ネタバレ無し感想
かの悪名高きカルト映画、ピンク・フラミンゴ(ノーカットで犬のうんこを食うエンディングが有名)のジョン・ウォーターズ監督の作品なだけあって、凄まじい角度のコメディ映画です。
そしてテンポが良いです。
ジョン・ウォーターズ入門として最適なのではないでしょうか。
ピンク・フラミンゴを想起させるシーンもチラホラとあるため、楽しめます。
ファンサ抜群。
あとこの監督、ただのキチガイかと思ったらコメディのセンスがちゃんとあるのが怖いです。
もう好きにしろよwって気楽に観てられます。
何回か爆笑シーンがありました。
基本情報
Serial Mom
シリアル・ママ
1994年 93分
キャッチコピー『殺人犯こそスーパースター!!』
製作国 : アメリカ
日本公開 : 1995年4月29日
アメリカ:1994年4月13日
製作費 : $13,000,000
興行収入 : $7,800,000
ジャンル:クライム / ホラー / コメディ / コメディ・ホラー
あらすじ
日常の道徳的に正しくない行為をした人間を惨殺しまくる連続殺人主婦の姿を描いたブラック・コメディ。アメリカのどこにでもありそうな郊外の閑静な住宅街。そこに暮らすビバリーは、歯科医の夫と二人の子供を持つ、心優しい理想的な主婦。しかし、ゴミを分別しない、レンタルビデオを巻き戻さずに返却するといった人の道に反する人間は許すわけにはいかない……。
※参照元:Google
日本版 予告編
英語版 予告編
スタッフ
監督 : ジョン・ウォーターズ
脚本 : ジョン・ウォーターズ
製作 : ジョン・フィードラー/マーク・ターロフ
音楽 : ベイジル・ポールドゥリス
配給 : アメリカ:サボイ・ピクチャーズ
日本:松竹富士
キャスト
ビヴァリー・サトフィン:母、専業主婦
ユージーン・サトフィン:父、歯科医
ミスティ・サトフィン:娘
チップ・サトフィン:息子
パイク刑事:スコット・ウェスリー・モーガン
グレイシー刑事:ウォルト・マクファーソン
スコッティ:チップの友人
バーディ:チップの彼女
カール:ミスティの彼氏
ドッティ・ヒンクル:サトフィン一家の近所に住む夫人
ローズマリー・アッカーマン:ビヴァリーの友人
スタビンズ先生:チップの担任教師
ベティ・スターナー:キャシー・ファンノン
ラルフ・スターナー:ダグ・ロバーツ
カールのガールフレンド:トレイシー・ローズ
ジェンソン夫人:パッシー・グレイディ・エイブラムス
スザンヌ・ソマーズ:本人
陪審員8番:パトリシア・ハースト
ジョーン・リヴァーズ:本人
キャメル・リップス:L7
ユージーンの歯科助手:ベス・アームストロング※クレジットなし
テッド・バンディの声:ジョン・ウォーターズ※クレジットなし
ポスター/パッケージ
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おせっかい情報
見る際の注意
グロいシーンあります。 不快なジョークが多々あります。
こんな人におすすめ
悪趣味映画が好き。
この作品が好きな人が好きそうな映画
- ピンク・フラミンゴ (1972年) 93分
- フォーリング・ダウン
- ボディ・クッキング/母体蘇生 (1993年) 93分
※完全な偏見です。
⚠️ネタバレ有レビュー⚠️
ジョン・ウォーターズからのポップな復讐
いちいち”正しさ”を強要されてきたでしょう。
きっと批判されてきたことでしょう。
あんたらの行く末ってこんな感じなんでしょwwwって攻撃を意にも介さず遊んでいる感じがしまいした。
真面目に批判している連中からしたらたまったもんじゃないでしょうね。
嘲笑っている感じ。
ピンク・フラミンゴでは撮影のために鶏を虐待したのちに殺して食べたということがありました。
かなり動物愛護団体から抗議が殺到したそうですが、それをバカにしているのか、本作ではママの趣味はバードウォッチングです。
本作のママはチキンを食べている夫婦を見て、バードウォッチングのシーンがオーバーラップし、夫婦を殺します。
過激な活動家を嘲笑うかのような映像があります。
ジョン・ウォーターズはどこまで行っても愉快犯ですね。
独特ママ
このママ、ほんと宇宙人みたいです。
もうモラルの価値観がまるで私と噛み合いません。
中身が空っぽのように見えます。
絶妙な演技でした。
軽快で、追い詰められていても割とご機嫌です。
何このキャラクター。
