ネタバレ無し感想
現代社会の消費し合う人々について描かれているような映画でした。 主人公が性的に搾取されるためだけに作られたダッチワイフなだけあって、ある種のフェミ映画でした。
パッケージからは想像できないくらい、胸糞悪かったです。
物語の残酷性とは対照的に、爽やかな映像なので、一層残酷さが際立ってます。
塩とスイカの関係みたいな。
ふわふわの映像とか、ゆるい音楽とか、柔らかな言葉で誤魔化されそうになりますが、取り扱っているテーマはロケランレベルの破壊力でした。
こちらは気が付いたら血塗れです。
ところどころ込み上げる嫌悪感をなんとか抑えながらこの映画を観終えました。
基本情報
Air Doll
空気人形
2009年 116分

https://www.latimes.com/entertainment-arts/movies/story/2022-02-03/review-air-doll-hirokazu-kore-eda
キャッチコピー『心をもつことは、切ないことでした』
制作国 : 日本
日本公開 : 2009年9月26日
フランス:2009年5月14日
レイティング : R15+
ジャンル:ファンタジー / ロマンス / アート
あらすじ
古びたアパートで持ち主である秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、本来持ってはいけない「心」を持ってしまう。秀雄が仕事に出掛けると、洋服を着て靴を履いて、街へと歩き出す。初めて見る外の世界で、空気人形はいろいろな人間とつながっていくが…。
※参照元:U-NEXT
日本版 予告編
英語版 予告編
スタッフ
監督 : 是枝裕和
脚本 : 是枝裕和
原作 : 業田良家
製作 : 川城和実/重延浩/久松猛朗/豊島雅郎
音楽 : world’s end girlfriend
配給 : アスミック・エース
キャスト
ペ・ドゥナ:空気人形・のぞみ
ARATA:レンタルビデオ店員・純一
板尾創路:人形の持ち主・秀雄
高橋昌也:元国語教師の老人・敬一
余貴美子:受付嬢・佳子
岩松了:レンタルビデオ店長・鮫洲
星野真里:過食症・美希
丸山智己:萌の父・真治
奈良木未羽:真治の娘・萌
柄本佑:浪人生・透
寺島進:派出所警官・轟
山中崇:ファミレス店長
ペ・ジョンミョン:清掃員
桜井聖:バスの乗客
オダギリジョー:人形師・園田
富司純子:未亡人・千代子
おせっかい情報
見る際の注意
ヌードや性的なシーンがあります。
こんな人におすすめ
儚げで切ない映画が好き。
この作品が好きな人が好きそうな映画
※完全な偏見です。
⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

https://film-grab.com/2024/03/02/air-doll/
動き出すダッチワイフの恐怖!
最初、ダッチワイフが動き始めたときめちゃくちゃ怖かった。
水に触れた瞬間に人になる演出が良かったですね。
ダッチワイフから人間に変わる時の映像がめちゃくちゃシームレスで自然で美しかった、、、。
生命の誕生を思わせるような、ファンタジックなシーンでした。
序盤だけではなく、ところどころ映像のクオリティがめちゃくちゃ高かったです。
大画面で観たかった。
女優が良い!
この女優さんの顔の人形っぽさや肉体美も素晴らしかったです。
主人公がダッチワイフで頻繁に脱ぐのに全くエロく撮らないところが本作のいいところですね。
全然いやらしさを感じませんでした。
あとついさっき動きを学んだかのようなぎこちない動き好きでした。
韓国の女優を起用したのは大正解ですね。
めちゃくちゃ日本語が上手ですが、時折出てくる日本語のぎこちなさがちょうど良かったです。
あと訛りが可愛い。
人形に恋するおっさんきもい!
板尾のおっさん、まじで気持ち悪かった、、、。
人形を外に連れ出して遊んでんのはやっぱおかしいって、、、。
それでベンチでキッスですから、、、。
初音ミクと結婚した男性が一時期話題になりましたが、やっぱり私には到底理解できないです。
初音ミクと“結婚”した男性「母と妹に理解してもらえなかった」なぜ結婚したのか?結婚生活は?
意思も感情もないものを心から愛せるのが理解できない、、、。
対話がないから成長しないし、意思がないということは相手も私を選んでいないじゃないかと。
自分のことしか考えられない自己中なおっさんが徹底的に自分に都合がいいし性欲処理もできるダッチワイフに話しかける姿が心底気持ち悪かった、、、。
一見すると愛情を示していて大切にしているようですが、口答えしたり、今日はセックスしたくないとか言ったらブチギレるか、すぐ逃げるだろうなぁと思いながら観勧めまていました。
“ずっと空っぽの代用品”
って、人がみんなそうですよね。
完全自殺マニュアルの冒頭に書いてあった、
レンガの壁からレンガが一つ消えたところで崩れない、新たなレンガが差し込まれるだけっていう例え話を思い出しました。
目の前の店員が自分のダッチワイフであっても気が付かないくらい、
みんな自分のことしか考えていないし、誰かを消費して生きているし、自分も誰かの消耗品だと。
都会で孤立したソーシャルアニマル

