呪怨 ビデオオリジナル版(2000年) 76分【ネタバレ・考察】天才としか言いようがない。心霊ホラーが全く怖くない私が、怖過ぎて洗顔する際に支障をきたしたホラー映画。

呪怨 ビデオオリジナル版(第1作)

ネタバレ無し感想

先日、貞子vs 伽椰子を見たのですが、想像以上に伽椰子のビジュアルが怖かったので、本作を視聴することにしました。

伽椰子も俊雄も物心ついた頃には、お二人ともスターになられており、コメディで消費されているお姿しか見たことがありませんでした。
なので油断してしまい、かなりダメージを喰らいました。

人怖、心霊、人体破壊など、ありとあらゆる恐怖演出をしてくるので、少しずつHPが削られ、ラストでトドメを刺されます。
それぞれの人物描写が緻密に描かれているので、心霊描写にも説得力があり恐怖度が高いです。
この映画すごい。かなり怖い。

そして魅せるシーンと見せないシーンの緩急が素晴らしいです。
また、一部の描写はあえて見せないことでこちらの想像力に委ねることにより、見えるより怖いシーンがちらほらとあります。

前半は大人しいのですが、なんか小気味良いテンポで話が進んでいくので、とっても見やすいです。
そして少しずつ怖くなって行くので、後半はめっちゃ集中してしまい、気がついたら映画が終わっていました。
これはすごい。

そして映像の質感、普通なら安っぽいと一蹴してしまいそうですが、本作はその安っぽい質感すら上手く機能しています。
これ絶対低予算ですよね?これは天才としか言いようが無い。

基本情報

THE JUON Video Original
呪怨 ビデオオリジナル版(第1作)
2000年 76分

呪怨 ビデオオリジナル版(第1作)

https://watcha.com/ja-JP/contents/mOPArpd

製作国 : 日本
日本公開 : 2000年3月18日
ジャンル:ホラー

あらすじ

妻の出産を間近に控えた小学校教師・小林は、長く欠席している生徒・佐伯俊雄の家庭訪問に出かける。そこで彼は、俊雄が大学時代の同級生・伽椰子の息子であることを知る。さらに彼女の変死体を発見。恐怖に駆られた小林は逃げ出そうとするが…。

※参照元:U-NEXT


日本版 予告編

スタッフ

監督 : 清水崇
脚本 : 清水崇
製作 : 一瀬隆重/高島正明/加藤和夫
音楽 : ゲイリー芦屋
配給 : 東映ビデオ

キャスト

小林俊介:柳ユーレイ
田村瑞穂:栗山千明
由紀:三輪ひとみ
村上柑菜:三輪明日美
佐伯俊雄:小山僚太
佐伯伽椰子:藤貴子
佐伯剛雄:松山鷹志
村上強志:安藤一志
村上典子:吉行由実
小林真奈美:優恵
北田良美:藤井かほり
北田洋:翁華栄
中村先生:洞口依子
吉川刑事:でんでん
神尾刑事:諏訪太朗
飯塚刑事:芹澤礼多
手塚:木内淳一
事務員:斎藤繭子
監察医:並樹史朗
鈴木響子:大家由祐子
鈴木達也:芦川誠

おせっかい情報

見る際の注意

結構怖い。
人怖要素あり。
具体的な描写はそこまでないものの、結構グロい内容。

こんな人におすすめ

心霊ホラーが好き。
Jホラーが好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

※完全な偏見です。


 

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⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

構成が面白い

序盤は割と退屈なのですが、少しずつ恐怖度が上がって行き、後半は怒涛でした。
オムニバス形式ですが、家を中心とした呪いの話であることや、それぞれの人物が微妙に関係していたりと、まとまりのある構成はお見事です。

時系列も前後して描かれています。
少しずつパズルのピースがハマっていく心地よさがあります。

最初は殆ど怖くありませんが徐々に徐々に怖くなっていき、最後のパートで原因が判明するというクライマックスも良かったです。

日常がめっちゃ日常

小林夫婦の会話や、家庭教師と女の子の会話がものすごくナチュラルでした。
ぶっちゃけ面白くは無いですが、その日常シーンの日常があまりにも普通なので、その後に起こる心霊現象を身近に感じてしまいます。

