シャッター アイランド (2010年) 138分【ネタバレ・考察】圧倒される映像美と巧みな脚本であっという間に時間が過ぎるスリラー映画の名作。

シャッター アイランド

ネタバレ無し感想

光の使い方がすごい、映像が美しい、音もいい、演技もいい、テンポもいい、この映画凄すぎる。 138分と長尺の映画ですが長く感じない映画です。退屈させないの凄いですね。

ネタバレ厳禁の作品ですね。
とはいえ今回、2回目の視聴でした。
オチは覚えていたんですが、当時はあまり集中していなかったので内容はあまり覚えてなかった。
オチ知ってても面白かったです。

基本情報

Shutter Island
シャッター アイランド
2010年 138分

シャッター アイランド

https://slantmagazine.com/film/shutter-island/

キャッチコピー『精神を病んだ犯罪者だけを収容する島から、一人の女性が消えた—。』
キャッチコピー(英語)『SOME PLACES NEVER LET YOU GO』
制作国 : アメリカ
日本公開 : 2010年4月9日
アメリカ:2010年2月19日
製作費 : $80,000,000
興行収入 : アメリカ・カナダ:$128,012,934
世界:$294,943,452
日本:17.0億円
レイティング : PG-12
ジャンル:スリラー / ミステリー

あらすじ

ボストンの沖合に浮かぶ「シャッター アイランド」には、精神を病んだ犯罪者を収容する病院があった。四方を海に囲まれたこの島からある時、ひとりの女性患者が姿を消す。連邦保安官テディ・ダニエルズは捜査のため相棒チャックとともにこの島を訪れるが…。

※参照元:U-NEXT


日本版 予告編

英語版 予告編

スタッフ

監督 : マーティン・スコセッシ
脚本 : レータ・カログリディス
原作 : デニス・ルヘイン
製作 : マーティン・スコセッシ/ブラッドリー・J・フィッシャー/マイク・メダヴォイ/アーノルド・W・メッサー
製作総指揮 : クリス・ブリガム/レータ・カログリディス/デニス・ルヘイン/ジャンニ・ヌナリ/ルイス・フィリップス
音楽 : ロビー・ロバートソン
配給 : パラマウント映画

キャスト

テディ・ダニエルズ:レオナルド・ディカプリオ
チャック・オール:マーク・ラファロ
ジョン・コーリー医師:ベン・キングスレー
ドロレス・シャナル:ミシェル・ウィリアムズ
レイチェル・ソランド:エミリー・モーティマー
ジェレマイアー・ネーリング医師:マックス・フォン・シドー
ジョージ・ノイス:ジャッキー・アール・ヘイリー
アンドルー・レディス:イライアス・コティーズ
エセル・バートン:パトリシア・クラークソン
警備隊長:テッド・レヴィン
マクフィアソン副警備隊長:ジョン・キャロル・リンチ
ピーター・ブリーン:クリストファー・デナム
フェリーの船長:マシュー・カウルズ
看護師マリノ:ネリー・サイウット

おせっかい情報

見る際の注意

ネタベレ厳禁。 ネズミ注意。 子供がひどい目に遭います。

こんな人におすすめ

映像を楽しみたい。 スリラー映画が好き。

この作品が好きな人が好きそうな映画

  • ファイトクラブ
  • ゆきゆきて神軍

※完全な偏見です。


 

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⚠️ネタバレ有情報⚠️

戦争神経症なのがわかった時点でテディの心がボロボロなのがヒシヒシと伝わってきました。
早くテディをどうにかしてあげて欲しいと思いながら見てました。

戦争神経症、PTSD、アルコール依存症、うつ病、育児鬱、ロボトミー手術
50年代のアメリカの社会問題をここまでわかりやすく自然に絡ませた脚本も凄い。

ちょっと気になったことをいくつか調べてみたので情報置いて行きます。

そもそもPTSDってなに?

PTSDの患者さまのなかでは、トラウマ体験そのものが再現されつづけています。ご本人の思いとは関係なくよみがえり、同じ気持ちが沸き上がり、あらゆる物音や刺激に敏感になり、不安で落ち着きません。そのほかにも、気持ちの落ち込み、無力感、社会や自分を信用できなくなるといった症状がみられます。
・トラウマ体験が思いとは関係なくよみがえる、その時の気持ちが沸き上がる
・物音や刺激に敏感になり、不安で落ち着かなくなる
・苛立ちやすい
・眠れなくなる
・抑うつ、悲しみ、怒り、焦り、無力感、罪悪感を感じる
・周りの人や自分自身、自分の未来からも切り離されたように感じる
・他者や世界、自分自身を信用できなくなる

引用元:NCNP病院 – PTSD(心的外傷後ストレス障害)

先生がやっていた荒療治ってどうなの?

調べてみたら、似たような治療法がありました。

持続エクスポージャー療法/PE 療法
PTSD の患者は、トラウマとなった出来事について考えるだけでも、まるで被害が「まさしく今、ここで」起こっているように感じることが多い。トラウマ記憶への想像エクスポージャーを繰り返すことを通じて、トラウマを思い出すことでどれほど取り乱したとしても、再び被害を受けるわけではないことが理解されるようになる。

引用元:PTSD(心的外傷後ストレス障害)の認知行動療法マニュアル(治療者用)

急に眩しくなることある?

