アリ・アスター【まとめ・考察】恐怖の運命論。生物は皆、DNAという運命の手のひら。

アリ・アスター

宿命論・運命論とは

世の中の出来事はすべて、あらかじめそうなるように定められていて、 人間の努力ではそれを変更できない、とする考え方。

引用元:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/宿命論

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

本記事は下記作品の内容に触れます。

未視聴の方はご注意ください。

人物情報

Ari Aster
アリ・アスター
1986年7月15日産まれ

アリ・アスター

https://mubi.com/en/cast/ari-aster

作品

アリ・アスター作品の共通点

ヘレディタリー 撮影風景

https://theplaylist.net/hereditary-ari-aster-20180702/

アリ・アスター監督の長編3作品に共通するのは、最初から結末が示唆されている点です。

ヘレディタリー/継承の冒頭では、”悲惨な結末を迎えることが決まっている場合、選択肢がある方がより悲惨である”ということが語られ、ピーターが悪魔ペイモンになることが予見されていたかのように模型が作られていたという結末でした。

ミッドサマーでは序盤に出てくるタペストリーによって、主人公が廻る展開を示しています。

ボーはおそれているでも同様に、序盤のシーンでボーの未来が描かれています。

映画の中の登場人物は皆、最初から結末が決められています。
運命論はアリ・アスター監督のテーマなんでしょう。

その運命論がいかに残酷なものなのか、本記事では書いてみたいと思います。

運命は遺伝

私たちもある程度、遺伝的要因によって結末が決まっていると捉えることができます。
自分がどう足掻こうが、どう正しく生きようが、遺伝的要因で起こる事は起こるわけです。
環境遺伝を含み、遺伝的関係があると言われているものは数多くあります。
統合失調症や発達障害、うつ病になりやすい性格やIQ。
見た目によって年収が変わるというのは有名な話です。

嫌な話です。

遺伝的関係があると言われているもの

遺伝の研究はあくまでも統計学的な数値であることが多く、医学的根拠がないものもあります。
そのため、絶対的な数値として捉えるのではなく、あくまでもざっくりこれくらいの確率があるんだな〜とゆるい情報ですがこんな感じらしいです。

統合失調症

遺伝的要因も統合失調症発症の原因のひとつだと考えられています。
一卵性双生児の場合、ともに統合失調症を発症する可能性は28%にものぼります。
また、統合失調症の患者様から産まれたお子様の発症率は、そうでないお子様の10倍まで上昇することが研究により明らかになりました。さらに、隔世遺伝の可能性も示唆されています。

引用元:https://umemoto-homeclinic.com/schizophrenia-genetics/

喫煙率

親が喫煙している学生の喫煙経験率は、男女とも全体の喫煙経験率を上回っていた。両親ともに喫煙者の男子学生の喫煙経験率は20・5%、女子学生では6・8%であった。一方、両親がそろって非喫煙者である場合は、それぞれ9・9%、2・2%であった。つまり両親が喫煙者の場合には、非喫煙者の場合に比べ、子の喫煙経験率は男子で約2倍、女子では約3倍になることが分かった。

引用元:https://www.sankei.com/article/20210503-UD4XLZBQWFPDZMML74TLVIHQLY/

てんかん

てんかんは遺伝しないと考えられていますが、一部の遺伝子が関係していたり、「発作の起こりやすい体質」を受け継ぐことがあったりすることが研究で明らかになっています。

引用元:https://umemoto-homeclinic.com/schizophrenia-genetics/

糖尿病

2型糖尿病は遺伝傾向がありますが、すべてが遺伝によって起こるわけではなく、環境も大きく関係しています。2型糖尿病の場合、両親ともに糖尿病であった場合には40~50%の確率で糖尿病を発症すると言われています。1型糖尿病の場合、両親が1型糖尿病の場合の発症率は3~5%、両親のどちらか一方が1型糖尿病の場合は1~2%とされています。

引用元:https://www.tsubasazaitaku.com/column/column224.html

発達障害

発達障害の原因は多岐にわたり、不明な点が多く残されている。双子研究により、遺伝要因とそれ以外の要因の影響度を算出することが可能で、自閉症スペクトラム障害とADHDに関しては遺伝要因の影響が大きいと分かっている

引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3

外見

ルックスによる生涯賃金格差は2700万円。
容姿が並みに満たない働き手の生涯収入は146万ドルにしかならず、一方、並みよりいい容姿の働き手だと生涯収入は169万ドルへと高まる。
https://toyokeizai.net/articles/-/71033

人類は皆、運命論の手のひらの上

遺伝的要因が人生に起こることに関係するならば、それは逃れられないでは無いかと。
地球上の生物は皆、運命論の手のひらで転がっているともいえます。

もしもたまたま不運な遺伝子を引き継いでしまった場合は、運命論はDNAによって引き起こされるあらゆる不幸という風にも捉えられます。

もちろん、対策を打つことで不幸になると決まったわけではありませんが、自分自身がどう善良に生きようと足掻こうと、可能性を0にする事はできないという事です。

運命論という救い

言い訳にしましょう!
悪いことが起こった時、乗り越えられないほど大切なものを失ってしまった時、自分を責めたり反芻して後悔するより、

きっと自分が過去に戻ってどれほど最善を尽くしても、止められなかった出来事なんだ

と思うようにしましょ。そしたら気が楽になります。

未来は変えられない

未来が変わったかどうかは複数の世界線が無い限り判明のしようがありません。
もしかしたら善良に生きたことによって人生は変わっていくものなのかもしれません。
今の状況は過去の行いにより変わった結果なのかもしれない。
でもそれを証明する事はできません。
すなわち未来は変えられない(変わったかどうかわからない)ということになります。

抗えない

科学は思ったよりも進んでいません。
なんかこの疾患って遺伝っぽい!っていう感じで、自分の疾患が遺伝によるものなのか明確には判明していません。

判明しないなら対応が取れない。
隔世遺伝まで関わってくるとなると遺伝はギャンブルです。
人言ガン無視の中国政府を除いて少なくとも多くの一般人は遺伝を操作ができません。

他の映画作品での運命論

メッセージやバタフライエフェクトでも描かれていましたね。
変えられなくても受け入れて生きて行きましょうというメッセージ。
試行錯誤して変えられなかったから、運命と争うのを辞めたバタフライエフェクト。

変えるために行動した結果が未来だから、それは未来を変えたことになるのか?別の世界線が存在しないと変えたということは証明できないのだから未来は未来であって変えられるものではないという(?)パラドックス的な映画がテネットでした。

生命が平等に通った事象

アリ・アスターのテーマは人類のみならず生命が皆、曖昧ながら抱えているものです。
DNAによってある程度、決められた運命は潜在的恐怖を引き起こすものなのではないでしょうか。

 

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