ベイビーガール (2024年) 115分【ネタバレ・考察】「また女の性の開放を描くの?」と思ったらポリアモリーやEQ、ジェネレーションギャップ、多様性の本質など、新時代的な価値観について取り扱った映画だった。ある意味いまの時代を象徴する作品。20年後にまた観たい。ニコール・キッドマンが全てを曝け出した圧巻の演技。そして泣くほど笑った爆笑シーンあり。

ベイビーガール

ネタバレ無し感想

このタイプの主人公の第一人者でしょう! 
あるいは二度とこのタイプの主人公は現れないでしょう!笑

とにかく前代未聞の主人公、物語です。笑
色々と衝撃が強過ぎて、圧倒されていました。笑

全てを曝け出したニコール・キッドマン

大御所にして、ここまで恥部を曝け出したニコール・キッドマンには感服です。
魂をかけた演技。
恥を全て晒した演技。

雄叫びオーガズム

個人的に、女性のオーガズム・シーン史上、インパクトNo.1です。
もう雄叫びじゃん。笑
これがリアルなんですか?
声出るタイプじゃないのでわかりません。笑

あとで良さがわかってくる映画

鑑賞直後はそこまで高評価ではなかったのですが、鑑賞後にどんどん評価が上がりました。
観たことのないタイプの映画過ぎて、観た直後は消化不良を起こしていましたが、時間が経てば経つほど面白いです。
さすがA24が配給する作品、新しい価値観をぶつけてきます。

フェミ映画ではない

フェミニズムをテーマにしたかのような始まりですが、女性の性の解放なんてもう腐るほど描かれてきたテーマです。
またやんの?と思っていたら、本作は他にも多面的に様々なテーマを孕んでいました。

Z世代とのジェネレーションギャップや、昨今IQよりも重要視されているEQ(感情知能)など、鑑賞者の着眼点や視野の広さなどによって、かなり印象が変わる作品のように思います。

結構笑える

爆笑できるシーンもちょいちょいありました。
ニコール・キッドマンのこんな滑稽なお姿見たことない!笑

ファンであればあるほど衝撃的なのではないでしょうか。
私は小学生の頃に観たムーラン・ルージュでニコール・キッドマンの大ファンになったので衝撃的で笑えました。笑

リトマス試験紙的な作品

ただのフェミ映画として捉えると本作はそんなに面白くないと思います。
若い世代と中年世代の価値観のギャップに着目した方が興味深いんじゃないでしょうか。

とにかくいろんな年齢層、性別の人の感想が聞きたくなりました。
人によって視点がだいぶ変わりそうなので、ある種のリトマス試験紙になり得そうな作品です。

基本情報

Babygirl
ベイビーガール
2024年 115分

ベイビーガール

キャッチコピー『やめないで』
キャッチコピー(英語)『THIS CHRISTMAS GET EXACTLY WHAT YOU WANT』
製作国 : アメリカ
日本公開 : 2025年3月28日
ヴェネツィア:2024年8月30日
アメリカ:2024年12月25日
製作費 : 2000万ドル
興行収入 : 6,380万ドル
ジャンル:スリラー / エロティック / エロティック・スリラー

あらすじ

NYでCEOとして、大成功を収めるロミー。舞台演出家の優しい夫ジェイコブと子供たちと、誰もが憧れる暮らしを送っていた。ある時、ロミーは一人のインターンから目が離せなくなる。彼の名はサミュエル、ロミーの中に眠る欲望を見抜き、きわどい挑発を仕掛けてくるのだ。行き過ぎた駆け引きをやめさせるためにサミュエルに会いに行くが、逆に主導権を握られてしまい… 

※参照元:公式サイト


日本版 予告編

英語版 予告編

スタッフ

監督 : ハリナ・レイン
脚本 : ハリナ・レイン
製作 : デビッド・ヒノホサ/ハリナ・レイン/ジュリア・オー
音楽 : クリストバル・タピア・デ・ヴィーア
配給 : A24

