突然、君がいなくなって (2024年) 80分【ネタバレ・考察】全く想定していなかった展開。考えたこともないシチュエーションにより、今まで抱いたことがない感情を誘発する映画。アート性高め。人間関係は一度くっついたら離れたくても剥がれない両面テープ。

突然、君がいなくなって

ネタバレ無し感想

アイディア1本勝負系

ホラー映画ではよくあるじゃないですか。
今までにはないシチュエーションを用意し、それが凄く印象的で面白いという作品。
1つのアイディアで物語を展開させていく作品。
クワイエットプレイスとか、CUBEとか。

この映画はロマンス系作品のアイディア1本勝負という印象でした。

こんな恋愛映画観たことないので、凄く印象に残って忘れられない作品になりそうです。

感じたことない感情になる映画

シチュエーションがトリッキーな分、感じたことのない感情になります。

新たな感情の引き出し大開放。

原題の意味

・英語タイトル
When the Light Breaks
意味:光が消えるとき

・アイスランド語タイトル
Ljósbrot
意味:光の屈折(リフラクション)

想定していなかった展開にビビった

全く想像もしていなかった展開でビビりました。
今まで観たことも聞いたこともないシチュエーション。

そして全く予想だにしていなかったラスト。

ところどころの映像美は目を見張るものがありましたが、個人的には映画館で観ても、自宅環境で観ても評価は変わらないです。
予告編を観てなんか合わなそうと思ったら配信待ちでもいいと思います。

他の人のレビューが気になってしまう

台詞少なめの余白が多い印象の映画です。
他の人の感想が気になるタイプの映画でした。

とってもアートな作品

主人公のウナは美術の学生でした。
この映画自体もかなりアート性の高い作品という印象でした。

基本情報

Ljósbrot/When the Light Breaks
突然、君がいなくなって
2024年 80分

突然、君がいなくなって

キャッチコピー『わたしを”秘密”にしたまま、恋人が死んだ。』
製作国 : アイスランド/オランダ/クロアチア/フランス
日本公開 : 2025年6月20日
フランス(カンヌ):2024年5月15日
フランス:2025年2月19日
レイティング : PG-12
ジャンル:ロマンス / ドラマ

あらすじ

アイスランド・レイキャビクの美大に通うウナには、大切な恋人ディッディがいる。しかし、二人の関係は秘密だ。彼には遠距離恋愛をしている長年の恋人、クララがいる。ある日ディッディはクララに別れを告げに行くと家を出た後、事故に巻き込まれ帰らぬ人となってしまう。誰にも真実を語ることができないまま、ひとり愛する人を失った悲しみを抱えるウナの前に、何も知らないクララが現れる――。クララを励ます仲間たちを見て、ウナの心は追い詰められていく。そんななか、クララはウナに対するある思いを打ち明けるのだった…。

※参照元:公式サイト


日本版 予告編

英語版 予告編

スタッフ

監督 : ルーナ・ルーナソン
脚本 : ルーナ・ルーナソン
製作総指揮 : クラウディア・ハウスフェルド/リリャ・オスク・スノラドッティル/ソルズル・ヨンソン
音楽 : ヨハン・ヨハンソン
配給 : 配給:ビターズ・エンド

キャスト

ウナ:エリーン・ハットル
グンニ:ミカエル・コーバー
クララ:カトラ・ニャルスドッティル
ディッディ:バルドゥル・エイナルソン
シッギ:グンナル・フラプン・クリスチャンソン
バッシ:アゥグスト・ウィグム

アワード

  • 第 48 回ヨーテボリ映画祭ドラゴン賞最優秀北欧映画賞
  • 第 26 回エッダ賞 作品賞/主演女優賞(エリーン・ハットル)/助演女優賞(カトラ・ニャルスディットル)/視覚効果賞

ポスター/パッケージ

おせっかい情報

見る際の注意

特になし

こんな人におすすめ

予告編を観て気になった人

この作品が好きな人が好きそうな映画

  • わからない

※完全な偏見です。


 

⚠️ネタバレ有レビュー⚠️

両面テープ

『この両面テープは使用期限を過ぎたものを使用しているので環境に配慮してます』
というところは草。
そんな配慮まで必要なんだ。笑

このアートのシーン、一見するとバカな学生のおふざけですが、人と人との繋がりを上手く表現しているのではと思いました。

無理な体勢でも一度くっついてしまったらなかなか剥がれることができないという。

案外この映画の展開を予期していた重要なシーンのように思います。

最初のシーンがエモすぎる

あんな綺麗な夕日を背景に恋人と過ごすって素敵過ぎませんか。
映像が綺麗過ぎてなんの話してたのかは忘れちゃったんですが、ポスターから想像していたのはこういうエモさ100%の映画でした。

