ブルー・マインド (2017年) 97分【ネタバレ・考察】少女が大人になるまでの過程をホラーにした映画。

キュア ~禁断の隔離病棟~

ネタバレ無し感想

カミング・オブ・エイジ・ホラーっていうんですね。

この映画を見終わった後に思い出したセリフはヴァージン・スーサイズの『先生に13歳の女の子の気持ちがわかるっているの?』でした。
思春期の情緒不安定さもよく表現されていて、自分が思春期だった頃の気持ちを思い出しました。

ホラーの種類としては、キャリーやRAWに通ずるタイプです。
自分の体が大人へと変化していく自分の体への恐怖が主軸となっています。

個人的にはめちゃくちゃ好きなエンディングでした。
面白かったです。もう一回観たいかも。

基本情報

Blue My Mind
ブルー・マインド
2017年 97分

ブルー・マインド

https://www.amazon.co.jp/Blue-My-Mind/dp/B07JVF7R23

キャッチコピー『少女は変態する。』
キャッチコピー(英語)『MIA’S BODY IS CHANGING』
製作国 : スイス
レイティング : R-15
ジャンル:ファンタジー・ホラー

あらすじ

両親の仕事の都合で新しい街に引っ越してきた15歳のミア。親へのいら立ちと、大人の女性に変化していく自身の不安を抱えながら、彼女はクラスの仲間たちと悪い遊びに手を染めていく。そんななか、彼女の体に不気味で不自然な変化が起こり始める。

※参照元:U-NEXT


日本版 予告編

英語版 予告編

スタッフ

監督 : リーザ・ブリュールマン
脚本 : リーザ・ブリュールマン/ドミニク・ロハー
製作 : フィリッポ・ボナッチ/ステファン・イェーガー/カトリン・レンツ
音楽 : トーマス・クラトリ

キャスト

ルナ・ウェドラー:ミア
ゾーイ・パステルズ・ホルトハイゼン:ジョアンナ
レギュラ・グラウヴィラー:ガブリエラ
ゲオルグ・シャレッグ:マイケル
ルー・ハルティナー:ネリー
ヤエル・マイヤー:ヴィヴィ

おせっかい情報

見る際の注意

リアルなタイプのグロが出てきます。
性描写もあります。
魚がひどい目に遭います。

こんな人におすすめ

女の思春期ホラーが好きな人。

この作品が好きな人が好きそうな映画

※完全な偏見です。


 

Amazon Prime Video<字幕版>

ブルー・マインド

ブルー・マインド DVD

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

スイスの社会問題

この映画はどうやらスイスの社会問題について取り扱っている様子なのですが、わからない!笑
あまりにもスイス文化に触れてこなかったため、大統領が女性で、学費が無料で、性犯罪とその刑罰に関するニュースをよく聞く印象しかありませんでした。
人種分布も想像つかないし、言葉なんてなに一つ思いつきません。
とにかくわからない!笑
ちょっと該当しそうなものだけ調べてみました。

外国人差別

ジョアンナと友達

https://www.filmbulletin.ch/articles/blue-my-mind

序盤の授業のシーンで”苗字の最後が”ッチ”だと就職で不利になったりする”という、苗字による差別が存在するという話が出てきました。

調べてみたら本当に似たようなことが起こっているようです。

2014年のチューリヒ州の地方選で提出された投票用紙のデータを元に、研究者たちは「スイス固有でない姓を持つ候補者は選挙において深刻なペナルティを被る」と結論付けた。

引用元:外国の姓の立候補者、選挙戦で不利?

ちなみにこの映画の主人公たちの苗字は判明していないので不明ですが、冒頭でこの話が出ているのと、フランス語の書類が出てきたという場面があったのでこの家族の苗字はスイス人からすると明らかに外国人であることがわかる名前なのかなと予想します。
でないとあのシーンがある意味がないですしね。

住居の問題

序盤に一瞬ですが、建物を建設している描写がありました。
どうやらスイスでは住居不足が深刻なようです。
これに関しは主人公がずっと居場所がないという点や、人魚である主人公が地上で感じている生き辛さとダブるかなと思いました。でもあんまり物語に深く関わっているかというとよくわかりません。

スイスでは3年以内に、5万1千戸の住宅が不足する可能性があると、不動産コンサルタントのヴュースト・パートナーが試算結果をまとめた。ドイツ語圏NZZ日曜版が報じた。

引用元:スイス、3年後には5万戸超の住宅不足に 民間予測

情緒不安定の正体

女性ホルモンですね。
思春期に差し掛かると、エストロゲンというホルモンが分泌され、胸が大きくなったり、子宮が成長したり、生理がきたりします。
思春期の女は手に負えないとよく言いますが、本人も手に負えません。
身体的な変化による不安もあるでしょうが、ホルモンによって情緒不安定になり本人も苦しい状態になっています。

個人の経験でいうと、怒りなのかイライラなのかよくわからない感情が強烈に湧いてきて大号泣したりするんですが、何について泣いているのか自分でもわかりません。
ただ負の感情が湧き起こって制御ができないという感じです。
具体的に何が原因なのかはわからないし、美味しいものを食べようと、好きだった音楽を聴こうと無駄です。
怒りなのか悲しみなのかよくわからないマイナスな感情が心を支配しており、自分でも対処ができないし、コントロールができません。