キャスト

ニコール・キッドマン:ロミー・マティス
ハリス・ディキンソン:サミュエル(インターン)
アントニオ・バンデラス:ジェイコブ・マティス(夫)
ソフィー・ワイルド:エスメ・スミス(アシスタント)
エスター・マクレガー:イザベル・マティス(娘、姉)
ヴォーン・ライリー:ノラ・マティス(娘、妹)
ヴィクター・スレザック:取締役ミセル
レスリー・シルバ:ヘイゼル
ゲイト・ヤンセン:スカーレット
ロバート・ファリオール:スティーブン
バートリー・ブーズ:トム
アヌープ・デサイ:ロバート
ドリー・ウェルズ:セラピスト
マックスウェル・ウィッティントン=クーパー:ジョシュ

アワード

  • ヴェネツィア国際映画祭2024年:ヴォルピカップ最優秀女優賞(ニコール・キッドマン)
  • ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞2024年:最優秀女優賞(ニコール・キッドマン)/トップ10映画(ベイビーガール)
  • パームスプリングス国際映画祭2025年:インターナショナルスター賞/注目の監督
  • ガールズ・オン・フィルム・アワード2025年:スクリーン上の女性のオーガズム(ニコール・キッドマン)
  • AACTA国際賞2025年:最優秀女優賞(ニコール・キッドマン)
  • サンタバーバラ国際映画祭2025年:ヴィルトゥオーゾ賞(ハリス・ディキンソン)

ポスター/パッケージ

 
 
 
 
 
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おせっかい情報

見る際の注意

一緒に観にいく人を選ばないときまずいよ!
往年のエロティック・スリラーを期待して観にいく人はいないと思うけどA24配給だからね!いいたいことわかるよね!?

こんな人におすすめ

女性の性に関して描かれている作品が好き。
Z世代の価値観について描かれている作品に興味がある。
多様な価値観に触れる作品が好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

※完全な偏見です。


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ベイビーガール

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⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

ニコール・キッドマンの哀れなお姿

ひざまずくロミー

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm1578406914/?ref_=ttmi_mi_91

こんな哀れなお姿見たことがない!
めぐりあう時間たちでアカデミー主演女優賞を受賞し、その他にも数ある賞を受賞してきた大ベテラン女優ですよ。

しかもトップクラスの美貌で数知れない人々を魅了してきた彼女。
(今でも私にとっては変わらず女神)

もう映画史に残るんじゃないかくらいの、伝説級の哀れなお姿です。

プライドを殴り捨てた女優

女優としてプライドがあるからこそ、ここまでプライドを捨てられるのですね。
確実に後世に語り継がれるであろう大女優が、犬として扱われて絶頂しているのですよ。

本当にカッコ良過ぎました。
痺れます。

オープニングから気まずい

夫と騎乗位でセックスをするシーンから始まります。
そして、夫ではオーガズムに達することができなかったため、エロモードが終了する前にPCに向かってガンダッシュ。

そんでエロサイトでポルノ動画を見てオナニーをします。

何このヘンテコで気まずいオープニング。笑

優秀なオープニング

騎乗位は性行為の中でも唯一、女性に主導権を委ねる体位ですが、それで満足できていないということなんですよね。

専業主婦を叩くフェミニストが頭を過りました。
世間では”女に権利を!”と男女共に騒ぎ立てられていますが、望んでいない人が生きづらい世の中ですよね。
専業主婦だっていいじゃない。

本当は模擬レイププレイが好きだっていいじゃない。
もうその二元論で語ったら取りこぼしがたくさんあるのよ。

チラッと感じる夫の古い価値観

朝食のシーンで、夫がロミーが身につけているエプロンがダサいと口出ししていました。
余計なお世話なんですが。
お前何様だよとかなりイラッとしました。

恐らく、男尊女卑的な古い価値観の親に育てられているため、根っこにはその感覚があるものの、理性でそれではみんなが幸せになれないと理解しているタイプなんだと思います。

チラッと根っこが出てきた感じですね。

掴みどころがない高EQ男登場

サミュエル

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm2568197122/?ref_=ttmi_mi_150

