花まんま (2025年) 118分【ネタバレ・考察】今、デートで行くならこの映画。演技良き、脚本良き、テンポ良き、エンタメ性良き、全てにおいてハイクオリティだけど個人的には全く刺さらなかった邦画。

花まんま

ネタバレ無し感想

多分大多数の人には刺さる

本作は家族愛についてのお話でした。

個人的なバックグラウンドが理由でこの作品には感情移入できる人物がいませんでした。
理由は下記の通りです。

  • 家族や兄弟がおらず家庭をあまり経験していない。
  • スピリチュアル・アンチ。
  • 血の繋がりに固執していない。
  • 個の話にそんなに熱を持てない

私の感覚はマイノリティだと思うので、これから鑑賞しようか迷っている方の判断材料にはならないかも知れません。

同じような感覚の方にはあまりオススメしないかもしれません。

そんな私でも高評価せざるを得ない

俳優の演技、脚本、映像、キャラクター造形、独自性、テンポ感、エンタメ性、独自の世界観など、様々な点において、ハイクオリティな作品だったと思います。

予告編を観る限りでは”邦画によくある感動ポルノ”と勘違いしてしまってましたが、それぞれの人物描写に不自然感も無く、突拍子もない展開もないのですんなりと物語が入ってきます。

使い捨てのキャラクターがいないのも好印象です。
それぞれがきちんと重要な役割与えられています。

全体的にクオリティが高い作品でした。

基本情報

PETALS AND MEMORIES
花まんま
2025年 118分

花まんま

キャッチコピー『最後に、会いたい人がいる』
製作国 : 日本
日本公開 : 2025年4月25日
ジャンル:コメディ / ドラマ / ファミリー / ファンタジー

あらすじ

大阪の下町で暮らす加藤俊樹とフミ子の兄妹。兄の俊樹は、死んだ父と交わした「どんなことがあっても妹を守る」という約束を胸に、兄として妹のフミ子を守り続けてきた。妹の結婚が決まり、親代わりの兄としてはやっと肩の荷が下りるはずだったのだが、遠い昔に2人で封印したはずの、フミ子のある秘密がよみがえり……。

※参照元:映画.com


日本版 予告編

スタッフ

監督 : 前田哲
脚本 : 北敬太
原作 : 朱川湊人『花まんま』(直木賞受賞)
製作 : 北岡睦己
音楽 : いけよしひろ
配給 : 東映

キャスト

加藤俊樹:鈴木亮平
加藤フミ子:有村架純
中沢太郎:鈴鹿央士
三好駒子:ファーストサマーウイカ
加藤ゆうこ:安藤玉恵
三好貞夫:オール阪神
山田社長:オール巨人
加藤恭平:板橋駿谷
加藤俊樹(子供時代):田村塁希
加藤フミ子(子供時代):小野美音
繁田喜代:美南琴奈
チーちゃん:馬場園梓
繁田宏一:六角精児
繁田房枝:キムラ緑子
繁田仁:酒向芳

ポスター/パッケージ

おせっかい情報

見る際の注意

特になし。

こんな人におすすめ

ほっこり、ハートフルな作品が好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

※完全な偏見です。


 

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

ざっくり話をまとめさせてくれ

主人公の兄妹は早くに両親を失い、兄が早くから働いて妹を育てた。

妹は前世の記憶がある。
前世はとあるバスガイドの女性で、彼女はバスガイドとして勤務中に乗客を守り、無差別殺人通り魔によって殺害されてしまう。
そのバスガイドが病院に搬送されているときに妹が生まれたため、神様が魂を混ぜて入れてしまったらしい。

妹はそのバスガイドの家族と文通でやり取りをしており、もう一つの家族として大切にしていた。
しかし、兄は自分の家族を取られたような気持ちになり、さらに妹の結婚することになり、寂しさから色々拒否ってしまう。

