ファミリー・ディナー (2022年) 97分【ネタバレ・考察】オシャレな下手くそアリ・アスター!全く怖くない上、全て先が読めてしまう低クオリティな脚本。それに反して高クオリティな映像と音!唐突な飯テロ。監督の次回作に期待。

ファミリー・ディナー

ネタバレ無し感想

ペーター・ヘングル(Peter Hengl)という、オーストリア出身の監督の長編デビュー作です。
本作は監督と脚本がこの方です。

Peter Hengl

https://www.imdb.com/name/nm4106410/

この監督、ホラー向いていないんじゃないかしら。
内容が全然怖くない。
真っ直ぐと、予想通りに進んでいくホラー映画です。
ハラハラもしなければ、本作が用意してくれた恐怖要素も非常に表層的で残念でした。

むしろルッキズムを主軸に置き、行き過ぎた健康療法や田舎でのダイエット生活という、社会派ほっこりダイエット映画にした方がいい作品になったような気がします。

それか、映像や音の美的センスを活かしてキチガイ脚本家とタッグを組んで映画を撮るとか。
アリ・アスターほどの理性ある狂人ならいいのですが、この監督は理性こそあるものの、狂っていないので他の人に狂気は任せた方がいいのではと思います。

低予算&短期間で製作された

150万ユーロ(2022年の為替でおおよそ2億円)、25日間の撮影期間で製作されたそうです。
脚本はシャバイ映画ではありますが、映像や音のセンスは良かったです。

映像や色彩、音が好みでした。
また、用意される食事が美味しそうで素晴らしい。
案外、飯テロ映画です。

また、音もASMR的な意味で非常に良かったです。
BGMは控えめで木が軋む音などが印象的でした。

監督は本作が長編デビュー作とのことですので、今後の作品が楽しみです。
良い脚本家と一緒にタッグを組み、ホラーではなく健康と食についてのドラマ作品を作ったら名作が生まれる予感はしています。

私は映像センスなどが結構好みだったのでこの監督の次回作に期待です。

基本情報

Family Dinner
ファミリー・ディナー
2022年 97分

ファミリー・ディナー

キャッチコピー『命をたくさん召し上がれ』
製作国 : オーストリア
日本公開 : 2023年12月08日
アメリカ(トライベッカ映画祭):2022年6月10日
製作費 : 150万ユーロ
レイティング : PG-12
ジャンル:ホラー / スリラー

あらすじ

祝祭まであと1週間、奇妙な宴の準備が今始まるーー ふくよかな体型に自信の持てない10代の少女シミーは、復活祭(イースター)の休暇を利用して、有名な料理研究家で栄養士の叔母クラウディアの元を訪ねる。シミーは叔母が健康的なダイエットの力になってくれると期待していたが、叔母の食事指導は思いのほか過激なものだった。更には、不可解なほど敵意を剥き出しにしてシミーに嫌がらせを繰り返す従兄弟のフィリップ、そして得体のしれない叔母の新しい夫・シュテファンの存在がシミーの不安を掻き立てる。そして不気味な家族によるイースターの祝祭が1日また1日と近づくに連れ、美しい料理に彩られた食卓は徐々に悪夢へと変わってゆく。

※参照元:公式サイト


日本版 予告編

英語版 予告編

スタッフ

監督 : ペーター・ヘングル
脚本 : ペーター・ヘングル
製作 : ローラ・バサラ/ヨハンナ・シェルツ/アレクサンダー・グレーア
製作総指揮 : アント・ティンプソン/アニック・マーナート
音楽 : ピーター・クティン
配給 : 日本:クロックワークス

キャスト

クラウディア:ピア・ヒアツェッガー
シミー:ニーナ・カトライン
シュテファン:ミヒャエル・ピンク
フィリップ:アレクサンダー・スラデック

ポスター/パッケージ

おせっかい情報

見る際の注意

小動物がどうにかなるシーンが苦手な方はご注意ください。
虐待シーンがあります。
少しだけ性的なシーンがあります。
少しだけグロいです。

こんな人におすすめ

なんか重くないホラー映画を探している。
映像と音がいいホラーが好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

※完全な偏見です。


 

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⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

不穏じゃない

なんか、割とずっと平和です。
苦しんでいる人がいません。
いるんですが、何に苦しんでいるのかわかりません。

フィリップはなんか苦しそうでしたが、あんまりよくわかりません。
母親と義父の思惑を知っていたのか、知っていないのかわかりません。

空腹!笑

あ、主人公はずっと空腹に苦しんでいます。
ずっと描かれるのは、そう空腹!それだけ!
フィリップに嫌がらせこそされていますが、主人公はその行動の向こう側まで見透かしており、懐が深いです。

ウサギもチョチョイと締め上げるし、シモーネが苦しんでるのは空腹です!笑

最終手段、食う

っていうことですよね?
息子を食った理由って、最終手段ってことですよね?

自分たちではコントロールできなくなった息子を食べて一体化することで、平和的に未来永劫一緒にいようということ?

息子の”複合的なパーソナリティ障害”は母親の過干渉と義父からの暴力が原因で起こっているようです。

しかし、両親は根本的な解決に走るのではなく、もう手に負えないから食べちゃおう!っていう荒唐無稽な発想に至ったように見えました。

断食は吸収率を高めるため、毎日のご馳走は息子の最後の一週間だから好きなように食べさせてあげようということなのでしょうか。

入れ替わるよ?