セリフも少なめで説明的ではなく、ナチュラルな言い回しです。
Jホラーあるあるの過度なリアクションもありません。

日常描写はリアリティを重視し、恐怖表現は過度に表現するという緩急がすごく良かったです。

人物描写が秀逸

セリフ少なめでもキャラクターそれぞれの人柄が一瞬でわかります。

思春期感が一瞬で手に取るようにわかったり、嫁が大学時代から伽椰子のことをよく思っていないことが一瞬でわかったり、秀逸な描写が多かったです。
学校の先生はなんか嫌な感じで不穏ですし、”わ、こういう人いそう”と思わせるようなキャラクターたちです。
でも現実にいそうと思わせる普通の登場人物たち。

深く描かれるわけではないのに実在感があるキャラクター造形が秀逸だなと思いました。

食い気味な会話がリアル

『なんか気持ち悪い子だったよね』

小林と嫁と伽倻子の3人が同級生だったみたいですね。
この食い気味な返答が妙にリアルでしたし、”あの気持ち悪い女の話すんの?”っていう圧を感じました。
それを感じてか、小林もそれ以上は何も言えなくなっていました。

嫁はなんとなく、伽椰子が大学生時代から小林にゾッコンなのを感じ取っていたのかな。それでよく思っていなかったんでしょう。

本人である小林は気がついていなかったのかもしれませんが、女同士では感じるものがあったのかな、と思わせるようなシーンでした。

めっちゃ思春期

『わかったから、うるさいな』
って、思春期の女の子らしいセリフ。
やたら恋バナしたがるのも可愛らしいですね。

俊雄、可愛い

俊雄はいつ出てきてもめちゃくちゃ可愛いです。

お口を大きく開けている俊雄くん〜!
愛おしい〜!
あと瞬きをしないように頑張ったね〜!笑

この時から顔出して『としお』って言うのね。笑
俊雄はなにしててもかわいいわ。笑

伽椰子の説得力

生前は小林のストーカーをしており、あんな気味の悪いノートを書き連ねていたくらいですから、死後、あのようなバケモノになっててもおかしく無いなと思わせてくれます。

あとなんか、小林くんを襲っているとき、本人もよくわかっていなさそうな感じしませんでしたか?
なにも理性が働いておらず、状況も把握しておらず、大好きな小林くん目掛けて階段を降りてくるシーンは恐怖でしかなかったです。

猫のマー

子供が書いたっぽい文字で
マーのおはか
という木が外に落ちていました。

これ飼い猫ですかね。
俊雄がニャーと言っているのはなんでなんでしょうか。
よくわかりませんが猫も化けて出てきているみたいです。

案外、淡々としている

キャラクターたちが、ただポツンとそこに置かれているような絵作りでした。
あと間がすごく良いです。

雰囲気でわかる

あ、もうこの世じゃ無いんだって証明で一瞬でわかるあの空気感。
多分ちょっと照明を絞ったくらいの変化だと思うんです。
だからこそ怖い。

あれ?いつもとなんか違うでも具体的にどこが違うかはわからない、というくらいの画面の変化。
これがどこかリアルで怖いです。

物語まとめ

時系列が前後して描かれますが、恐らく下記のような流れだと思います。

🔸呪いの発端となった佐伯家の事件

・小林夫婦の夕食(家庭訪問前日)
・佐伯剛雄(伽椰子の夫)が伽椰子を殺害し、屋根裏に遺棄。
・小林が家庭訪問に訪れる。
・佐伯剛雄(伽椰子の夫)が小林の嫁殺害。
・伽椰子が小林を襲う。
・伽椰子が佐伯剛雄を殺す。

🔸村上家

佐伯家の事件の後、村上一家があの家に引っ越した模様です。

・柑菜の家庭教師が屋根裏に吸い込まれる
・学校では瑞稀(栗山千明)が俊雄と遭遇。
・その後、引きちぎられた遺体を発見され、検体に回される。
・柑菜は顎がない状態で帰宅
・村上家の父は精神を病み病院へ

