ネタバレ無し感想
だいぶ前に見たことがあったんですが、ラストシーンしか覚えていなかったので再視聴しました。 結構胸糞悪い話だったんですね。全然覚えていなかった。
多種多様な奇形の人たちは出てきますが、割と内容は普通の群像劇です。
メインのストーリーは結婚詐欺ですが、サーカス内に住む人たちの色々な小ネタを挟んでくれます。
サーカス感満載に騒がしく次から次へと小ネタが出てくるので案外退屈しないです。
展開やセリフにはかなり時代を感じます。
普通に不快なセリフが出てきますが当時はこれぐらい大したことなかったのかな。
基本情報
Freaks
フリークス
1932年 64分

https://mutantreviewersmovies.com/2013/11/04/eunice-does-freaks/
制作国 : アメリカ
日本公開 : 1932年11月24日
アメリカ:1932年2月20日
製作費 : $310,600
レイティング : PG-13
ジャンル:ホラー
あらすじ
フランスの曲馬団の一員である小人のハンスは小人の曲芸師のフリーダと婚約していたが、美貌の軽業師のクレオパトラに魅せられてもいた。ハンスが親戚からの莫大な資産を相続することを知ったクレオパトラは金目当てに彼を誘惑し、クレオパトラに眩まされるままハンスは彼女との結婚を決めてしまう。婚約者を奪われて悲嘆にくれるフリーダを、一座の仲間のフロゾとヴィーナスは心配して慰める。
※参照元:Wikipedia
英語版 予告編
スタッフ
監督 : トッド・ブラウニング
脚本 : ウィリス・ゴールドベック/レオン・ゴードン/エドガー・アラン・ウールフ/アル・ボースバーグ
製作 : トッド・ブラウニング
配給 : メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
キャスト
フロゾ:ウォーレス・フォード
ヴィーナス:リーラ・ハイアムス
ハンス:ハリー・アールス
フリーダ:デイジー・アールス
クレオパトラ:オルガ・バクラノヴァ
ロスコー:ロスコー・エイツ
ヘラクレス:ヘンリー・ヴィクター
マダム・テトラリニ:ローズ・ディオン
シャム双生児:デイジー&ヴァイオレット・ヒルトン
ロロ兄弟:エドワード・ブロフィー
ロロ兄弟:マット・マクヒュー
骨人間:ピーター・ロビンソン
濃い髭を生やした女性:オルガ・ロデリック
半男半女:ジョセフィーン・ジョセフ
クー・クー:クー・クー
ジップ:エルヴァイラ・スノー
ピップ:ジェニー・リー・スノー
シュリッツ:シュリッツ
ハーフボーイ:ジョニー・エック
腕の無い女性:フランシス・オコナー
生けるトルソー:プリンス・ランディアン
アンジェロ:アンジェロ・ロシェット
鳥女:エリザベス・グリーン
おせっかい情報
見る際の注意
差別発言フィーバー。
こんな人におすすめ
白黒のホラー映画が好き。
現代では絶対に作れない映画を見たい。
この作品が好きな人が好きそうな映画
※完全な偏見です。
⚠️ネタバレ有レビュー⚠️
『生まれによっては皆さんも同じだったかも』
たまたまジョーカーを引いてしまった人たちの話です。
アバズレ、クレオパトラ
宙を舞う孔雀と呼ばれている超美人のクレオパトラは小人症の男性、ハンスが自分に好意を持っているのを利用して、お金を搾取します。
このアバズレ・クレオパトラ、ハンスをたぶらかしていると同時に男と同棲していました。
そんでその男がクレオパトラの稼ぎを持っていくということで、喧嘩別れ。
映画的な尺の問題かもしれませんが、破局した直後に他の男・ヘラクレスとできています。
とんでもないアバズレ。
ヤリマンモンスターという意味ではこの時点で彼女もある種の怪物です。
クソ男のハンス
小人症の男性、ハンスはフリーダという同じ小人症の女性を婚約をしています。
しかし、婚約しているにも関わらずクレオパトラにうつつ抜かしています。
隠す気もないんじゃないかというくらいフリーダの目の前でクレオパトラに見惚れているし、かなり貢いでいる様子です。
こいつがなかなかのゴミ野郎なんですよ。