サミュエルというインターンが登場します。
見ず知らずの大暴れしていた犬を一瞬で手懐けていました。

サミュエルは序盤に知能が高いことが証明されているので、単純に観察能力が高かっただけかもしれません。

しかし同じく序盤に『感情AI』に関する言及があったので、EQが高い男であるということを示していたのではないかと思います。

EQとは

EQ(Emotional Intelligence Quotient)とは、感情を認識・理解・コントロールする能力を指し、「心の知能指数」とも呼ばれます。

特徴

  • 自分や他人の感情を理解する能力がある
  • 相手の気持ちに共感できる
  • 傾聴力に優れている
  • ストレス耐性が高い
  • 物事に粘り強く取り組める

活用

  •  対人関係を円滑に保つことができる
  • トラブルを解決する際に役立つ
  • 課題や問題の解決に向けて、必要な感情をつくることができる
  • 前向きな気持ちを生み出すことができ、モチベーションを高めることができる

CEOの性癖に刺さる

ロミーはその姿を見て”あ、犬になりたい”と思ってましたね。
私は確信しています。

きっとあのフェミニストでリスペクトフルな旦那は絶対ロミーにあんな扱いはしていなかったでしょう。
ここで初めてロミーも”あ、私って犬になりたいんだ”って思ったはずです。

犬が羨ましかったはずです!
私は確信しています!

ドMなのが明け透け

あんなでっかい倉庫のCEOにしては、どこか気が弱そうじゃないですか?

普通、女社長といったら、めちゃくちゃ気が強くて野心家でブルドーザーばりの覇気がある人でないと務まらないんじゃないかと思ってしまいます。

”フレンドリーな職場♪”

みたいなことが言われていたので、新しいCEO像ってこんな感じか?
なんて思ったら違いました。ドMでした。
思いっきりドMでした。

早速見抜いた高EQ男

たぶんコーヒーのシーンで見抜きましたね。

”このCEOはドMで俺にゾクゾクしている”と見抜きましたね?

メンターの申請も、エレベーターでの『ボトックスなんて打つ必要ないのに』もわかった上での発言ですね?

どうでもいいところの脚本が雑じゃない?

細部に神が宿っていないタイプの脚本です!
なんか雑なときがあります。笑
本筋と関係ないのでいいのですが。笑

序盤のコーヒーのシーンでロミーが誰かと仕事の電話をしていましたが、適当に相槌を打っているだけで何について話しているかまるでわかりませんでした。

彼に興味があることがバレたくないけど、近づきたいから電話しているフリしてたんですかね?

おめかし

サミュエルが気になってから突然ボトックスを打ち始めていました。
かわいい。心が乙女だわ。

”明日は彼とのデートだから高いフェイスマスク使う”

の金持ち妙齢のレディ版が

”ボトックスを打つ”

なのですね。

ちょっと笑えました。笑

自己肯定感と比例して濃くなっていく化粧

これはあるあるですね。
自己肯定感が低くなると、化粧が濃くなっていきます。

共感した人も多いのではないでしょうか。
塗り過ぎなくらいチークを塗っていました。

ネクタイを食うな

ネクタイ

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm2736034818/?ref_=ttmi_mi_86

”性欲に操られて変な行動をする男ってなんて滑稽なんだろう”と思っていましたが、女も滑稽ですね。
性別って関係なかったんだ。笑

映画館の大画面でニコール・キッドマンがネクタイハムハムが映し出されたときには爆笑しました。

マジでやめろ。笑
床に落ちたネクタイ食うな。笑

私はなににハラハラさせられてんだ?

ベイビーガール

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm3658716162/?ref_=ttmi_mi_126

序盤の一線を越えるのか!?というシーンが続きます。
なんだか、異様に緊張感に溢れています。

10分面談のミーティングルームでのシーンや、屋上でタバコを吸うシーンなど、観ていてハラハラします。

とんでもない緊張感で、妙齢の既婚女性が部下とセックスするかどうかが描かれます。
何にハラハラさせられてんだ。

とっととランチに誘えよ

床に落ちたネクタイ食ってないで、本人を飯に誘えばいいのに。
メンターだし、ランチに誘っても不自然じゃないよね。

結婚しているし、子供もいるし、上司と部下だしっていう理性が邪魔しているみたいです。

まあネクタイ食ってる時点で理性もクソもないとは思うのですが。

そうか、受け身なのか

マゾだから受け身なのか。
立場的にも自分からいけないから、相手から来てくれるのを待つしかないのか。

ロミーがずっと欲しているのを感じていましたが、ロミーからは一切そういうアプローチをしません。
完全な受け身です。

焦らしプレイの一種?