https://i0.wp.com/sennhausersfilmblog.ch/wp/wp-content/uploads/2009/05/airdollhirokazukore-eda.jpg?resize=450%2C291
ベンチおじいが”こんな街”って言った後に映し出されるのがビルだから、
都会の人間関係の希薄さ的な?
現代社会の病理みたいなもの指しているんでしょうね?
なんかだいぶ遠回しな言い方をしていましたが、様々な生命や自然の営みが複雑に絡み合って、それぞれが存在しているというこですよね?
つまり自分たちだけでは生きられないということですよね?
風と聞くとバタフライエフェクトが頭に浮かんでしまいます。
序盤のシーンで、おばあちゃんが交番である事件の話をしていましたね。
犯人は浪人生で交際を反対されて、高級住宅街に住む家族3人を殺害。
自己中過ぎてやばい。
この映画のメッセージ性はそこなんですかね。
都会の荒波に揉まれてるかもしれないけど、もっと相手のことを考えようよ、と。
説教くさくならないように必死にゆるふわで角が立たないようにしているような感じかしら。
男がキモいシーン多くね?
男がいかにチンコ基準で動いているかが随所で描かれていましたね。
ところどころに男の醜さと男の性欲の加害性を感じる映画でした。
パパはわからないでしょ?ママと一緒に観てたんだもんっていう言葉からして、今までこの父親が母親に子育てを任せてたのが伺えますね。娘にも呆れられてる感じ。
男の全く悪意のないバカさが表現されていたなと思いました。
子供がにんじん捨てたのも気が付かないし、ビール飲んでるし、これが母親だったら批判されるやつじゃん。
おばさんが全く相手にされないところとか。
おばさんはやたら美容に金かけてるし、若い女の子は過食嘔吐でおかしくなってるし、
若くて美しくなければ女なんて需要がないと、男のチンコ基準で考えれば、まるで消耗品のように扱われているといえばそうですね。
でも男は若いだけじゃ誰にも相手にされないわけだ。
コミュ力も勇気もないから卑怯に盗撮してシコってんのよな。
盗撮された女の気持ちも考えずに。