とんでもない差別発言
時代的な問題なんでしょうけど作中ではびっくりするような差別発言が連発されます。
奇形の人たちに対して
『出生時に窒息させるとか外出禁止にするべきだ』
という人まで。
しかもこの人は奇形の人から何ひとつ被害を被っていません。
やばすぎ。
クソ男のハンス、その2
『最近、声がかすれているから葉巻を控えたら?』
と提案するフリーダに対して、
『女の指示は受けない』
とキッパリ提案を突っぱねます。
お前クソ男尊女卑野郎だな。
まあ時代の問題か。
印象的だったシーン
女装した男性が出てきました。
女装もフリークス判定だったんだ。衝撃。
四肢がない奇形の男性が器用に口でマッチを擦って、自分の咥えているタバコに火を付けたのはすごかったです。
あぶねえ!と思いながら見てました。
火が目に入りそうで。
あとまるで手のように足を使う女性もすごかったです。
器用ね〜。人ってたくましいのね。
サーカス内で繰り広げられる生活
奇形の人たちはこのサーカス内で案外平和に暮らしています。
恋人を作ったり結婚したり子供を産んだり。
にしてもシャムの双子は大変ね。
結婚するにしても一緒にベッドを共にしないといけないんですもんね。
あと本作では感情を共有している描写がありましたが、本来はどうなんでしょう?
脳は別々なので感情や思考までは共有できない気がしますが。
健気すぎるフリーダ
フリーダはとうとうクレオパトラに盲目になっているハンスに婚約破棄されてしまいます。
残酷すぎる。
しかし、フリーダはハンスが騙されているのを知っているので
『彼女とは幸せになれない』と忠告しますが、ハンスは女の意見は聞かないっぽいので全く耳を貸しません。
さらにはサーカス中で笑いものになっているそうです。
”小人症の男が普通の女に、しかもサーカス団1の美女に恋しているらしい、しかも色々貢いでいるらしい”
ということですよね。差別半端ねえ。
これマジでこの時代はこうだったんですかね?
それとも映画の展開として誇張しているんですかね?
『あなたが幸せならそれでいいの』と言って去ってったフリーダ。
可哀想すぎるでしょう。
健気すぎるフリーダ、その2
フリーダはハンスと婚約破棄した後、クレオパトラに会いに行きます。
『遊びならハンスと別れてほしい。彼を傷つけないで欲しい。』
とクレオパトラに伝えましたがまともに取り合ってもらえませんでした。
クレオパトラの殺人計画
『小さい連中は体が丈夫じゃない。』
と、また差別発言を挟んで、クレオパトラは遺産目当てで殺人を企てます。
しかも最悪なのが結婚式の当日、パーティの席でシャンパンに毒を入れてハンスに飲ませます。
酷すぎる展開。
しかも酔っ払ったクレオパトラは目の前でヘラクレスとキスをします。
ハンスはショックを受けますが、クレオパトラとヘラクレスは奇形をバカにする発言を繰り返します。
その結婚パーティーにはフリーダも出席しており、ハンスが蔑ろに扱われている様を見て目に涙を浮かべ、その場を立ち去ります。
歓迎してくれた奇形たち
しかし、そんなことも梅雨知らず、奇形の仲間たちはクレオパトラを歓迎しようと『彼女を仲間にしよう』と言い、盃を回し始めます。
大きな器にお酒を入れて、順番に飲んでいきます。
そしてクレオパトラの前に盃が回ってきた時、彼女は盃をぶちまけ、あんたらと一緒にすんなと暴言&差別発言をぶちかまします。
しかもその後、部屋に戻り、ハンスに対して
『仲間に入れようとすることが私への侮辱』だとして怒りました。
この女マジかよ。
この発言を聞いて、ハンスはこう言います。
『ヘラクレスにも悪くない。僕は小人のハンス。笑われるんだ。』
こんな悲しいセリフ、久々に聞いたわ。
倒れるハンス
結婚式当日に毒を盛られたハンスはすぐに倒れてしまいますが、幸い命に別状はありませんでした。
そしてハンスはクレオパトラの策謀に気がつき、仲間に共有し、ある作戦を立てたのでした。
本作のクライマックス
『今夜決行する。穢らわしい醜い化け物め。』
ハンスと仲間たちは一斉に攻撃を開始します。