サミュエルはロミーが自分を求めていることは確信しているはずです。
いつでも捕まえられるはずのロミーをずっと野放しにしているのは、立場上の問題や、セクハラで訴えられる可能性もあるとは思いますが、
たぶんプレイです。

マゾのロミーをムラムラだけさせて遊んでいますよね?

お前も慣れてなかったんかい

サミュエルはロミーをホテルに誘ってプレイを試みました。

『ひざまずいてください』
『ひざまずけ』
『いや、ひざまずいてみてください』

ってお前も手探りだったんかい。笑

下手くそなSってこんなに面白いのですね。笑

グダグダ過ぎて大爆笑

ホテル

http://imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm3490944002/?ref_=ttmi_mi_128

このホテルでのシーンは泣くほど爆笑しました。笑

ロミーもひざまずくのかと思ったら出て行こうとしたし、出ていくのかと思ったら戻ってきたし。笑

2人ともどうしたら良いのか分からずにワチャワチャし始めたのには笑いました。
ロミーもなんか笑っちゃってましたよね。笑

なんか訳わからないけどめっちゃ楽しそう。笑

でも本来はこうあるべき?

セックスしたことない人とのセックスって本来こうあるべきなんですかね?

お互いの様子を伺いながら、
”どうだろう?こうだろうか?違うだろうか?”
ってグダグダしながらお互い知っていくってのも良いですよね。

”セックスってこんなもんだろう”
という固定化させてしまうと、確実にひとりひとりに対応できないですからね。

それ子供にやるやつ!

そんでわちゃわちゃした後に壁の隅に立たせて落ち着かせたのも爆笑しました。

これアメリカで子供を落ち着かせるときか、反省させるときにやるやつじゃん。笑
この映画、CEOが子供のように扱われている。笑

爆笑の犬

犬

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm4262695938/?ref_=ttmi_mi_138

ようやっと落ち着きました。
四つん這いになりました!笑

サミュエルにいい子いい子してもらい、おやつをもらって、そのままの流れでチンコに近づこうとしたら
犬のように払われました!!!!!!!

もうどんだけ笑わせんだよ!!!!!!!!!!!!
大女優ですよ!!!!!!
チンコに近づこうとして犬のように払われていました!!!!!

もう笑いが止まらない

さっきまでの謎の緊張感とのコントラストでしょうか。
しばらく笑いが止まりませんでした。

なにこのホテルのシーン。笑
なんでこんなに面白いの。笑

雄叫びのような喘ぎ声

サミュエルに腹ばいにされて手マンされてオーガズムに達していました。

『ちょっと待って、おしっこ漏れそう』

って言っていましたが、中イキしたことがなかったということなんでしょうか?
てことは序盤でのオナニーは外イキということですよね。

中イキとは

膣内刺激によるオーガズムですね。
中イキと呼ばれています。

クリトリスへの刺激によるオーガズムは外イキと呼ばれています。

あの戸惑っている様子から、ロミーは外イキの経験しかなかったのではと思います。

リアルですから

”あの年で中イキ経験がないなんてあり得るかよw”って思われる人がいるかも知れませんが、
男って男が思っているよりもよっぽどセックスが下手くそですよ。
私もアラサーですが、中イキ経験はありません。
てかオナニーでしか外イキしたこともありません。
男によってオーガズムに達したことは一度もありません。