あの体勢最高だよね

あの寝る体勢最高ですよね。
あの完全にリラックスしていて恋してる者同士の会話がたまらなかったですね。

話してる内容はそんな爽やかではありませんでしたが。

”彼女がいるけど、君のことが好きだから明日、彼女に別れを告げてくる。”
っていう内容でしたね。

トンネルの大事故

怖過ぎる。
爆発で焼き死ぬって想像したら怖過ぎる。

事故の原因について語られてましたっけ?
あれはなんで起きたんでしたっけ?
ただの事故という認識なんですが、事故の詳細について言及されていましたっけ?

震災を思い出す

家族や友人の安否確認のシーン、震災と重ねて見ていました。
頼むからスマホが壊れててくれ、病院にいて連絡が取れないだけであってくれ、とにかく生きててくれと全員が思いながら集まってるあの空間、悲痛ですね。

終始彼の存在を感じる

彼の存在をずっと感じながら見ていました。
序盤の一瞬しか出てこないのに、みんなが彼のことを想っているのでずっと存在を感じますね。

言えない主人公

なんか主人公無口だなと思ったらそうか!言えないのか!

彼は私と関係を持っていて、クララに別れ話をしに出て行ったの!なんて言ったところで死人に口無しでただの浮気相手だったんだろうと思われるだけだし、
言ったところで何ににもならな過ぎて1人で抱えるしかないですよね。

永遠に感じる発信音

日本版メインビジュアルにもなっている主人公が彼に電話をかけるシーンですが、
永遠のように感じますね。

画面は綺麗なのに、心の奥では絶望が流れているシーンでした。

状況を把握している人がいてよかった

ルームメイトが事情を知っていて主人公に寄り添ってくれていました。
本人から聞いている証人がいるのは少し心が落ち着きますね。

急いで出発した

彼はトンネルの事故に巻き込まれて亡くなってしまいました。

何が辛いかって、後に彼の友人から『朝イチで急いで向かって行った』ということを聞かされることですよね。

多分、主人公のためにも早く関係を整理しようという誠実さだったんでしょう。

悪人がいない映画

彼、浮気してたじゃん!って恋愛に潔癖な人はなりそうですが、私はそういうことってあるよねタイプです。
別れ話が上手くいかないとか、切り出すタイミングを考えたりとかしてるとちょっとダブっちゃうことあるよね。

少なくとも彼は大急ぎで破局宣言しにいこうとしていましたから。
別れる別れる詐欺をしていたわけではありませんからね。
そんなに悪いやつではないと思います。

彼女登場

うわぁ。しんど。
なんだこの気持ちは。

なんなんだこの気持ちは!

嫉妬か?妬みか?
彼女が彼に愛されていたと思っていることに気持ち悪さを感じるか?
なんだこの気持ち。
不快であることは間違いないのですが、言語化できません。

でも側から見たら浮気相手

私も彼と関係があった!って言ったところで
ただの浮気相手だと思われるだけだし、無駄に彼女を追い込むことになるし、彼が戻ってくるわけでもないわけですよね。

ウナが何も言わないと選択したのは大正解だと思います。
でもやりきれない思いがずっと心に残る。

共感もできる

彼を愛していたという点ではクララもウナも一緒なはずですよね。
愛する人を失ったという、きっと自分と同じ気持ちを抱いている彼女をさらに追い詰めることは、きっとウナにはできないでしょうね。

しかも、一応、浮気相手というステータスなので引け目も感じているだろうし。

ちょっと抑えられなかった

クララに『あなたってレズビアンなのよね?』
って聞かれたとき、
『バイセクシャルで最後に付き合ってたのは男よ』

って聞かれてもいないのに敢えて言うあたり、ちょっと抑えられていませんでしたね。
クララはピンと来なかったとしてもこの発言が心に引っかかっちゃいますよね。

え!そのままオシッコすんの!?

クララって結構無神経で大雑把なタイプなの?
ウナがいるのにドア開けたままオシッコしてたよね?
マジ?

意外と衝撃だったんですが。笑

ドアが開きっぱなしだったけど、オシッコの音が聞こえなかったので、座ってるだけかと思ったら思いっきり流してました。
オシッコしてたんか!笑

まあ、男からしたら個室じゃなくてタッション形式だから当たり前よね?
恥ずかしいことではないといえばそうだね?