見たこともないし、現実にもいないし、想像もつかない。
唯一無二のキャラクターを作り上げましたね。
この映画は再現不可能だと思います。
サブリミナルのように描く多様性
『ダイエットは自分のためにやるのよ』というセリフや、やたらボーイッシュな格好をしている女の子など、なんのツッコミもなくただそこに存在しています。
”レズビアンのように髪が短い”などというレッテルも貼られず、彼女は単にボーイッシュな格好をすることもあるし、ワンピースも着る。
ほんとただそれだけの描写ですが、ジョン・ウォーターズには意図があるはずです。
一歩間違えていたら別ジャンル
この映画、ずっとコメディのトーンをキープし続けているのが凄いです。
ファウンドのような、”街で人が殺されていく。犯人は自分の母親だった”という映画にもできたし、
”抑圧された女の暴走”というフェミホラーにもできたし、
”周囲の印象からは想像がつかない人がサイコパスだった”という悪い子種のようなホラーにもできただろうし、
”世間では良いママなのに旦那だけが知っている彼女の素顔”というゴーン・ガール風にもできました。
単純に”自分の衝動を抑えられない”という恐怖にもできました。
にも関わらず、恐らくは一番難しいコメディになっています。
ずっとポップですし、家族は母親を守ろうとするし、張本人である母親は全く何も気にも留めていない様子でした。
この人物設定の絶妙な気持ち悪さも本作の魅力でしょうか。
ある種、ファンタジー過ぎて面白いです。
社会風刺
実際に起こっている犯罪者のスター化ですね。
この映画ではママが人気者になります。
パンクロックバンドに登場してまるでヒーロー扱いです。
これ映画の中の出来事なら良いのに。
現実に起きているのですよね。
日本だと市川容疑者とか謎に熱狂的なファンがついていたイメージがあります。
笑えるんだか笑えないんだか、笑い飛ばさないとやってらんないのか。
ため息が出るような馬鹿げた描写がたくさんあります。
作中、言及されていた犯罪者たち
ピーウィー・ハーマン(本名:ポール・ルーベンス)
最初に出てきたピーウィー・ハーマン人形はディムバートン監督作品、「ピーウィーの大冒険」に出演していたコメディアンです。
彼は公然猥褻罪で逮捕され、そのあと児童ポルノ所持で再度逮捕されたやばいやつです。
でも安心してください。2023年に亡くなっています。
本作ではピーウィー・ハーマン人形がフリーマーケットで高値で売れていましたね。
情報参照元:ポール・ルーベンス – Wikipedia
テッド・バンディ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3
高IQで自分の裁判を自分で弁護をしたという有名なシリアル・キラーですね。
ハンサムで女を口説いて殺しまくって死刑になりました。
情報参照元:テッド・バンディ – Wikipedia
チャールズ・マンソン

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3
獄中でもモテモテで大人気だったので有名なのは彼でしょうか。
シャロン・テート事件を起こしたカルト・コミューンのリーダーです。
獄中結婚するほど人気な犯罪者です。
情報参照元:チャールズ・マンソン – Wikipedia
関連ニュース:連続殺人のマンソン受刑者、26歳女性と獄中結婚へ
チャールズ・ジョセフ・ホイットマン

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC%E4%B9%B1%E5%B0%84%E4%BA%8B%E4%BB%B6
この人は作中で言及されていなかったのですが、怒りが抑えられないという点が本作のママっぽいです。
この人は元アメリカ軍の人で、脳の腫瘍が原因で怒りがコントロールできなかったために、乱射事件を起こしたと言われています。
本作のママも、殺人衝動を抑えられなくなっていました。
情報参照元:チャールズ・ジョセフ・ホイットマン – Wikipedia
皮肉なフェミ映画
『女にこんなセリフかけないだろう』
『更年期障害か?』
んなこたーねえどころか殺しちゃってまーす!っていう皮肉なとんでも展開ですね。
ハエにイライラ
わかる〜と思いつつ、1993年の作品フォーリング・ダウンでも同じようなシーンがありました。
RAGE(怒り)の映画の様式美なのかもしれませんね。
卵好きだね?