村上家の長男のその後は描かれておらず不明。

🔸その後

不動産屋はあの家に住んだ人間が軒並み行方不明や死亡していることから、半信半疑で妹に除霊を頼んだが、次の入居者も伽椰子の手中に入ってしまった模様。

人間関係まとめ

・小林俊介
大学時代の同級生である真奈美と結婚し、真奈美は臨月でラブラブの様子。
伽椰子とは大学の同級生であり、伽椰子の息子である俊雄の担任の先生。

・佐伯伽椰子
大学生時代、小林俊介に付き纏い、ストーカー行為を行なっていた。
日記には小林俊介への想いを綴っていた。
しかし、佐伯剛雄と結婚し、俊雄を授かった。

・佐伯剛雄
伽椰子の大学生時代にしたためていたストーカー日記を見てしまい、俊雄が自分の子供ではないと勘違いをしてしまい、伽椰子を殺害。
小林俊介の嫁である真奈美を殺害し、腹を切り裂いて胎児を取り出す。

・佐伯俊雄
『これから俊雄の面倒はお願いします』と言っていることから、俊雄くんは父親に殺されていない模様。
でもなぜか化けて出てくる。
伽椰子と一緒にいるうちにあの世の住民になってしまった模様。
母子は仲が良さそう♪

・村上柑菜
家庭教師と勉強をしていたら、学校のうさぎの面倒を見るのを忘れていて急いで学校に行った。
何かに取り憑かれ、顎を引きちぎられて帰宅する。

・村上強志
柑菜の弟。自室にいた。
ほとんど登場しないのでなにが起こったのかは不明。

・田村瑞穂
村上強志の恋人。学校で一緒に帰宅しようと強志を待っていたところ、先生に職員室に呼ばれ、俊雄に襲われる。
一度だけ家に来たことがある(柑菜と家庭教師の会話にて)ため、呪われてしまった様子。
瑞稀は”自然の力でねじ上げられてちぎられたようなバラバラ死体”で、柑菜の顎と共に発見される。

・村上典子
柑菜の母親。買い物に行って帰宅すると瑞穂から電話がかかってくる。
対応していると顎を失った娘が帰宅する。
この後死亡している。(後の不動産屋の会話で判明)

・村上
村上一家の父親。名前は不明。
後に不動産屋の発言で、『村上さんは女房と娘が死んでから病院にいる』と言及されるセリフのみで画面上には登場しない。

腑抜けた会話

『顎のない状態で人間が生きていられると思うか?無理だよなぁ…。』
って。笑
そうだよね。笑
こういう緩いシーンがあることが、ホラー映画では結構重要だと思いました。

母親の悲鳴が秀逸

のっそりのっそり階段を上がる柑奈。
この時の音、やばい気持ち悪い。

母親が娘じゃないと気がつき、『誰?』と聞いた後、振り返ると顎がない柑奈。

それを見た母親は恐怖に慄き、悲鳴をあげるのですが、『キャー』とかっていう安っぽい悲鳴ではなく、『ぁぁあああぁぁああ”あ”ぁぁ』っていう声になっていないような母親の悲鳴がリアルでした。
素晴らしい悲鳴。

棒読みが怖すぎる

『お母さん、上手?』
『上手よ』
『お母さん、どこに行ってたの?先生きてるよ。』
『知ってるわよ』
『先生お母さんに会いたいって』
『そのうち会えるわ』

俊雄、伽椰子と喋ってんの怖えよ。
でも死後も母子仲良し♪笑
微笑ましい♪笑

伽椰子の顔だけがない

バラバラに破かれた家族写真で伽椰子の顔だけないの本当に嫌ですね。
こういうの気持ち悪い。

なんかリアル過ぎる霊障

襖に貼ってあった紙が落ちるのも完璧なタイミングだし、扉が勝手に開くのも怖すぎる。
めちゃくちゃ霊障っぽい。
過度な演出じゃないこういうシーンの方が不気味でゾクゾクする。