女の体はホルモンに呪われています。
この苦しい経験が思春期だけで終わればいいんですが、大人になってからも生理や妊娠、更年期など、女性ホルモン乱高下イベントは定期的に襲ってくるわけです。
やってられっかよ。クソが。

ミアの体の変化

子供の頃のミアめっちゃ小さい頃の映像が最初にありますが、あれは故郷を見ていたのですね。笑

ミアは体が大人の女へと成長するのと同時に人魚化も進んでいきます。
1番最初は大量の塩?を水に入れて、擬似海水を作って一気飲みしていました。

性的快楽

ブルー・マインド 首絞め

https://amzn.to/3QabW1u

首絞めごっこをした後、つい家の水槽にある魚を食べてしまいます。

首絞めって気持ちいいらしいですね。
ここは性的快楽を感じて、魚化も一歩前へ進んだということなんだと思いました。

初めての生理とヒレ化

足の指

https://m.imdb.com/title/tt6193454/?ref_=tt_mv_desc

学校をサボって万引きや歩道橋でおっぱい露出などの遊びをした後、初潮が来ていました。
ナプキンではなくティッシュで対応したのはなんでなんでしょうか?ナプキンを使ったら母親にバレるから?
ミアは15歳ということなので少し遅めの生理ですね。

その後に湯船に浸かりますが、足の指がくっつき始めていました。気持ち悪う!

性欲と変色

自宅でAVを見て出会い系のキモい35歳のオッサンとセックスをしにホテルへいきました。
しかし、脚のアザについて聞かれ、結局逃げ出してしまいましたね。

制御不能

その後、くっついた足の指を自分で切っていました。
そしてまさかの騎乗位で同級生と初体験を済ませました。
異常な食欲なのか食卓での食べ方が動物のようでした。
もうここからは制御不能になってきているようです。

誰彼構わず性行為におよび、ずっと酒飲んでます。
やばい。どうみても自傷行為。

そして脚は全体的に変色しています。
服を着た状態では寝れず、裸で床に寝ました。
そしたら床は鱗だらけ。グロいです。
もう手に負えない状態になっています。

まるで化け物

魚の解剖の授業で捨てる予定の魚を貪り食いました。
そして親が旅行に行った後、水槽の魚を一気に食べてしまいました。
母親のベッドサイドテーブルにあった薬を酒で飲み干します。

パーティーに行ったらジョアンナが溺れました。
口でジョアンナに空気を送りながら救出します。
トイレに入り自分の体の異常を感じて脇腹を見たらエラが出来ていました。
これは嫌だ。

自宅でピンセットで鱗を取っていたらジョアンナに見られてしまいました。
変化したくないのにそれを自分ではコントロールできない。しかもそれは病気ではない。
自分が化け物と思えるでしょうね。

自暴自棄

現実から目を背けようとお酒を飲みまくります。

そして地獄のフェラシーンですね。
友達が『本当はこんなことしたくないんでしょ』と止めに入ってくれましたが、なんとこれはミア同意のもとで行われています。
もうどうでも良くなってしまっています。

そして脚の件を友達に言われ、周りの男たちに無理やりズボンを脱がされてしまい、周囲の人全員に脚が変色していることが見られてしまいました。
もう居場所は完全にないでしょう。
地上が生きづらくて仕方がなさそうです。

薬とお酒を飲んで自殺しようとします。
立ちあがろうとすると脚と脚がくっつき始めてしまいました。
腕を包丁で切ったあたりで薬が効いてきたのでしょうか、倒れるように寝てしまいます。

そして朝起きたら下半身が完全に魚になっていました。
これが完全体ということですかね。
成長完了してからは割と心が安定していて冷静でした。

冷たい家庭

この映画、どこまでがスイスの文化なのかがわかんない。
いくら治安が良かったとしても自由に泊まりあってるし、ちょっとおかしいよね。

ミアのことを気にかけている素振りは見せるものの、圧倒的にコミュニケーション不足ですし、理解が無さすぎます。

なんか序盤に歩いていた野良猫とミアが重なります。
誰も心配してくれる人がいない感じ。

自分は養子なのか

ミアは自分が養子なのではないかと疑っています。

母親の妊娠中の写真がない、エコー写真がない、妊娠・出産に関する証拠がないことで、ミアは自分が養子なんじゃないかと母親に詰めていました。
母親はまともに相手にせず、『他の子は今頃、宿題やってるわよ』と言っていました。

自分の体に異常な変化が起こり、これは遺伝的なものなのではないかとミアは思ったようですが、外見も両親と似ていないと感じており、”自分が養子なのではないか?”という疑念は以前から抱えていたようにみえます。