花まんまはバスガイドが幼少期におままごとで作っていたお花で作ったお弁当。
お父さんとおままごとしていた。

バスガイドは結婚2日前に殺害されてしまった。
妹が結婚することで成仏することができ、妹はバスガイドの記憶を無くしてしまう。

映画で嘘は1つ付いていい

本作における映画の嘘というか、非現実的な点は輪廻転生と成仏でしょうか。

幽霊を信じていたり、先祖を祀る気持ちがある人は物語にライドしていけると思います。

恐らく(?)自称(?)不可知論者であろう私はこの辺りからもう物語に気持ちが乗っていきませんでした。
淡々とした気持ちで映画を鑑賞しましたが、それでも演技力に見応えがあり、最後まで退屈はしませんでした。

ショッキングな展開はない

案外、違和感のある展開はなく、地に足のついた展開です。
先方の家族もあくまでも、兄と妹の意向を尊重しており、平和的でした。
妹は記憶があるからこそ自発的に家族と関わりを持っていました。
かなり優しさに包まれていた作品です。

キャラクターの説得力があり、見やすい作品だったと思います。

とにかく演技が素晴らしい

本作、全ての俳優の演技が素晴らしかったです。
邦画特有の過度な演出が無くてリアルでした。
俳優たちの実力をしっかりと映し出していたと思います。

ちゃんと笑える

本作、いい感じのバランス感覚で笑わせてくれます。
感動的なシーンで、ちょっと面白い出来事を入れたり、緩急で笑わせてくれます。

また、邦画特有の”笑えハラスメント”的な空気感もなく、ナチュラルに引き起こるような笑いだったのでとっても良かったです。

全体的に笑えるシーンがあり、軽やかで観やすい作品となっていました。

使い捨てでない特殊なキャラクター

カラスと話す研究をしている変な人が本作のスパイスになっています。

そしてただ変な人なのでは無く、彼の変な行動が物語に絡んでくるし、笑いを誘発するのに機能しています。
あの名刺は伏線だったんだね。

個性的なキャラクターを登場させつつ、使い捨てにしないところが素晴らしかったです。
丁寧に紡がれた脚本なんだなと思いました。

とってもリアルな兄妹愛描写

無駄に仲良しそうなところもなく、考えてみれば大人になってからの2人のシーンはそこまで多くはありませんでした。

幼少期もめっちゃデレデレに仲がいいというわけではなく、リアルな距離感だったのかなと思います。

恐らく、リアルな兄妹ってこんなもんですよね。

子役の演技がいい

とにかく子供達がめちゃくちゃ可愛いのはひとまず置いといて、やり過ぎていないところがお上手でしたね。
所謂、”子役の演技”をしておらず、非常に演技がお上手だったと思います。

過去一美しかった結婚シーン

カノンの音楽と共に、ゆっくりとセリフなしで描かれる結婚式のシーンは本作最大の見せ場ではないでしょうか。

個人的には結婚式に夢もロマンもなく、むしろ金の無駄だから将来の子供の学費に使えよと思ってしまうタイプなのですが、本作の結婚シーンは素晴らしいと言わざるを得ない美しいシーンでした。

とにかく無駄がない。

とにかくリアルな涙のシーン

兄のスピーチを聞く妹の泣く演技が本当にリアルで素晴らしかったです。
役になりきっていたと思いました。

本作のオリジナリティ

花まんまの意味もしっかりしていました。
無差別殺人事件によって亡くなった娘が、子供の頃におままごとで作っていたお弁当でした。

花が乗っているご飯ということですね。
可愛い。女の子って子供の頃、ああいう遊びするよね。

穏やかなハッピーエンド

本作の主役はこの兄妹かと思っていましたが、恐らくあのお父さんですね。

最期の花まんまを手にして、ようやく前に進めるのではと思える暖かいエンディングでした。

後半は割と読める展開

結婚式を控えており、輪廻転生で記憶を持っているということが判明した時点で大体展開が読めたのでそれ以降は意外性がありませんでした。

でも本作はこのままで非常にまとまりがよく、ほっこりとしていていいと思いました。

満足感が高い作品でした。 

試写会の様子

参考情報

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