噛む家族 (2024年) 49分【ネタバレ・考察】エンタメ×社会派を両立させてる日本のB級コメディ・ゾンビ映画。 ゾンビ家族がもしいたら?という日本ならではのシミュレーション。今の時代を反映した映画。

噛む家族

ネタバレ無し感想

この映画、最高でした。
低予算であることは間違い無いと思うのですが、この手のインディーズ映画でここまで面白い邦画に出会えてテンション上がりました。

全体的に笑えるし、考えさせられるような描写もあるし、切なさや悲しさも表現されており、素晴らしかったです。

安心して!どうでも良くなるから!

ゾンビのメイクなんて、ポスターの通りです。
全然ゾンビ感ないじゃん!

申し訳ないけどとてもメイクに金かかってるとは思えない。
特殊メイクは使用していないようでした。

にも関わらずそんなことが全く気にならなくなるほど引き込まれました!
これは名脚本が成せる技なのではないでしょうか。

たぶん、監督は魔法使い

役者の撮り方もめちゃくちゃ上手い。

申し訳ないことを言いますが、他の監督が撮っていたら役者の演技の下手さが際立って観てられなかったと思います。

しかし、本作では自然な演技と、力を入れているであろうポイントのメリハリがしっかりと付けられており、役者たちがよく撮れていました。

役者本来の良さを引き出すのが本当に上手いんだろうなと。
素材本来の味を活かしている料理人。

完全にナメてた

素晴らしい脚本と監督の手腕により、最後まで楽しく観ることができてしまいました。

低予算B級映画なのは間違いありませんが、限られた中で最高の作品を作ったんじゃないでしょうか。

メジャーの製作会社はこの監督に金だけ出して欲しい。
口は出さずに金だけ出して欲しい。

基本情報

噛む家族
2024年 49分

噛む家族

キャッチコピー『多様性の時代、ゾンビという生き方』
製作国 : 日本
日本公開 : 2025年5月9日
ジャンル:ドラマ / コメディ

あらすじ

人を見ると理性を失い、噛みつき感染させてしまうゾンビの家族。 今まで人目につかないよう、家の中から一切出ることなく静かに暮らしていたが、 外を知らない娘のために父親は、人間と共存していきたい、 せめて自分たちを受け入れてほしいと考えていた。 ある日、家の前で起こった事故の被害者に、娘が噛みついてしまったことをきっかけに、 このままゾンビ感染者を増やしていこうと試みる父親。 SNS上ではゾンビは物珍しく、多様性の時代だと一時は持てはやされるが、 ゾンビ一家の炎上をきっかけに世論が変わっていく——

※参照元:公式サイト


日本版 予告編

スタッフ

監督 : 馬渕ありさ
脚本 : 馬渕ありさ
製作 : 松永毅
配給 : ブロードウェイ

キャスト

藤見あんり:東杏璃
藤見剛:阿部能丸
藤見美樹子:登坂香代子
一郎:隈坂健太
一郎の祖母:下東久美子
みーちゃん:濱名香璃
運転手:本間駿佑
配達員:福田航
石上:藤澤こころ
谷本:赤染萌
アナウンサー高野:阿久澤菜々
配信者シンタロウ:田口ゆたか
配信者オカモトノリフミ:齋藤英文
迷惑系ユーチューバー井上:伊藤元人
立ちション男:辻智輝

アワード

  • 第18回 田辺・弁慶映画祭:グランプリ受賞/観客賞/キネマイスター賞/フィルミネーション賞/わいず倶楽部賞

ポスター/パッケージ

 
 
 
 
 
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見る際の注意

特になし

こんな人におすすめ

シュールな笑いが好き。 変な映画が好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

※完全な偏見です。


 

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

日本ならではのゾンビ映画

家族が仲違いして空中分解したり、世の中でゾンビが蔓延して地獄絵図にならなくて良かったです。

結構表面的には穏便なのに、ネット界隈の治安が地獄なのが日本っぽいですね。

海外の映画なら殺そうとする過激派に凸られたり命の危機に晒されてもおかしくないのですが、銃がない日本ならではの展開でした。

フリが効いてる笑い

在宅で動画編集の仕事をしているお父さん。
食人欲が発動してしまうにポストイットで人の顔を隠しながら作業していました。笑

その後、お母さんが鏡に『はひぁー!!!』みたいなことをするのですが、””え、自分が映っても食人欲が発動するの?””と思ったら、
汚れを取るために息かけてただけでした。