https://wipfilms.net/pinky-violence-and-pinku-eiga/air-doll/
ビデオ屋の店長、よくあんな動かない女を相手に腰振れるよな。
あのおっさんはのぞみがダッチワイフなの知らない設定だよね?それで腰振ってんでしょ?
生身の女があんな感じで動かなくても腰振るんだろ?ほんと女の意思はガン無視なわけだ。
ダッチワイフだろうが人間の女だろうが、性欲が発散できれば関係ないっていうクッソ胸糞悪いシーンだったわ。
板尾のおっさんが寝てる間にお風呂で身体を洗うシーンも胸糞悪いなぁ、、、。
意思を無視されて性を消費されてんのキモいなぁ、、、。
酔っ払ってナンパしてきて、女がリアクションしなかったから逆ギレして去ってくクソ野郎うっぜぇ。
なんか女が1人キャンプ行ったらおっさんに絡まれて因縁つけられるみたいな動画あったな。
断ったとしても被害受ける可能性あるし、どのみち不快な思いするし選択肢ねーじゃん。
本当胸糞悪いわこの映画。
動き出すダッチワイフ!動じない男たち!笑
この映画の男たちの動いているダッチワイフへの適応力の高さなんなのwwww
いちいち笑えるんだけどwwww
あのレンタルビデオ屋の兄ちゃんは映画の見過ぎですぐ受け入れて対応できたんだろうなって思った笑
心を持ってしまったのって、一瞬はビビるけどすぐ対話し始めるし、動いたダッチワイフへの対応力高すぎるって笑
おかえりじゃねーよwww
自分が作ったダッチワイフが動いてるとか失神レベルの恐怖だろwww
“歳を取るの、私、歳を取るのよ”
ってもう歳とりたくないであろうおばさんに面と向かって言うシーンはめっちゃ笑った。
繋がりたい人々
あの警察にやたら話を聞いてもらいにいくおばあちゃんも誰かと繋がりたいんだなぁ、、、。
あの哲学者っぽいおじいに””触ってもらえるか?””って言われてチンコ触ろうとするのは笑ったwww
あのシチュエーションなら手を握るとかだろう!w
“めんどくさいからお前にしたのに”
って男の汚い本音が詰まってる感じがして殺意湧きました。
なんか男尊女卑の時代を感じますね。
黙って股開いて、家事炊事やって、子供を産み育てるための道具として扱われて、亭主に文句言ったら殴られていた時代もあったわけじゃないですか。
その時代の方が男は生きやすかったでしょうね、っていう。
女に自我が芽生えて金稼げるようになったらそりゃ面倒でしょうね。
ダッチワイフ界の神

https://film-grab.com/2024/03/02/air-doll/#bwg3628/218892
乱暴に扱われて捨てられたダッチワイフをのぞみに見せるのは残酷だね、、、。
一応、設定としては、持ち主に愛されていたからのぞみだけ自我が芽生えたという感じかな。
デトロイトビカムヒューマンみたいな?
板尾のおっさんは現実の女からすると底辺弱者男性だけど、ダッチワイフ界からすると命を吹き込む神なのかな。
製作者に
綺麗なものも見ただろうって言われて、””産んでくれてありがとう””って返すのはなんか感動した。
りんごが随所に出てくるのでおそらくアダムとイブの自我の目覚めや神への反抗を彷彿とさせようとしているよな。
この親と子のようなやりとりは穏やかな世界線の神とアダムのやりとりって感じかしら。
最悪のプレイ

https://www.flixist.com/review-air-doll/
あのビデオ屋の兄ちゃん、心を開ける相手かと思ったらめっちゃ変なやつだった、、、。
空気を抜いたり入れたりして何してんの、、、。
どういう性癖?
この映画見ていると空気の抜ける音が怖く感じるんだよな。
てか””何をしてもいい?空気を抜きたい””って最悪だね。
好奇心なのかなんか知らねーけど空気が完全に抜けたらのぞみは死ぬかもしれないリスクがあるのにそんな行為をしたいと言う時点で自己中過ぎ。
と思ったら死んだ!え!?
のぞみは自分がされたことと同じことをしようと思って刺したんだ!?
人間の身体の構造知らないのか!
でもこの男の自業自得だよな。ざまぁ。
と思ったら次のシーンで人がゴミ袋に入れられて置かれてる、、、。
急にサイコスリラーなシーンでびっくりした、、、。
空気抜ける音が怖く感じる映画だったな

https://film-grab.com/2024/03/02/air-doll/#bwg3628/218838
最後、人になれたのを妄想したシーンは悲しかった。
好きなガラスとりんごに囲まれて死んでったんだな、、、。
風になったんだね。
参考情報
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