ホモ・アミークス (2023年) 42分【ネタバレ・考察】生命に対する愛を感じる作品。動物愛護的な視点の映画かと思ったら人間の残酷さや愛おしさがありのままに描かれていた。真面目さとコメディのコントラストが素晴らしかった。邦画で初めて泣くほど笑った映画。

ホモ・アミークス

ネタバレ無し感想

もう良いんです。細かいことは。
SF・ファンタジーです。
この映画はファンタジーです。
細かい設定とか、描写が気になってしまう人には向いていない作品かもしれません。

あと本作は結構コメディです。
笑いのツボが合わなかったらこの映画自体が合わないかもしれません。
個人的にはツボにハマりすぎて、初めて邦画で泣くほど笑いました。
間の取り方が天才。
シュールです。

世界観が独特ですが、人物描写が秀逸です。
テーマ性も私はかなり好きでした。
しかも家に帰って冷静にならないとなんのテーマだったのかわからないくらいにはコメディのインパクトが強いです。

そして、俳優の魅力を最大限引き出しており、さらにセリフ少なめで映像で表現してくれるので、説明台詞アレルギーの私にはとってもありがたい作品でした。

あらすじと予告編を見てから視聴するのをオススメします。
突然見初めても何がなんだかよくわからないと思います。

基本情報

ホモ・アミークス
2023年 42分

ホモ・アミークス

キャッチコピー『実験用に生み出された生物、ホモ・アミークスのお話。』
製作国 : 日本
ジャンル:ブラック・コメディ / ファンタジー

あらすじ

人間と“ちょっと”だけ違う遺伝子を持ち、人間と同じ姿をした実験用生物、ホモ・アミークスは「やめろ」としかしゃべらない。田代はそんなホモ・アミークスの飼育員になった。彼はほかのホモ・アミークスとは違う雰囲気を持つある1体に愛着を持ち始める。

※参照元:U-NEXT


日本版 予告編

スタッフ

監督 : 馬渕ありさ
脚本 : 馬渕ありさ
音楽 : Peno

キャスト

芦原健介
辻智輝
金子貴伸
須田晶紀子
山ノ内涼太郎
松田慎介
冨井桂子
井根健一朗
小河智裕
井ノ上和哉
山田笑李菜
片桐風起
大森アズキ
徳永訓之
むかい誠一
久保悠貴

アワード

  • 第15回下北沢映画祭グランプリ受賞
  • 沖縄NICE映画祭審査員賞受賞
  • 第17回田辺・弁慶映画祭入選
  • 第45回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)入選

ポスター/パッケージ

 
 
 
 
 
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おせっかい情報

見る際の注意

笑いのツボに入らなかったらつまらないと思います。

こんな人におすすめ

シュールな笑いが好き。 変な映画が好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

※完全な偏見です。


 

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

実験用動物

今でいうところの実験用マウスが、近未来では人間そっくりの”ホモ・アミークス”という生物のようです。

ネズミポジションを人間に置き換えることによって、人間が動物に行っている残酷さを際立たせようとしているように思いました。

あまりショッキングな残酷描写はありませんでしたが、実験によって使い捨てされています。

対照的に描かれる夫婦

難病を患った妻を献身的に支える旦那の姿が唐突に差し込まれます。
この夫婦は薬を必要としていますが、治療薬がなく、日に日に妻の病状が悪化してしまっているという状況でした。

この夫婦を救うためには犠牲が必要だよね、というのも描かれていました。

人間臭さ

主人公はもともと、人を救いたいという理由でこの施設に就職をしました。
しかし、人間そっくりな使い捨て動物、ホモ・アミークスの世話をしているうちに疑問を抱いているようでした。