囁くような『小林くん』

この声の音量が心霊感強すぎ。
『小林くん』と声がしたので俊雄の部屋を出たら暗い。
もうあの世ですね。

地獄のストーカーノート

会いた扉の部屋に入ると母親の顔だけの部分の写真が数枚
ノートを開くと、ストーカーノート。殴り書きの、、、。

ノート破って見てるわよ的なのは凄い。気持ち悪い。

・小林くんと目があった
・小林くんはお酒が弱いから
・小林くんの吐いたものなら

って書いてある内容も気持ちが悪いし、このときのナレーションも完璧ですね。

どんどん字が汚くなっている。
飲み会での出来事が書かれているので、おそらく大学時代の話ですよね?
ナレーションの不気味さが素晴らしい。

小林くんの顔がグチャグチャに切られた写真が挟まっていましたが、これは伽椰子の夫がやったんですかね。

屋根裏の伽椰子

気持ち悪いノートを閉じ、ハエが通ったのでタンスの屋根裏を見ると伽椰子の死体を発見。

真っ先に『こんなところにいちゃいけない』
って俊雄を連れ出そうとするところがどこかリアルです。

『先生ですねぇ?』

『もう伽椰子には会いましたか?
今日から俊雄の面倒はお願いします。
私が先生の代わりに育ててきたんだ。』

佐伯は伽椰子のストーカー日記を見て、伽椰子と小林が出来ていると勘違いして伽椰子と小林の嫁を殺したということ?

『今日から俊雄の面倒はお願いします』ということは俊雄は殺していないのね?
自分の子供じゃないと思ったということね?

嫁を殺して胎児を取り出したね?

これ小林の嫁を殺して腹から赤ん坊取り出したね?
そしてそれを袋に入れて地面やそこらに叩きつけて歩いていたね?

勘弁してくれよ。
音が気持ち悪すぎる。ここのシーンの嫌悪感がMAXすぎる。
しかも胎児を映さずに音だけ聴かせるの、想像力におまかせされるのきつい。

通り過ぎる通行人

伽椰子の夫が血塗れ公衆電話から飛び出すと、カップルらしき通行人が目撃します。

しかしそのまま通り過ぎていきます、、、。
そして道で袋を叩きつけながら歩いているのに、誰も通報しないの、、、。

こっわ。
みんな見て見ぬ振りするのも怖い。

この地獄の展開からの伽椰子登場で恐怖値MAX

何かが落ちてきた音。ビニールが動く音。
肉や液体がみちゃみちゃする音。

そして伽倻子が階段から降りてきます。
こちらを欲しそうな、獲物を見つめるかのようにこちらを見ています。

怖すぎる。これは怖すぎる。
すごい顔してる。
小林、恐怖で声も出ない。
私も声が出ない。

俊雄ありがとうー!

地獄の背後に回られていて、『小林くん?』は怖すぎた。

そして俊雄から猫の鳴き声。
オチが俊雄のニャー!笑

としおー!笑
かわいいぞー!笑
ありがとうー!もう怖くて限界だったー!笑

伽椰子、移動できる

地面に座り込んでいるとゴミ捨て場の袋が徐に動き出し、伽椰子の手らしきものが伸びてきていたので恐らく死にました。

伽椰子ってあの家から出られるのですね?
そして、時系列的に小林くんを襲ってから夫のところに瞬間移動で来てますね?
忙しいね?

不動産屋の男

佐伯家の事件があってから軒並み家族が死んだり失踪したりしている事故物件のお祓いを霊感がある妹に依頼。
ちゃんとしたところにお祓いをお願いしてしまったら、自分で悪い噂を振り撒くことになるから、ちょっと霊感がある妹にお願いした動機もちゃんとしてていいね。

清酒で、妹が口に含んだら不味くて飲めないらしい。
お酒を不味そうにする=霊感があるからやばいわよという感じ。
焦って出ていった妹を見送った兄はとりあえず酒飲んでみるが兄は何も味の変化を感じていないらしい。
ここはどこかコメディな感じで好きでした。

妹が兄から”買い手が決まった”との連絡を受けて、心配になってあの家を見に来ました。
確実にアウトな顔した女がこちらを見たところで映画が終わるという最高のシメでした。
まだまだ続くぞぉー!というエンディング。笑

関連情報

この事件を思い出した人も多いのではないでしょうか。

文字列だけで怖くて手が震えるような残虐性の高い事件です。

名古屋妊婦切り裂き殺人事件


 

参考情報

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