ジョン・ウィーターズ、なんか卵好きだね?
ピンク・フラミンゴでも卵にobsessedなお母さんが出てきます。
今回も卵の陶器が重要アイテムでした。
殺し方コメディ大喜利
バリエーション豊富な殺し方を丁寧に見せてくれます。
教師
最初の車で教師を轢き殺すシーンなんて、謎のこだわりのアングルでカットわりも多く、丁寧に観せてくれます。
ここでもう笑いました。なんでこんないろんな角度から撮ってんだよ。笑
しょんべんがナゲーよ
娘をたぶらかして、ガールフレンドに卵の陶器を買ってあげたカールを殺すシーンはやたら情報量が多いです。
格安で購入した暖炉をコショコショするやつでカールを刺し殺しますが、それまで結構時間がかかります。
その間、そんなことも梅雨知らずカールはずっとションベンしています。
長過ぎるだろ。
しかも個室トイレの壁にチンコが入るくらいの穴を開けて”EAT ME”って落書きしている変態愉快犯がチラッと映るし。
あと殺したことはよくてションベンを流さないのは許せないってなんなんだよ。
そして死体を見つけた男のリアクションがバカみたいにリアルで面白い。
しかもなんか串の食い物持っているし。笑
血がついた状態の暖炉をコショコショするやつそのまま持って帰ってきているし、隠蔽するきもないじゃん。笑
今ネズミどころじゃねーだろ
ママは夫婦を殺す際、クローゼットに隠れて待機していました。
そしてまずはマダムを挟みで刺し殺すのですが、それと同時にマダムはネズミに足を食われています。
今それどころじゃねぇって。笑
なんだよそれ。笑
その夫婦の旦那を殺そうとめっちゃハサミを投げて外すのにも笑いました。
そして旦那は室外機に潰されて死にました。
これは家という映画のラストシーンを思い出しました。
REWIND!
そこなんだ。笑
VHSの返却時にテープを巻き戻さなかったから殺したんだ。笑
息子をバカにされたことよりもルール守れないのが許せないんだ。笑
シートベルト
シートベルトつけなさいって言って目撃者のオナニー若者を殺していたけど、あんたは人殺しをやめなさいよ。笑
そしてそのままナイフで刺すのかと思ったら照明のロープを切って照明を当てて、その後にスプレーとライターで焼き殺していました。
グロ耐性ないのかよ
血を見た時のリアクションはなんで普通の人なんだよ。
『ew』って毎回いうんですよ。
血が好きだったり、殺したいわけじゃなくて本当にルール違反が許せないんですね。
本人は一番やっちゃいけないルール違反をし続けているのですが。
何故かツボったシーン
教師が殺されたニュースを見て、唖然とする息子の元に、ガールフレンドから電話がかかってきます。
『殺されたんだって!聞いた!?ホラー映画みたいじゃない!?』という彼女からの問いに『ok bye』と心ここにあらずで電話を切ったシーンには笑いました。
趣味が合うが、線引きができている息子
遺伝って性別がクロスしますよね。
本作ではそれが描かれていました。
母親と息子はグロに魅了されていましたね。
チグハグです。
食卓では『brown wordを食卓で言わないで』なんて言っていましたが、自分はもっとやばい殺人をおこなっています。
そしてその母親の行動に息子は賛同するのではなく、一応止めようとします。
しかも自分の嫌いだった教師が亡くなったニュースを見た時も『死に値するほど嫌なやつじゃなかっただろ』と言っていました。
普通の価値観ですね。
きまずい
セックスの音がデケェって。
子供たち2人にガッツリ聞こえてました。
あとなんかピンク・フラミンゴの”シェークスピア”かのような盛り上がった愛の問答が若干ありました。
キモいんだよなあれ。
独特な観客への裏切り
息子に何かするのかと思ったらキスして起こしたのには笑ました。
なんだあの動き。笑