媒体によって数字の変動はありますが、下記の記事を参考にすると、中イキ経験者は約10%という調査があります。

中イキの調査

https://menshealth.d-clinicgroup.jp/column/17409/

もう抑えられません

あらゆるところでヤリまくってました。笑
よかったね。笑
性の喜びを知れてよかったね〜ってなんかほっこりしながら見ていましたが、やばいか。

上司と部下だし、夫も子供もいるし、問題がある関係なのか。笑

攻撃性の低い展開

家族旅行で別荘に行ったとき、サミュエルがノートパソコンを届けにきました。

サミュエルは彼女の家庭を尊重し、褒めていましたね。
彼女の家庭を壊すなんて全く念頭になさそうです。

家庭は家庭、セックスはセックスで別物として考えているようですが、ロミーはその感覚が分からず、焦ってなんとかこの関係を穏便に無かったことにしようとしていました。

ポリアモリー的な価値観

多分この価値観のすれ違いはポリアモリーと従来の恋愛の価値観の差なのではないかと感じます。

サミュエルはロミーのアシスタントと付き合っていましたが、それでもあっけらかんとしていました。
気まずい様子が全くありません。

1対1でないと関係が成立しないとは思っていない感じがします。

ポリアモリーとは

ポリアモリーとは、関係者全員の同意を得たうえで複数のパートナーと関係を結ぶ恋愛スタイルのこと。1990年代にアメリカの非営利団体「ラヴィング・モア」が使い始めたのが始まりだとされている。ポリアモリーを実践する人をポリアモリストという。

引用元:https://eleminist.com/article/2860

サミュエルが怒った理由

怒っているサミュエル

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm1460966402/?ref_=ttmi_mi_93

関係は終わらせたいが、サミュエルをクビにしたり、口止め料を払おうとはしていませんでした。
『あなたの雇用は守るわ』程度のことを言っていましたが、サミュエルは怒ってしまいました。

ロミーへの執着で怒ったようにも感じなかったので雇用という間接的に金でコントロールしようとされたのがムカついたのかなと思いました。

金なんかで縛れると思うなよ

金ごときで魂を買えるとバカにされた気がしたんでしょうか。

生まれた時から恵まれていて、物心ついた頃には多様性が叫ばれていた訳です。
金なんてものでZ世代を縛れると思うなよ。自分の自由意志や魂が何よりも大切なんだということでしょうか。

そしてこの後も金銭の要求は一切ありませんでした。

めちゃくちゃ印象的だったシーン

このままではまずいと思ったロミーはサミュエルが働いているバーに行きました。
彼と話したいという旨を他のバーテンに伝えると、頑なに拒絶されます。

『おかえりください』と言われた瞬間の顔の演技がすごかったです。

なんか初めて見た顔だし、初めて観るシチュエーションだったのにロミーの感情が手に取るようにわかりました。

上下関係とか関係ないから

今までの常識じゃ通じる相手じゃないんだと。
空気を読まずに自分の意思を最優先にするって感じですよね。
きっとZ世代ってこういう扱いずらさがあるんだと思いましたが、個人の時代なのでなんだか気持ちのいい展開でした。

完全に服従

焦っているロミー

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm2853475330/?ref_=ttmi_mi_83

前半ではサミュエルが面談の申請を出していましたが、今回は仕方がなくロミーが面談の申請を出していました。

完全に立場が変わっています。

『僕とあなたがこの関係に合意することが重要だ』

と言っていましたが、あれって合意に入るんですかね?笑
あの流れだと、”合意しなかったら第三者に話すぞ”という風に捉えられませんか?笑

嫌な気持ちになったセックスのお誘い

部下との不貞行為がバレるかもというプレッシャーの中、夫からセックスを誘われるロミー。

女ならほぼ全員体験したことがあるであろう、気分が乗らない時に誘われるというシーン。
明らかにロミーは旦那とセックスをしたい気分じゃないのが手に取るようにわかるので観ているこっちがレイプされているかのような気分になりました。

酷すぎて笑う

そんなことを思っていたら主人公が急に
夫に猫パンチ!パンチ!パンチ!