よく思っていないタバコの奪い取り方

死ぬほど細かいこと言うんだけど、
教会の前でクララに『タバコもらえる?』って言われて渡して、その後返してもらう時のタバコの取り方、結構キツくなかった?笑
明らかによく思っていないというか、今は関わりたくないけど、クララは気が付いていない感じがするよね。

ちょっと無神経じゃない?

『あなたたちがやっている芸術って何がいいのかわからないわ』

って字幕の問題なんですかね?
なんか結構失礼な言い方じゃなかったですか?

相手が学んでいることを無意味だと主張するニュアンスに思えたんですけど、ウナは全く気分を害している感じがなかったのでもっと角のない言い方だったんですかね?

アートはものの見方

あの建物を利用して、飛んでいるかのような感覚をさせ、クララにアートを体験させてあげていました。

ものの見方を変えたらこんな風に感じられるの!魔法みたいでしょ!っていうなんと素敵なシーン。

自分が学んでいるアートを否定された後に、怒るでも反論するでもなく、体験させるっていう。
こんなことを瞬時に思いつくウナってめちゃくちゃ魅力的ですね。

そして本当に階段に見えた!不思議!
飛んでるように感じれて本当に印象的なシーンでした。

マヌケがいるぞ!

変な踊りしてるニキいましたね?
笑い堪えるのが大変でした。

あの体型とあの動き、たまらなく面白いです。

しかも鈍臭すぎる。
踊って泣き崩れる主人公にみんながハグして集まってきましたが、あいつだけ最後にやってきて、しかも主人公にリーチしてない。
彼女の脚を抱いてました。
こいつ鈍臭くてめっちゃ笑う。

キッツイって

クララと彼の思い出の写真を見せつけられるってキッツイって。

クララは彼とそんな時間を過ごせたんだっていう気持ちにもなるし、これから自分も彼とたくさんの思い出を作りたかったのにっていう。

でも言えないからね。
何このシチュエーション。
ウナのこと結構追い詰めるよね。

生まれる絆

窓越しに2人が笑顔になって重なるシーンはみなさんどう解釈しましたか?
私はよくわかりませんでした。

ただ2人が友人になったという印象はありました。

どこか友情が芽生えたシーンなのかなという印象ですが、何を意味しているのかよくわかりませんでした。
でも印象的でした。

クララもさすがにちょっと察してるよね?

彼のことが恋愛的な意味で好きだったんだろうくらいは察していますか?
浮気までしていたかまでは確信は持てていなさそうでしたが、何かしらは察していますよね?
どう?

クララ、ちょっとウナに恋してない?

なんか2人が自転車に乗っているときのクララの張りつき方、なんか恋してない?
なんか好きになってきてない?
友達の感じじゃないよね?
なに?どういうことなの?

恐怖の靴の伏線

序盤で、ウナは彼の靴を履いて、窓から家を出て行っていました。

てことは彼の家の玄関にはウナの靴があるわけですよね。
そして身長差が結構あるように見えたので、足のサイズですぐ女の靴ってわかりますよね。

そして無言でブチギレの表情で雑に自分の靴を置くクララ。

これこの後、誰か死ぬんじゃないかと思ってめちゃくちゃ怖かったです。

何も話さないの!?

クララはウナがこの家に出入りしていたことは確信してましたよね。
彼と関係があったと思ったから、あるいはウナが何かを隠していると思ったからあんなブチギレの顔だったんでしょうか。

でも何が一番怖いって、2人ともその話には一切触れないところです。
クリアにしないところが怖いです。

でも憎しみじゃない

この映画の本当に独特なことろです。

最後は亡くなった彼のベットで2人が抱き合ってお互いの悲しみに寄り添うかのように映画が終わっていきます。

2人とも達観してない?

もういない彼の独占欲を出しても意味がないし、彼と関係があった女に何か言ったところで彼が戻ってくるわけでもない。

むしろ愛する恋人を失ったという点で最も共感してもらえる相手なんですよね。

安直に相手にネガティブな感情を抱いたりぶつけたりするわけではなく、悲しみへの共感や支え合いを選択したのですね。

永遠に感じる

序盤のトンネルの天井を映し出した映像、ラストの海の映像、時間を永遠に感じるようなシーンでした。

時が止まったように感じ、喪失感を表現している印象のラストでした。

試写会の様子

人口が少ないアイスランド

トークショーで写真家・シバノジョシアさん(公式サイト)がアイスランドについて解説してくださいました。
土地の面積に対して人口が少ないため、日本人とは比にならないくらい人との繋がりが大切だそうです。


人との繋がりや出会いの価値が日本人とは全く違うと考えると、案外納得のいくラストでした。

参考情報

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