細胞って一定期間で入れ替わりますよね?
近くになったところで未来永劫、自分の身体の中で生き続けることはありません。

母親、変な風習にハマる前に医学的なことちゃんと勉強して!

ヘレディタリーを感じた

主人公がスマホを紛失してしまい、クラウディアおばさんがスマホを盗んだんじゃないかと疑います。

とあるタンスを開けると、執筆中の資料が出てきます。
その資料は何が書いてあるのかは全くわからず、不気味で怖い絵が挟まれているだけでした。
サトゥルヌスお久しぶり〜。

何か思想や風習、宗教に傾倒していることはわかったのですが、それがなんなのかまるでわかりません。
ここの描写が全くないので何も怖くないです。

そんなに奇行が目立たない

過去の叔母さんの奇行といえば、断食している点となんか息子の石を埋めている点と、過干渉過保護な点です。

ダイエットに関してはやり方は間違っていますが、一応それ以上に変なことはしていません。

なのでまあ、ダイエットと食に過激なおばさんという程度。

割とまともな食育描写

『無駄な苦しみを与えてはいけない』

いい食育をしていましたね。
しっかり手順を踏んで捌いていましたし、好印象です。

動物が死ぬ描写がダメな人からしたら怖いのかもしれません。
ベジタリアンは発狂するかもしれませんが、私は肉でもなんでも食べるので淡々と観ていました。

うさぎって意外と食べれるところ少ないな〜なんて思っていました。笑

おじさんキモい

『君が食べたということにできれば俺が食べたのがバレない』
『人は見かけによらないな』
『そんなに痩せる必要があるか?』

お前の思想はなんなんだよ。
デブをバカにするような発言をしておきながら何故痩せようとするのか問うって何を伝えたいんだよ。
主張はなんなんだよ。

またヘレディタリー

鳩の首ちょんぱではなく、ネズミの首ちょんぱでした。
でもこれ母親がやる理由がわからないので、多分息子のフィリップの嫌がらせですね。

ちゃちい演出

あの、あ、これ夢オチだってすぐわかりました。
さっきまで寝てたし、手に刃物を持ってなかったのだもの。

そして、最後の食卓で食べてるのはフィリップだとすぐわかりました。
さすがにもうちょっと作り込んでもらいたかったです。

性欲演出の謎

思春期であることが本作ではあまり関係ありませんでした。

フィリップの体をガン見していたり、序盤に夫婦がセックスしているところを見ていたり、叔父さんに襲われる夢を見たりしていましたが、この子の性の目覚めがこの物語においてどのように作用していたのかわかりません。

彼女が思春期で体のラインにコンプレックスを持っており、性に消極的であることはわかりましたが、だから何?という感じでした。

一応、伏線回収

夢で叔父さんを刺すのが後半では現実となり、ファックの写真の背景はうさぎを捌いていた納屋であり、最後に叔父さんが彼女にライフルを渡すのは”苦しませずに殺す”という序盤のセリフの伏線回収なんでしょう。

案外平和なコミュニケーション

叔父さんは帰りたいという主人公を否定しません。

石のネックレスも食欲を抑えるときに握って機能していました。
案外こういうのって大事ですよね。
何か我慢してる時に欲求が出てきたら深呼吸を10回して抑えるみたいな。

叔母さんは毎日体重や体の記録を残して叔母さんなりに痩せさせようとしているようでした。
やり方は健康的ではありませんが、知識不足なんでしょう。

叔父さんが義理の息子を殴る理由がない

叔父さんとの軋轢(あつれき)を描いていただかないと、ヘレディタリーのような地獄の食卓は再現できません。

なんか、義理の息子を嫌う理由が、ウサギのトドメをさせない弱虫だからにしか見えませんでした。

平穏な展開

最後はFuck You写真の背景により、ウサギを殺した納屋で撮られていると気がついたら主人公が納屋に行きます。
納屋の鍵、石で簡単に壊せました。

そしたらそこにはフィリップの遺体が!

でしょうね。
そこで主人公は絶望するのですが、叔父さんに見つかります。
見つかりますが、叔父さんと叔母さんはシモーネをどうにかしようという気持ちはないみたいです。

「明日、フィリップの行方不明届を出して、君のことはちゃんとお家に送るよ。このことは内緒にしてくれ」

燃ゆる!

叔父さんを刺して逃亡する主人公!
まず車で終われたらあの子すぐ捕まるはず!ごめんだけど走るの遅い!

そしてあの木が積み上がったあの場所に到着!隠れる!

おばさんが近寄っていき、ガソリンをかけて燃やそうとします!

すると、あの大きなシモーネ、あの更地でどこかに隠れられていたみたいで、気がついたら叔母さんの背後に回っていた!
シモーネは叔母さんにガソリンをかけて火を放つ!

俺を殺してくれ

苦しませてはいけないの伏線回収で瀕死の叔父さんはシモーネにライフルを渡していたということで良いのでしょうか?

わかりやす過ぎるオマージュ元

演出や家族地獄はヘレディタリーですよね?
最後の燃えたり、生命の循環ってのはウィッカーマンですよね?

本作はイースターの祝祭ですが、ミッドサマーやウィッカーマンのインスパイアですね?

敵が好戦的でないところも上記の3作品に通ずる点ですね。

オリジナル要素としては肥満と食生活ってことでしょうか。

アリ・アスターが好きなのはわかるのですが、独自の要素を上手く絡められていない印象でした。

参考情報

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