『あなたでイッたことがないの!』

これは面白過ぎる。笑
そこまで言わなくていいだろ。笑

翌日に再確認する夫かわいそう。笑
寝れなかっただろうに。笑

女主人公であることに意味があったシーン

夫に全てを打ち明けるシーンがありましたね。

19年間、夫で一度もイッたことがないって結構地獄ですけど、同時に笑えます。

トラジコメディーじゃないですか。笑

主人公が女である意味が発揮されています。
ずっと満たされてこなかった性欲なので、なんか重みが違います。笑
本当にしたかったんだろうなと。笑

性に満たされない女の爆発

いや鬱憤だらけですよ。
私もアラサーでセックスでイったことありません。
これが当たり前と思っていましたが、これが当たり前っていう時点でおかしいですよね。
ゴムつけていようが微量にある妊娠のリスクを一手に担わないといけないのに、セックスではほとんどオーガズムを経験できないってなんの地獄なんこれっていう感じですね。

ロミーを攻める気になれない

これが男主人公だったら”死ねばいいのに”と吐き捨てて終わりですが、
ロミーはなんだか攻める気になれません。

19年間、セックスで満足することができず、ずっとクリトリスいじってたんですよ!

夫が射精後のまどろみでくつろいでいるとき、ロミーはオナニー・ガンダッシュしてたんですよ!
可哀想過ぎませんか。

ロミーの感覚はきっと若者に近い

クラブ

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm622105602/?ref_=ttmi_mi_124

ロミーの世代的に世間に求められてきた女性像に自分を当てはめて生きてきたのでしょうが、きっとロミーの本質は今の若者の方に近いのではないかと思います。

個性的な名前の由来を説明するときにヒッピーのようなコロニーで育てられたと言っていましたよね。
恐らくはヒッピーのように博愛主義的で男女どころか、LGBTQにも寛容な価値観で育ったのではないでしょうか。

青春を取り戻す

あのクラブでマリファナのシーン、なんなんだと思いますが、こういう遊びをしたかったんでしょう。
ヒッピー育ちならマリファナにも寛容でしょうからね。

今まで”女性”CEOに成り上がるためにエリートムーブをし続けてきた彼女からしたらこっちの方が心が休まるというか、性に合っている生き方なんだろうと思います。

娘の方が大人

母親の様子の変化にいち早く気がついていたのが長女ですね。
どうやらレズビアンで彼女がいるようですが、両親もそれを受け入れており、そこは本作では全く問題になりません。

娘がレズビアンである点にドラマがないのも今時の映画って感じでいいですね。

ポリアモリーは幸せそう

本作、ポリアモリーな登場人物が多い印象です。

長女も浮気をしてしまったが彼女に許してもらったという話をしていましたし、サミュエルはアシスタントと付き合いながら、ロミーと関係を持っていました。

なんか自由ですが、本人たちは幸せそうですし、丸く収まっているようです。

対照的な古い価値観組

ロミーはサミュエルに独占欲を爆発させますし、夫はサミュエルに殴りかかります。
このジェネレーションギャップが対比として描かれているようでした。

なんかこうして見ているとポリアモリーの方が人生を謳歌していそうだなと思いました。

どうでもいいところの脚本が雑なのに確信

あとロミーが会食でアシスタントについて
『彼女は優秀なのよ』
と言っていました。

しかし、その優秀な彼女が話していた内容は
『女性の雇用人数をあげよう』
だけでした。

どこが優秀なんだよ!
理由がアホ・フェミニストじゃん。笑
優秀ならハッとさせられるような理由を述べなさいよ。

人間関係の垣根が存在しない

この映画の面白いところです。
母親や娘、アシスタントという役割によって生じる上下関係がまるでないように描かれています。

あくまでも年齢や性別やポジションではなく、一個人の人間として相手を捉える、ということを表現している映画のように思いました。

必要であれば娘が母親ムーブをする

長女

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm2333316098/?ref_=ttmi_mi_157

長女に関しては、教科書的な意味での”良い子”の模範解答からはずれていますが、自分の頭で物事を考えているから母親の異常にも一番に気がついたのでしょう。

長女が母親のことを心配して夜遅くまで起きていたりします。
寝込んでいる母親を慰めに行ったりします。
やっていることが母親じゃん。

アシスタントが諭す

アシスタントのセリフも印象的でした。
”あなたには私たちが憧れる強い女性でいて欲しい”
したたかではありましたが、こういう言葉で表現する点が素晴らしいですね。
生徒を諭す先生みたいでした。笑