劇中、主人公が光に敏感になるシーンがありましたが、過度なストレスがかかっときに自律神経の乱れによって光に過敏になったりするみたいです。

自律神経失調症とは血流の低下症状を主体とする疾患です。したがって、自律神経失調症で現れてくる【 眩しい 】という症状は、ほぼ血流の低下による症状と考えて良いでしょう。

引用元:https://seiyuu-pharmacy.com/symptoms/dazzling.html

ロボトミー手術と時代

本作の冒頭で”1954年 ボストン”と年代が示されていました。
どうやらロボトミー手術全盛期のちょい後が舞台のようです。

  • 1940年から1944年までの間に、アメリカ合衆国では684例のロボトミーが実施された。
  • 1949年は1940年代で最高の件数を記録し、アメリカで5074例が実施されたが、1951年までにロボトミーの実施数は18608例以上に上った。
  • 1970年代までに多くの国で白質切截術は禁止され、いくつかのアメリカの州でも禁止された。

日本でのロボトミー

  • 1938年(昭和13年)- 新潟大学中田瑞穂、ロボトミー開始
  • 1975年(昭和50年)5月13日 – 日本精神神経学会が精神外科を否定する決議を可決。ロボトミー手術の廃止を宣言。

引用元:前頭葉白質切截術(ぜんとうようはくしつせっせつじゅつ)- Wikipedia

割と最近まで実施されていたんですね。
怖過ぎる。

洞窟の中での会話

『誰にだってトラウマはある』
どこからが異常でどこからが正常なのか、誰がどう定義できるんだ、という興味深い議論がありましたね。
これに関しても実験がされていたみたいです。

ローゼンハン実験とは「精神科医が、正常な人と精神障害を持つ人を見分けられない」という実験である。

引用元:ローゼンハン実験 – Wikipedia

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

テディの妄言

最初から言ってることがわかりにくくて、何が目的なのかよくわからなかったです。
後で繋がるのかな?って思いながら見てたんですが、どうやら本当に支離滅裂だったみたいです。
まさかこの人が患者だったとは。

”え?どこからその名前出てきたん?”とか”殺さないなら何が目的なん?”ってところはあったけど、映画だから後でわかるもんだと思ってた。

オチがわかった後に見ると、明らかに挙動がおかしい。
あまりにも感情的だし、トラウマを複数抱えているし、最初からずっと心が病んでいるとしか思えない人としてちゃんと描かれてました。

真面目な人

  • 俺はもう殺しはしない
  • 戦争なんかじゃない人殺しだ
  • 嫁も俺が殺したのと同然だ
  • この施設ではナチのようなことが行われている、俺が止めないといけない
  • チャックを救おうと崖を登ったり降りたり

この主人公の元の性格が如何に真っ当で真面目な人間だったのかがわかります。
『戦争なんかじゃない、人殺しだ』
ってのが、この人がどれだけ自責の念に駆られているかを表しているなと思いました。

正確に自分の行動を認知できる頭の良い人ですね。
だからこそ自分が許せず、人のせいにもできない。
精神の病み方にまで人間性が現れているので、観ていて辛かったです。

先進的な精神科医

この精神科医が素晴らしいですね。
超絶人権派。
心の病は対話で治療できると信じているというのも応援したかったです。

『できるなら空想の世界にいさせてあげたかった』

切実過ぎる。
現実が辛すぎて精神が崩壊しているんだから、本人の苦痛が和らぐなら空想の世界にいさせてあげたい。
治せるなら治してあげたいけど明確な治療法が無い。
もし対話でいつか治るならそれまで待ってあげたい。
治らなかったとしても自然豊かな環境で生活させてあげたい、、、。
神のように思えてきます。

なんか時折、精神科医が神のように見えてくるんですよね。
ドキュメンタリー映画『精神』の先生もまるで神のようだった。

印象的だったシーン

シャッター アイランド

https://liannewoolleysa2mediaportfolio.wordpress.com/research-and-planning/

  • 序盤の妙齢の患者
    怖かった
  • ネーリング医師の登場シーン
    美しかったです。椅子の背もたれが写り、少しずつカメラがスライドしてからゆっくりとお顔が見えるところ。個人的にはシンドラーのリストのシンドラーの登場シーンくらい好きなおじ登場シーンです。
  • アウシュヴィッツの事務所
    書類が舞うのが綺麗だった。
  • 奥さんを背後から抱きしめるシーン
    燃えて灰になってしまうんですよね。印象に残っています。
  • 娘の悪夢
    テディが見た悪夢の中で、『なんで助けてくれなかったの?』って娘が起き上がる時、
    音楽もそうですが、まるでJホラーかのようでした。ゾッとする演出。
  • ジョージ・ノイス(C棟のラスボス)と対面するシーン
    廊下を通るシーンなんてめっちゃホラーだった。そしてマッチをする音がまるでシャッター音。
    マッチの燃え具合がちゃんとシーンごとに合ってるのがすごい。
  • 奥さんの死体
    奥さんを打ったあと、仰向けになった奥さんのデコルテから首へ血が流れるところは猟奇的でしたが美しかったです。
    奥さんと子供達を並べたところは、ハウスジャックビルトを思い出しました。
    テディは戦場でこんな光景をたくさん観てきただろうに。
  • 子供抱えて泣くシーン
    絶望感はやばすぎる。
    にしても3人を抱えて水の中を歩くってすごい体力ね。
    重さとか忘れてんだろうね。映像の絶望と相反して鳥の囀りが聞こえるのがいいですね。

