。
ここでは働いていることを知られていないので、佐々木も責める理由がないのに。

自己肯定感が徹底的に低いのが伝わりました。
まともな生育環境でなかったんだろうなと思います。

お前も底辺かよ

佐々木が水際作戦を越えて的外れにブチギレるシーンですが、この公私混同具合はコイツも追い詰められて貧しくなっているなと感じました。

弱者をさらにサンドバックにしていましたね。
本作最大の胸糞シーンだったんじゃないでしょうか。

でもやっぱり子供が好き

怒鳴って追い返した母子が無理心中を測ったと聞いたとき、
第一声で子供の心配をしていました。

佐々木はマジの子供好きかよと思って笑いました。
そこだけはブレないね。笑

あれってどういう処分を受けるの?

窓口担当からは外されるの?
罰則を受けるの?
マスコミに報道されるのですか?

もしも、生活保護の水際作戦で自殺者が出た場合、
職員はどうなるのですか?

そこがめちゃくちゃ気になりました。

まさかのクライマックス

『ちょっと待ってよなんなんだよ今日は』

マジでそれなwww

あんな狭いアパートで大団円を繰り広げていました。
めちゃくちゃ笑った。笑

この映画、本当にエンタメに振り切っているwww
この展開、個人的にはかなり大満足でした。

一応、ハッピーエンド?

佐々木とシンママはその後も仲良くしているようなエンディングでしたね。
佐々木の子供好きがとにかく徹底されていて面白かったです。

関連情報

参考サイト

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