大雨の中、逃げ惑うクレオパトラを追い詰めていきます。
時同じくして、ヘラクレスは自分たちの作戦について勘付いている奇形ではない女性の元へ行き、殺そうとしますが、彼女の婚約者によって阻止されます。
そして取っ組み合いになっていると、奇形の1人がヘラクレスの腹にナイフを投げてブッ刺しました。
さすがサーカス団員。ナイフ投げも慣れたもんですね。
負傷したヘラクレスの周りを囲っていた奇形の人たちが一斉にヘラクレスへ近づいていきます。
ホラー映画として最高のシーン
雨のなか地面を這って襲ってくるフリークスたちはかなり不気味で怖かった。
しかも大雨の中なので雷の音や音の荒さも相まってとんでもなくおどろおどろしいシーンになっています。
今後は撮れないであろう名シーンですね。
ただ四肢がない奇形の人は口にナイフを咥えて、体を左右に揺らして前進していました。
辿り着いたとしてどう攻撃すんのw
サーカスでは握力お化けとして活躍していたヘラクレスが、自分よりよっぽど体型に恵まれなかった連中にぶちのめされるのは滑稽ですね。
クレオパトラの結末
クレオパトラは大雨の中を走って逃げますが、フリークスに追いつかれてしまったようです。
悲鳴をあげ、シーンが変わるとクレオパトラは見るも無惨な奇形の姿になっていました。
しかも鳥のような鳴き声をあげています。喉もやられて話せないみたいです。
一応ハッピーエンドとして作られている
ハンスは例の事件から、数年誰とも会っていない生活を送っていました。
そしてある日、フリーダが訪ねてきます。
『君に合わせる顔がない』
というハンスに対し、
『私が抱きしめてあげる』
と言って再構築の方向に進んで映画は終わります。
結果全員怪物
奇形の人たちは奇形だし、クレオパトラもヘラクレスも人間性がゴミすぎて最初から怪物です。
そんで最後は奇形の人たちは復讐で人を襲い、クレオパトラは襲われて体が奇形に。
もうみんなモンスターです。
多分ヘラクレスだけ殺されましたね。
最後、ハンスとフリーダがくっついてめでたしめでたしで綺麗にまとめようとしていますが、無理ですよ。
ずっと胸糞悪いし、後味も悪いです。
そういう意味では悪趣味映画として名作なんじゃないですかね。
関連情報
本作は本来90分ほどの映画であったが内容があまりにも酷く、試写会では作品が半分に差し掛かった頃には大勢の観客が”逃げ去った”と言われている。
また、この試写会に参加した女性の1人は本作が原因で流産した主張し訴えると脅した。
あまりにも不評であったため、本作は90分から約60分に短縮した。
下記の映画のオリジナルのエピローグの大半も削除された。
- 雷に打たれ、木の下に横たわるクレオパトラを奇形たちが襲うシーン
- ヘラクレスが去勢されてカストラートにされるシーン
- コメディシーン
- ヘラクレスがファルセットで歌い(去勢を暗示)、クレオパトラがガーガーと歌う
これらのカット後の上映時間を増やすため、下記のプロローグとエピローグが追加された
- カーニバルの呼び込みが登場する新しいプロローグ
- 小人の恋人たちとの和解を描いた別のエピローグ
イギリスでは、この映画は英国の検閲官によって禁止され、30年以上も禁止された後、1963年8月にX指定(成人指定)で承認された。
大規模なカットにもかかわらず、この映画は観客から否定的に受け止められ、公開当初は大衆の間で激しい論争の的となった。
「奇形の人々はどうする? 彼らにも彼らの人生がある!」などのキャッチフレーズで、この映画を被写体に対して思いやりのある映画として宣伝しようとした。
『フリークス』は2つの非公式リメイク作品『シー・フリーク』(1967年)と『FREAKSHOW フリークショウ』(2007年)へ、インスピレーションを与えた。
また、テレビシリーズ『アメリカン・ホラー・ストーリー』の第4シーズン『フリーク・ショー』 (2014年 – 2015年)にも大きなインスピレーションを与えた。
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