アウシュビッツ

シャッター アイランド

https://www.imfdb.org/wiki/File:SI007.jpg

倒れ込んだ俳優の演技がすごかったです。

銃を足で遠ざけたとき、残酷だと瞬時に思いました。
この兵士は銃で自殺しようとしたけど、テディは長く苦しめるためにそれを阻止したと思ったからです。
ただ、これは銃に手が届いてしまうとこちらが撃たれる可能性があるから遠ざけたのだとも考えました。

しかし後半で彼は死ぬまでに1時間かかったと言及があったので、苦しめるために遠ざけたんですね。
最初の第一印象が合っていたんだ。
なんのセリフもないシーンでしたが、これだけ伝わってくるって凄すぎる。

神を信じるか?

愚問だろう。あんな地獄を見てきたテディが神を信じるわけがないだろう。
テディ、キレていましたが反論できていませんね。
キレる時の感じが、思っていることをうまく言語化できなくて、それでさらにストレスが追加されて怒鳴ったりキレたりしてしまっている印象があります。
”収容所の開放の場にいて、凄惨な現場を散々見てきた俺に神を信じろというのか?お前の想像力はどうなってんだ?”っていうことでしょう?

『この子がいたことまで否定するのか?』

息子は?
娘の悪夢しか見ないのはなんで?
息子はどうでもいいん?
異性の子供の方が可愛く見えると言われていますがこんなあからさまなことある?

諦めができれば

戦争で人がどれほど残酷になれるのかを見てきたテディは、この施設が患者を実験台にし、ひどいことをしているのではと疑っているみたいですね。
それをなんとしてでも止めようとすると。
トラウマと正義感が狂気に拍車をかけている気がします。
子供達を助けられなかった自分が許せないからより一層、正義感が悪さするのか。

セブンのモーガン・フリーマンみたいに現実に打ちのめされて理想を捨て去り、自分にできることを粛々と行う刑事の方が病まないのか。
SAWの刑事も自責の念に駆られて精神おかしくしていたな。

ちょっと笑ったところ

C棟のハゲがのタッチ!あんたが鬼!って言ったのには笑いました。唐突な巻き込まれ鬼ごっこ。笑

そのあと、C棟のラスボスみたいな奴と話をしますが、マッチぐれーじゃ、その広さは照らせねぇって!笑
健気にマッチに火をつけ続けるのは面白かった。笑

てかテディ、クライミング能力高すぎて笑った。
あんな崖よく登ったり降りたりできるな。

最後、テディが灯台に突入した時の『びしょ濡れじゃないかハニー』には笑いました。

水爆は内側に爆発する

精神病を表現したかのようなセリフですね。

にしてもこいつも水爆実験でなんらかのトラウマを抱えている様子です。
戦場に行っていたかはわからないけど、戦争の被害者なのか。

神の贈り物は暴力

テディがあいつも兵役がありそうって言っていた警備員のセリフが印象的でした。

”昨日の嵐で、枝に刺されそうになった。神は暴力を愛している。
いざという時は食べ物の奪い合いで殴り合う。
攻撃する前に攻撃するのは人間の本能だ。神からの贈り物だ。”

的なことを言っていましたね。
プリオだからかわからんけど、インセプションみたい。
潜在意識に話しかけている感じがする。

テディはキレてたけど、私は人間の暴力性を肯定することで過去の自分への行いも肯定しようと言われているような気がしました。
暴力は人間の本能で、自分が殺されそうになったら相手を殺す。防衛本能だから生き残るために人を殺していたとしてもそれが摂理だと。
恐らくは元軍人っぽいから、彼もそうやって自分を納得させて正気を保っていられているのかな。

唐突なネクタイ・ディス

『君がくれたから大事にしていたけど本当はこんなタイ嫌いだった。』
え、なんで?可愛いじゃん。
これが男と女のセンスの差なのかな。

ダメだったよと首を振った時時の先生の絶望的な顔が、、、。

『どっちがマシかな。モンスターのまま生きるか。いい人として死ぬか。』

最後、テディ、と本名で呼んだということは
この問いは正気を失った2年間には無かった会話なんでしょうね。

自分が狂人だと認識した主人公はモンスターである自分をロボトミーで治療を受けていい人になろうと思ったんですね。

精神的におかしくなった理由も、自分がモンスターであることを受け入れられないから妄想の世界を作り上げていました。
正気に戻っても、モンスターである自分を受け入れないという選択だったわけですね。

関連情報

 

シャッター アイランド

シャッター アイランド ミステリ文庫

参考情報

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