命を救うためには犠牲を払わないといけない。
それでも俺はこの子が愛おしい!
『ヤメロ』
です。

ほんと半端じゃない。くっそ面白いこの映画。

おっさんが愛おしく見える不思議

特別な個体がいました。
他のホモ・アミークスが『ヤメロ!』と吠えまくる中、一匹のホモ・アミークスは非常に大人しく甘えん坊のようです。

電気を消そうとしたら『ヤメロ』と言います。

そして親指を差し出したら赤ちゃんの用にしゃぶります。

キモい小太りなおっさんのはずなのですが、この映画を見ていると、このホモ・アミークスかわいい!と思えてくるのが不思議です。

この俳優さんが優秀すぎる。

細部に神が宿っているタイプの映画

ある時、特別なホモ・アミークスが脱走してしまいました。
このシーン、裸足で歩くペチペチ音が足の動きとズレていたので、多分後でSEを追加しているのだと思います。
この辺りのこだわりがよかったです。

そして序盤のシーンで、おじさんのスキンケアを見せますが、うがいする時のオエッってところとか、
なんかの業者のおばちゃんが指に唾をつけて書類を渡すところなど、なんか人間への悪意を感じるシーンが差し込まれていたように思います。

ラストシーンでも、一瞬握られた手を映し出したり、細かいところまで作り込んでいる映画という印象でした。

輝く自由とビンビンの乳首

あの個体が脱走したとき、このシーンだけ全く違う雰囲気でした。
空が青々としており、太陽の光が美しく、緑に溢れていて自由や自然を感じるような映像でした。

そしてあのホモ・アミークスも初めて経験する自由に圧倒されているかのように『お外キレー』って感じで呆然と立ち尽くしており、乳首がビンビンです。

何これ。笑
なんでこのシーンこんなに面白いの。笑

泣くほど笑いました。

秀逸な鳴き声

『ヤメロ』です。
これ、多分鳴き声として設定したのだと思いますが、こんな面白く機能する1単語、よく思いつきましたね。

一応理にかなっている

ホモ・アミークス同士を交配させた際、脇の臭いを嗅ぎ合っていましたが、犬が尻の穴を嗅ぎ合うのと同じような行動ですね。

俳優を魅力的に撮る監督

この監督は俳優を魅力的に撮るのが上手いですね。

元気だった頃の妻の映像が素晴らしかったです。
まさに旦那からしたら、こんなにも妻が輝いて見えていたのだろうなという愛を感じるシーンでした。

医者と話をしている時の旦那の横顔は怒りや絶望、やるせなさに満ち溢れており、見応えがあります。

自然なセリフ

『おんぶして』とせがむ妻に対して『重いからヤダよ』っていう旦那。
この大した内容のないやり取りですが、これでこの夫婦が深く愛し合っていることが伝わるのがすごい。

この映画、セリフは少なめですが、心情がダイレクトに伝わってきます。
脚本のセンスがすごい。

観客を信頼している

ここまで説明しなくても言いたいことわかるよね?っていうのが伝わりました。

物凄くちょうどいい情報量でした。
いちいち説明的にならないのが凄い。

そして、逆に説明的にしてしまったら、時代背景やホモ・アミークスの生態など細かい設定も気になり始めてしまうと思うのでこの塩梅で大正解だったと思います。

こまけーことはいいんだよ

あの檻がしょぼいとか、なんの薬品の実験してんだとか、なんで職員は追わないんだとか、ところどころチャチイとか、一旦無視してくれませんか。

テーマ性もコメディ要素も満載なので私はその辺りはもはや全く気になっていませんでした。

気になって仕方ない

主人公はあの個体が脱走未遂をしてしまったことによってクビになりました。

しかし、やめた後もあの個体のことが気になって仕方がないようでした。
あのままあそこにいたら死亡確定ですもんね。

主人公はベンチでうたた寝をしてあの個体の夢を見ていました。
この夢の内容も本当に謎すぎて笑った。
風船を渡したら、あの個体が飛んでいって、風船が割れて落ちてくるっているクソみたいな編集の映像。
死ぬほど笑いました。

あとあの風船の色ってプーさんが持ってるのと同じ色ではありませんでしたか?笑
馴染みの色でした。笑

あの子だけでも救ってやりたい

そして私もあの個体が可愛く思えていたので連れ出した時はいけ〜!と思いました。

あの個体は何が起こっているのかわからず、本当に無心で引っ張られているから走っているという感じでまた爆笑しました。

この映画、マジで天才。

参考情報

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