ただの一個人として接する

夫とサミュエルが対峙した際、夫はパニック?興奮?で発作を起こしていました。

その時にサミュエルは瞬時に夫に同期するかのようにオデコを付けて落ち着かせていましたね。

サミュエルからしたらラベルは関係ないんですよね。

大衆はありのままを受け入れてくれない

『ボトックスを打った?必要ないのに』
『そのままで綺麗だ』

など、外見に関する印象的なセリフが2回も出てきました。

女が晒されているルッキズム社会についても描かれていましたね。

ありのままを受け入れてあげる

全裸になったロミーが自信なさそうに、恥ずかしそうにしているのを見て、私もハグしてあげたくなりました。

アイズ・ワイド・シャットで乳首ビンビンでラリってた姐さんですよ。
ムーラン・ルージュで男たちからダイヤモンドを掻っ攫っていた姐さんですよ。

こんな弱気なお姿。衝撃的でした。

でも自分を解放できる場所

サミュエルとロミー

https://www.imdb.com/title/tt30057084/mediaviewer/rm2603127298/?ref_=ttmi_mi_168

一糸纏わぬ姿のロミーをサミュエルは綺麗だと言って抱きしめてあげます。

文字通り、ありのままの彼女を受け入れてあげたわけですね。

そして安心した彼女は犬になりましたwwwwwwwwwwww
もうやめてwwwwwww

顔面をお皿に押し付けて犬になってましたwwwwwwwww
そういう展開なのねwwwwwwwww

気持ちよかった瞬間

サミュエルとの関係を知った役員?取締役の男に
『2人きりでこの件について話そうじゃないか』
って言われていましたね。

でたこういう嫌なクソ野郎と思ったのですが、ぶった斬ってくれました。

”あたいドMだけど、仕事とプライベートは切り分けてるからお金を払ってプロにいじめてもらうわ。暴露するなり好きにしなさい。”

みたいなこと言ってましたね。
あんな堂々と言われたら笑っちゃいますって。

気まずいハッピーエンド

最後、非常に気まずいタイミングでニコールと目が合います。
第四の壁超えてくるんだ、この映画。

一応、ラストは夫の手でイけたという解釈で良いのでしょうか?
良いと思います?

色々あったけど、サミュエルは東京の会社に行き、色々社内にもバレたし大変だったけど夫でイクことができるようになったということですね。

めでたし、めでたし。笑

試写会の様子

2025年3月11日にFilmarks主催の秋葉原UDXシアターにて開催された試写会に参加させていただきました。
人生初の試写会は楽しいものとなりました。
私の把握する限りでは満席で女性多めの印象でした。

映画上映後にはトークショーまで開催され、奥浜レイラさん(映画・音楽パーソナリティ)が司会を務め、ブルボンヌさん(女装パフォーマー)、児玉美月さん(映画批評家)によるお話が聞けて楽しかったです。

犬になりてぇ

試写会でブルボンヌさんが登壇しトークショーを行なっていたのですが、
『主人公が”犬になりてぇ”っていうラストなのよ』
っていう発言がやたら脳裏に残りました。

そうなんだよな、この映画って社会的にも家庭的にも成功した、妙齢の女が”犬になりたい”っていうクソコメディなんだよな。

映画を観終わってから、電車の中で冷静になってみるとどんどん笑えてきました。
映画館でも数箇所、笑いを堪えるのに必死でプルプルしていたのですが、電車の中では映画全体がコメディに思えてきてもっとプルプルしていました。

この映画、観た後の方が笑える映画なのかも。
もう1回みたらきっともっと笑える映画なのかも。笑

印象的な考察

ブルボンヌさんが
”現実でも揺り戻しが起こっている”
という趣旨の発言をされており、一歩踏み込んだ視点での考察をされていて印象的でした。

今までは多様性をゴリゴリと推し進めていましたが、トランプの当選で一気に流れが変わりました。
なんか現実で起こっていると考えると一致していますね。
強い力には強い反発が起こってしまうという。

めちゃくちゃ時代を反映した映画でした。

余談

関連情報

参考情報

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