答えろクソアマ

この母親、一度も娘からの問いに明確に返答していません。
イライラするわ。マジで嫌い。

『私も自分の娘なのか自信がなくなってきたわ』
じゃねーだろゴミ。ハッキリ問いに答えないとか政治家かよ。

普通、自分が産んだ娘に血の繋がりについて聞かれたら答えませんか?
まともに娘に向き合っていないのが態度で伝わってきます。
母親としてのプライドがない感じ。
もし自分の娘に養子であることを疑われたら、そう思わせてしまった自分を責めませんか。

もし養子であったとしたら、これを機に一度家族で話し合うんじゃないか。
別に養子であったとしても私たちが過ごしてきた時間は変わらないじゃないってなるじゃない。

なんでまともに対応しねーんだこのクソ母親。

ミアは養子

ミアとジョアンナが母親の部屋を漁っている時にフランス語の書類が出てきました。

2人は書類の内容を読めなかった様子ですが、これが答えなんじゃないかと思います。

養子だけど娘のことは愛していて、できれば隠し通したいという風に捉えました。
養子なら養子で、だったらなんなの?っていう態度を示してくれていれば良かったのに、濁したり隠そうとしたりするから不信感が募っていくんですよね。

しかもミアって人魚なんで。笑
養子なのは確定です。笑
海で生まれて、どこかで拾われて政府に保護されて、この親に引き取られたみたいな流れなのかな。

恒例、父親はかやの外

https://m.imdb.com/title/tt6193454/mediaviewer/rm1999724288/

ミアは夜、寝れなくて海水もどきを一気飲みしていました。
この後、母親の寝室に行き、抱きしめてもらいながら眠りにつきます。
体の変化に心がついていっていないということなんでしょう、安心したくて母親に抱きしめてもらいにいっていました。

父親マジで何も求められていない。笑

遠足のサインだけ?笑
海に戻る直前に話したのも母親だけだったしね。

他人に丸投げ

父親は母親を突き飛ばしたことを頭ごなしに叱るだけです。
そして金魚をトイレに流したことを頭ごなしに怒るだけです。
一応質問していますが、何言っても無駄だろうなという感じ。
そしてセラピーを受けろと他人に丸投げ。
もう父親は論外です。

しかも恐らく初めて化粧をしてピアスして学校に行ったシーンがありましたが、なにも言及がありませんでしたね。
『どこいくんだ?』とだけ。
普通の父親って、”なんだ化粧なんて珍しいな”とか”そのピアスどこでかったんだ?”とか無駄に娘とコミュニケーションを取ろうとして娘にうざがられませんか?
その関心すらないのはなんなんですか。

母親もどうかしています。
水槽の魚が消えたことには気がつくのに、娘の初潮には気がつかないわけですから。

こんな奴らが親なら自分が養子だと思った方がマシですね。
この家庭における両親と娘の信頼関係は崩壊しています。

1番身近な大人がそんな態度じゃ、他の大人が信頼出来なくても無理はありません。

孤独な2人の友情

https://eiga.k-img.com/images/movie/89667/photo/34f6de3be376dfa1.jpg

最初はいじめるのかな?なんて思っていましたが、最後、2人は心を通わせていました。

妊娠したかもって言って検査していたくらいにはやんちゃだったジョアンナが、後半ではミアのフェラを止めていました。

『本当はこんなことしたくないんでしょ』

ジョアンナも性行為によって自分を誤魔化していた時期があるんですね。

万引きやオッパイ歩道橋、性行為なんかの刺激で今感じている痛みを誤魔化しているように見えました。
リスカをしている子供達のような。
擦り傷による痛みを骨折で誤魔化しているような感じ。

ジョアンナの化粧

ジョアンナの家庭にも問題がありそうです。
母親がいるのかはわかりませんが父親が一瞬出てきます。

最初は異様に化粧が濃く、派手な格好をしていましたが、終盤ではほとんどメイクをしていませんでした。
もう自分を偽る必要がなくなったんでしょうか。

『この瞬間が一生続いてくれたらいいのに』

ミアによって孤独が癒やされて心が満たされていっていたみたいです。

ジョアンナの両親

ジョアンナの父親がジョアンナにタバコあるか?って聞きましたね?
それどういう意味?俺が吸いたいから一本あるか?ってこと?
この父親どのレベルのクズ?
この映画、日本語の吹き替えでみたい。マジでニュアンスわかんらん。

中盤でジョアンナがミアの両親に内緒で勝手に家に泊まっていました。
『お母様が心配するんじゃない?』ってミアの母親がジョアンナに聞いた時、即答で『してません』って答えていましたね。

ジョアンナの家庭もかなり問題がありそうです。

エモすぎるラスト

家を水浸しにして、ジョアンナを呼んだ時、ジョアンナは人魚になったミアに対して引いたり逃げたりせずに、海に連れていってあげたのには泣けました。
しかもジョアンナ、ミアを海に連れていくために免許持ってないはずなのに一晩中運転したね?
ミアが受け入れてくれたことによってジョアンナは救われ、最後はジョアンナが受け入れてあげることでミアが救われるわけですね。

唯一、ありのままの自分を理解してくれた友達に見守られながら旅立っていくというのはめちゃくちゃ良かったです。
1人で海に潜っていくっていう孤独なエンディングでした。
自立したんですね。

関連情報

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

参考情報

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