なにこの独特な笑いwww
普通に声出して笑いましたwww

展開が上手い

家の前で交通事故が起き、娘が運転手と轢かれた人を噛んでしまいます。

轢いた運転手は、加害者なので文句が言えません。
そして、轢かれた側は死ぬところだったので

『怒ったらいいのか、死ぬところを救ってくれたと感謝したらいいのかわかりません』

と言っていました。

もうこのシーンは本当に笑った。

展開を作るのが上手過ぎるでしょ。
その発想はなかったけど確かに!って思ってしまいました。

テンポ感で笑わせてくる

お婆ちゃんに最後の挨拶に行きたいということで、ゾンビになってしまった男が一回、家に帰るのですが、
お婆ちゃん噛んじゃったみたいです。

わかってたので、ここのテンポ感が最高でした。
やっぱそうなるよねーwwwという笑い。笑

わざわざそこを描くとダレるのでこのテンポ感にしてコメディシーンにしたのは天才だなと思います。

汚ねえ

『お婆ちゃん、せんべいを舐めんの好きなんだよね』
『汚ねえ』

汚ねえ!!!笑
ここも爆笑しました!!!笑
お婆ちゃんが良いキャラ過ぎる!笑

ささやかな幸せ

娘は序盤で外の世界に興味があるようでした。
アクシデントとはいえ、ゾンビ家族が増えて娘がめちゃくちゃ幸せそうでしたね。

この何気ない日常や、ゾンビとの関わりによる温もりがしっかりと描かれていました。

三つ編みをしてあげるシーンなのですが、ほんの些細な幸せな日常という感じがして物凄くほっこりしました。

この家族の幸せの邪魔をしないで!って思わせるようなシーンでした。

お父さんと呼ぶな!

轢かれたニキと娘がいい雰囲気になっていました。
それに気がついているお父さんは歯磨き中に間に入ったりささやかな邪魔をします。笑

手押し相撲で轢かれたニキと娘が楽しそうにしているとき、
食い気味で『お父さんと呼ぶな!』って言ったところは爆笑しました。笑

お父さんめちゃ可愛い。笑

外部と繋がりたい

お父さんも実は外界と繋がりたかったみたいで、Youtubeを始めます。

やっぱ人間はソーシャルアニマル。
誰かと繋がりたいと思ってしまうものですよね。

ここからシミュレーションっぽくなる

お父さんとみーちゃんがSNSを開始した辺りから、妙にリアルな展開になっていきます。

このネット社会で、もしゾンビの家族がいたらというシミュレーションっぽい展開になっていくのが面白かったです。

みーちゃんが人気者に

最初にYoutubeを始めたお父さんでは無く、みーちゃんがバズるところもリアルですね。笑
やっぱ若い女の方が需要があるという。笑

そして、ゾンビのメリットがとにかく死なない!不死!ってところも面白かったです。笑

上下のカタルシス

この映画、やっぱ素晴らしいですね。
家族が増えて、ちょっとネットでも人気者になって、なんか調子良くてワクワクウキウキしてくるのですが、
ここからこの家族がネットの餌食になっていきます。

壊れてく幸せ

迷惑系配信者が凸ってしまい、ゾンビが人を見た時の凶暴性が生配信にて晒されてしまいました。

ババア途中で離脱っていうコメントが流れた時にも私は爆笑しました。

ネットで批判殺到

Xで散々叩かれます。
凶暴性を隠していたのか!危ないじゃん!という。
あんな奴らが側に住んでいるとか怖過ぎるって、確かにそれも一理ある。
近所なら怖すぎますよね。

ネットで賛否

あれひろゆきですよね。笑
お酒じゃ無くてジュース飲んでいましたが、あれひろゆきですよね。笑

保守派の政治家っぽいおじさんは誰をモデルにしたんだろう。笑

特定され、生活ができない

この辺りの展開も良かったです。
Xで毎日誰かが炎上の餌食になっています。
この家族、ネットリテラシーが低かったが故にうかつでしたね。

多様性

このゾンビ家族は自分たちに全く悪意がないからこそ、相手にも悪意がないと思ってしまったんでしょうね。
ネットはそうじゃないんですよ。

学校では””自分がされて嫌なことを相手にしない””と教わりますが、実際のところ、この理論は全く通じない世の中です。

多様性が進んでいるので、それぞれ個別でちゃんと対話してジャッジしないといけない時代です。

なんて、キャッチコピーに先導された思考を巡らせていました。笑

もう生活ができない

家にいろんな野次馬が押し寄せ、もう生活ができないほど追い詰められていきました。

ちょっと悲しい気持ちになりましたね。
悪意ゼロで、ただ人と関わりたかっただけなのに、ゾンビだから差別されて迫害されるという。

観る人によってこのゾンビのメタファーが変わりそうですが、私は移民を思い浮かべながら見ていました。

納得できないニキ

みーちゃんに噛まれたかったのに嫉妬したUberイーツニキに噛まれてしまって、悪評をテレビでばら撒いていました。

まあ、そうなっちゃうよね。

ネガティブな情報に流される

1番最初のゾンビ志願者は、みーちゃんに噛まれて大喜びで帰っていったにも関わらず、テレビでは『同意が無かった。』と言っていました。

多分、最初は喜んでいましたが、たぶん世間の評判が悪くなったので被害者ズラしているんだろうなと思いました。
頭の悪い女なんでしょう。

流行りに乗ってみたものの、自己責任なのに都合が悪くなったら人のせいにするという最悪のやつ。

ちょっと笑う

被害者ズラ女が涙を拭こうとした時に取材班が焦りまくるの面白かった。笑

密かに幸せに生きてこ

家族は住処を追われます。
夜逃げして新しい住居に引っ越しをします。

よく審査通ったね。笑

最後は新居で家族みんなでテレビの人に食人欲が爆発するところで終わります。

轢かれたニキが何故か画面に人が映ってなくてもスイッチオフにならないのでビンタされて我にかえるという、序盤のネタで最後は終わります。

物語が締まって、いいエンディングでした。

その他

参考情報

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