ネタバレ無し感想
これは凄い映画を見てしまいました。 いろんな意味でホラーです。
おじいちゃん役の俳優の演技が凄すぎます。
こんなに素晴らしい演技をする俳優さんが日本にいたんだ。
とにかく凄い。圧巻の演技力です。
なんでこの作品、今となっては全く話題に上がらなくなってしまったんだろう?
間違いなく名作・名演です。
基本情報
Gray Sunset
花いちもんめ。
1985年 122分
キャッチコピー
①『ご迷惑かけます、世間さま。』
②『ボケて悔しい花いちもんめ』
③『おじいちゃんが壊れていく。家族の戦争がはじまる』
制作国 : 日本
日本公開 : 1985年10月10日
ジャンル:ドラマ
あらすじ
元大学教授の考古学者・鷹野冬吉がアルツハイマー性老人痴呆症にかかった。軽いめまい、手足の痺れから始まって、極度の物忘れに家族の顔や名前さえも判らなくなり、一気に症状が悪化する。痴呆老人を抱えた一族ののっぴきならない大騒動が始まり…。
※参照元:U-NEXT
スタッフ
監督 : 伊藤俊也
脚本 : 松田寛夫
製作 : 奈村協/中山正久
音楽 : 池辺晋一郎
配給 : 東映
キャスト
千秋実:鷹野冬吉
加藤治子妻:鷹野菊代
西郷輝彦息子:鷹野治雄
二宮さよ子長女:鷹野光恵
十朱幸代嫁:鷹野桂子
長谷川真弓孫娘:鷹野里美
岩渕健孫息子:鷹野豊
野川由美子小姑:金子信恵
中田喜子:飯塚友子
岸部一徳:石本義和
内藤武敏:館長
三浦真弓:看護婦
神山繁:神経内科医師
河野美地子:女子研究員
末広真季子:児島洋子
田山涼成:米屋
林彰太郎:金子精一
久米明:ビデオのナレーター
成瀬正:セールスマン風の男
アワード
- 第9回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞、最優秀主演男優賞
- 第28回ブルーリボン賞 主演男優賞
- 第31回アジア太平洋映画祭 主演男優賞
おせっかい情報
見る際の注意
見たあと悲しくなる作品
こんな人におすすめ
俳優のすごい演技を見たい。 昭和後期の雰囲気が好き。
この作品が好きな人が好きそうな映画
- ファーザー
※完全な偏見です。
⚠️ネタバレ有レビュー⚠️
家族地獄映画

https://mydramalist.com/photos/rNr3Q7_3
認知症のおじいちゃんについてのお話なんですが、家族が残酷で身勝手。
この冷酷さ、家庭崩壊の有様もホラーですが、この映画で描かれる理想の女像もなかなか恐怖です。
実の息子は水商売の女にうつつ抜かして、ほったらかしだし、
その他の家族、親戚みんなおじいちゃんを引き取ろうとしません。
はっきりと明言はしませんが、明らかに邪魔者扱い。
こんな残酷なことありますか。
自分の状況を感じているのか否かわかりませんが、おじんちゃんは呑気です。
そんなおじいちゃんが可愛くも見える。
クソみたいな女描写
おじいちゃんの息子の嫁が世話を一手に担っていました。
つまり、義理の父親の世話を押し付けられることになりました。
旦那の浮気には目を瞑り、家事育児に義理の父親の面倒を一手に引き受けて、文句の一つも言わない。
これが”理想像”として描かれていたんですよね?
地獄過ぎ。当時のフェミの皆さん、仕事してなかったん?
メロディーは神なのに、マザコン・キモ男の願望満載で歌詞が大っ嫌いな迷曲、”聖母たちのララバイ”を思い出しました。
ほんとこの時代の女への幻想と女蔑視に溢れた描写には吐き気が出る。
気色悪い。
嫁が都合よく描かれ過ぎ。
時代なんでしょうけど終盤で無駄に脱がせたりしててイライラします。
この気色悪い”理想の女像”件についても、当時の女が置かれていた状況を覗き見るという意味で凄く興味深かったです。
同時に女讃美でもある
義理の父親なんて他人でしかないのですが、愛情を持って人として接してあげています。
その様はまるでマリア様の如し。
それを感じ取ってか、嬉しくなってしまってか、おじいちゃん、預金を渡してしまう始末。
もちろん、金目当てで優しくしていたわけではないので気まずい嫁。
これには笑いました。
この映画、おじいちゃんはともかく、他の男はほとんど出てこないし、ある程度出番が多いおじいちゃんの息子はスナック通のゴミです。
ある意味、女にフォーカスして描かれているフェミ映画なのかもしれません。
にしても終始ゴミ旦那
確実に旦那のせいで嫁も酒浸りになってるし、子供にも嫌われてるのに、本人だけその原因わかってなさそう。
あの嫁、育児ノイローゼのアル中よね?
優しさに溢れた映画

https://mydramalist.com/photos/Bd5NVq_3
ボケ始めたおじいちゃんが人前でお漏らしをしたとき、それを他の人に気づかれないように自分でお酒を倒すなんて、なんて機転が効く人なんでしょう。
こういう人がいると心強いですね。
当人の葛藤も切ないです。
”息子の嫁に苦労かけてごめんね、施設にぶち込んでくれ”って自分で言えるのすごい。
人格者なおじいちゃん

https://mydramalist.com/photos/QJgBWY_3
この主人公のおじいちゃん、生前は学者で頭のいい方だったんですよね。
ボケ始めてから、症状が進行していっても、底の人間性の良さが全面に出てきます。
だからこそ悲しい。
『どこのどなたか知りませんが、ご親切にありがとう』
この人、元々上品で素敵な人だったんだなぁ、、、。
亡くなったかあちゃん(おじいちゃんの奥さん)をおぶって帰ろうとするシーンが切な過ぎて、、、。
ちょっと笑ったところ
おじいちゃん徘徊の時のBGMがアドベンチャーRPGみたいでおもろいw

https://mydramalist.com/photos/wJr3og_3
あと息子の嫁がバスタオル1枚巻いて洗面台に立ってる時、おじいちゃんが後ろにきて、”え?なに?性的いたずらをするのか?”
とハラハラしていたら、背中についた髪の毛を取ってあげてました。笑
それが気になっていたのねw
あと通帳の件で家族と揉めていたとき、『キッスのお礼です』って
そこは覚えとるんかいww
ショッキングなシーン
最後歯が無くなりまくっててびっくりした、、、。
あんなに紳士的で穏やかで知的だった人が、どんどん子供というか、動物的になっていく姿を見るのは堪えますね。
どんどん深刻になっていって観ててつらい作品でした。
このおじいちゃん役の方の演技がすご過ぎる。
体当たり演技とはまさにこのことよね。
ドキュメンタリーのレベルだった。
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