何が起こったのか一瞬わからんかったけどキスして起こしただけだ。
そして後半ですが、”返却時にテープを巻き戻さなかった”おばさんを殺すとき、てっきり改心して殺戮をやめるのかと思ったら、「ナイフじゃつまらないか。あ、さっきラム肉おいてあったな」って感じで戻ってくるのには笑いました。
なぜバラした
隣人にイタ電の犯人は自分だと騙していました。
あれは相手により一層苦痛を与えるためですかね。
分かった上で何もできないのが一番迷惑ですし、仲良くしていたと思っていたなら尚更精神的にダメージを与えられます。
この感じは”女!”って感じがしました。
でもこのママ、計画性なんて皆無ですね。
意味ねーじゃん
イタズラ電話に困っていた隣人が警察に事情を話すシーンですが、『女性警官の方が話しやすい』ということになり、女性警官が隣に座りますが、男性警官が目の前にいる状態で被害内容をつらつらと話します。
これ意味ねーじゃん。笑
なんの配慮だったんだよ。
一応家族は止めようとする
旦那は嫁の秘密のコレクションに気がついてしまいました。
子供たちももしかして母親が!?と疑っています。
そして止めようとするのですが弱い。
ほんのお飾り程度で家族間の葛藤が描かれますが、
『母親が殺人鬼でも家族は家族だ!』
の一言でこの山は終わります。
そこじゃないみたいです。ってかどうでもいいみたいです。
警察がバカすぎる
なんな行列を成しておいて、一応先頭車が覆面パトカーなのはバカすぎる。
ドアを順番に閉めるシーンは良かったですね。
一番笑った
教会でくしゃみをしてしまい、その鼻水がめちゃくちゃか可愛い赤ちゃんにかかるシーンは爆笑しました。
しかもそれで教会はパニックになって旦那はいざこざに巻き込まれて殴られているしwww
そもそも教会の牧師が死刑制度を盛り上げようって言うってどないやねん。笑
ほんと宇宙人
警察に捕まった時、旦那のことを見ながらまるで”え?私が捕まるなんて。あなた?あなた?”って顔、マジでこの人は何を考えているのかわからない人物でした。
いいことしていると思っているからこそのあの表情ですよね。
痺れます。
鼻くそついてるわよ
裁判で弁護士が答弁していましたが、もうそんなのお構いなし。
それより陪審員の鼻くそが気になっていました。
もういいよこの人。ガチサイコだよ。
伏線回収すんな
駐車スペースをとったから逆恨みされ、イタズラ電話に悩まされていた隣人ですが、生きてましたね。
最後の裁判で、『あの時、あなたはお酒を飲んでたわよね?』って言ってましたね。
確かに私はコーヒーをいただくわって言っていたのが何故か印象的でした。
また、フリーマーケットで卵の陶器が高過ぎて変えていなかったというエピソードが出てきました。
一応、おばさんにも動悸があったじゃないというふうにして言いくるめていましたね。
最初のカークラッシュの目撃者ちゃんと出てくんのもウケる。
しかも薬中で使い物にならない。笑
こんな映画で伏線なんか回収すんな!笑
無罪になった途端殺害
秋に白い靴を履くのが許せなかったようで女を殺しました。
『fashion has changed』が最期の言葉でした。笑
なんだこのクレジット
ビバリーサトフィンは本作への協力を全面拒否したwwwwwwwwww
なんだこんなクレジットwwwwwwwみたことねぇよwwwwwwwwww
余談
ナイフを持って走るシーン
このシーンは大好きですね。
スティーブ・ブシェミ主演のボディ・クッキング/母体蘇生 (1993年) 93分を思い出しました。

https://www.mondo-digital.com/edmother.html
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